「    」(13) 2周年記念企画リレー小説

サイト2周年企画 リレー小説 

こちらはサイト2周年記念として沢山の方に参加頂き、爽風の二次小説をつなげよう!
企画です。どんな話になっていくのか今から楽しみです。 

題名は最後に決めましょう!


<今まで決まっている設定>

* 風早、大学生 彼女なし。カフェで働いている爽子に惹かれている。
* 爽子、高校生 親戚のカフェで働いている。親戚の息子が光貫。
* 光貴 大学生・・・かな? 爽子に想いを寄せている。


風早の存在に危機感を感じた光貴。一体光貴という人物は?そして爽子は風早と
会ってから世界が広がっていくが・・・


(リレー小説参戦の皆様、堂々たるラインナップ(´ε`*))
第一話 sawalove、第二話 梶浦ぴろさま、第三話 翠さま、第四話 苺さま、
第五話、COCOTANさま、第六話、bathosaiさま、第七話 瑠璃さま、第八話 
kazeloveさま、第九話 みあやさま、 第十話 sawalove、第十一話 takezoさま
第十二話 COCOTANさま。そして第十三話 再びtakezoさまですっ!


この話は2周年記念企画リレー小説 (1) (2) (3) (4) (5)(6) (7) (8) (9) (10) (11) (12)
の続きです。




第13回 書き手  takezoさま




















「ちょっとっ!ちづ!スタンプラリーで走る馬鹿がどこに居るのよ!」


この日爽子はあやね達の大学のオープンキャンパスに来ていて、学部を巡るスタンプラリー

を始めていた。


待ち切れない様子で、爽子の受け付けも済ませずに案内を始めようとした千鶴に呆れながら、


「わあ〜。綺麗だな〜。広いな〜」


と目を輝かせて嬉しそうに笑う爽子にあやねの顔もいつに無く綻んでいた。


「なに言ってるのやのちん!予定詰まってるんだから走るよ!爽子!行くよ!」


「はいっ!」


(いつの間にか呼び捨てになってるし)


