「はつこい」13

※ パラレル、オールメンバーは同じ。もちろんオリキャラ沢山出ます( ̄ー ̄)ニヤリ
※ 爽子と千鶴、あやねは同じクラス。風早は別クラスで交流がなかったという設定。
※ 爽子は高2の時に東京に転校してしまう。


爽子を送った帰り道、泣いている爽子を見て思わず抱きしめてしまった風早。感情の
のまま動いてしまった自分を悔やむが・・・。


こちらは 「はつこい」 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 の続きです。


興味のある方は以下からどうぞ↓  























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「風早〜〜〜久しぶり」

「大和!久しぶり、風邪で休んでたんだって?」

「うん、もうすっかり元気だよ!」

「そっか、良かったな」


翔太は大学で久々に会った大和と一緒に昼食を取ることになった。大和とは友達の中

でも同じ講義が多く、一番仲が良かった。


「・・・・風早、なんかあった?」

「え?」


他愛のない話をしながら食事をしていると、大和は突然、風早を覗き込んで言った。


「なんか元気ないような気がする」


ぎくっ


(・・・するどい)


「別に何もないよ」

「そう・・・?だといいけど」


大和は鋭い