元気良く走り出す2人の後を渋々追っているつもりのあやね。


他人から見れば、三人とも同じように楽しそうに見えた。




*****




「まったく、子供じゃないんだから。もうくたくたよ」


化粧を直しながら毒づくあやねを気にしたふうもなく、


「これとこれ半分こしよう!」


「わあ!半分こ!」


なんて、朝から目を輝かせっぱなしの爽子とはしゃぎ過ぎの千鶴が、学食で選んだメニュー

を前に盛り上がっている。


「あれも美味しいんだよ!」


と結局カフェのプリンやらアイスやら分け合いながら食べて、三人はお腹をさすりながら

ゆっくりと最後のスタンプを貰い、スタンプラリーを終えた。

帰り掛け、爽子は遠慮がちに二人に言った。


「あの、あそこの花壇見て来ていいですか?」


「ゆっくり見ておいで」


すぐうしろにあるベンチに座った二人は、嬉しそうに花壇の周りを歩き回る爽子を見ていた。


あやねが独り言のように呟く。


「今までさ、二人でつるんできたじゃん?」


「うん、ん?どしたのやのちん」


「他に友達が居ないわけじゃないけどさ、まあ二人だったよね」


「あーうん。そーだね」


「ちづ以外でさ、好きになったの爽子が初めてだわ」


そう言いながら少し顔を背けるあやね。


「やのちん・・・もしかして、照れてない?」


そう言われて振り返り目をあわせ、ちづの考えてる事が分かったあやねは代弁するように言った。


「爽子も、私達の事好きになってくれるといいね」


「やっぱ照れてる」


笑いながら茶化すちづを少し睨んであやねは続けた。


「でも、不思議なんだよね」


「何がー?」


「爽子の成績聞いたでしょ?あの成績で進学考えてないなんて・・・」


「どこでも行けそうだよね」


「もっと不思議なのはさ」


「まだあんの?」


「あの子、素直で優しい子でしょ」


「そう!あと、じつは明るくて元気!ん?不思議?」


「今まで友達らしい友達が居なかたって言ってたでしょ?あの子の魅力に誰も気付か

なかったのかって思ったのよ」


「それは確かに、、」


「まあ、風早みたいなのは置いといてさ」


「あいつ必死だったな」


ニシシと笑う千鶴に表情だけで答えたあやねは、いつになく真面目に言った。


「あんな良い子に友達も居ないなんておかしいよ」


「うん」




**********




オープンキャンパス?」


「ええ、お友達に誘われたとかで朝から出掛けたわよ」


「そうですか。失礼します」




どう言う事だ?そんなものに誘うような友達は爽子には居ないはずだ。


どうなってるんだ?あの風早とか言う男が現れて以来、俺の思惑と違う事ばかり起こる。


爽子の日記に書いてあった、どこの誰かも分からない王子様が風早だったという事を知って

から、光貴は風早について調べていた。通う大学も分かっていたが、今日爽子が出掛けたの

は違う大学だ。


ずっと見てきた爽子。俺のものになるのは決まっているんだ。


爽子を他人から隔離し、孤立させていたのは他ならない光貴だった。自分だけを頼るように、

自分しか見えないように、時に積極的に周りに働きかけ、普段は気付かれないように周到に

孤独にさせて来たのだ。爽子の世界が広がらないように。


爽子に対する異常な独占欲は、本来、聡明で利発なはずの光貴を捻じ曲げていた。


爽子が自分に自信を持てないように、他人が爽子に興味を持たないように立ち回ってきた。

高校生まではすぐ近くに居る事が出来たが、光貴が大学に入ってからはそれも難しくなった。

だから光貴は爽子を言いくるめて、爽子があのカフェで働くようにしたのだった。


手元に置いておくために。


それでも両親の愛情が優ったのだろう。爽子は素直で優しい真っ直ぐな子に育っていた。


そして、そんな中で爽子は、小さな楽しみを見つけ、小さな幸せを感じ、小さな事でも

他人に感謝し、それを喜びとするようになった。


人に共感を与え、爽子の魅力をさらに高めるその性質は、光貴が爽子にしてきた事の

大きな副産物だった。

もっと、もっと上手くやらないとだめだ。感情に任せていてはいけない。


初めて俺以外に見せた爽子の心からの笑顔を見た時、


(あんなに簡単に・・・)


その時感じた羨望は一瞬で嫉妬に代わり、焦る光貴の心を灼いた。
灼かれた心に今あるのは憎悪だ。


爽子は俺のものだ。俺のものなんだ。




**********




「お待たせしてしまって」


「もういいの?じゃー、ラーメン行くよ!」


「ラーメン!う、嬉しいなあ」


いちいち感動する爽子につられてあやねとちづも、いつも行くラーメンがより楽しく

なっていた。


(爽子、話したい事があったはずだけど、この調子じゃ今日は無理ね)


ま、いつでも会えるんだし次でいっか。


爽子の置かれた深刻な状況に、まだ誰も気付いていなかった。




*****




「しょーた、、伸びる」


食べ掛けのラーメンを前に、指先を見ながら赤くなったりぼーっとしたりしている風早に

呆れる龍。


「しょーた、指どうかしたの?」


「なんでもねーよ!」


なんでもなくはないだろうという表情の龍からラーメンに視線を落とし食べ始めるものの、

また指を凝視して今度はニヤニヤし始めた風早の姿に、


(しょーた・・・)


声に出さずにつぶやき、


(ま、いっか)


と他の客から注文されたラーメンを作り始めた。






リレー小説 (14) へ 続く

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あとがき↓

ひゃぁぁ〜〜話が進んだ!光貴はやっぱり危ない人物だな。爽子を好きすぎてクレージー
爽子は囲われていたのですねぇ。あやねや千鶴のシーンはやはりホッとしますねぇ。あぁ〜
楽しかった。takezoさん再び登場ありがとうございます〜〜〜〜っ!続きが気になるっ!!
このお話を書いて下さったtakezoさんは実はキミトド妄想が膨らんでついにサイト立ち上げ
られた二次サイト管理人さまなのですっ!
何とも透明感のあるお話で妄想好きな私の妄想を掻き立てるお話があります。これからどん
どん増えていくんだろうと思うとドキワクです。私の楽しみを増やしてもらってありがとー
って感じです。ぜひ、みなさんも遊びに行ってみてください♪そして引き続き、このお話を
繋いでくださる方、募集中です〜〜〜!ここで終わりたくないんです。よろしくお願いします。

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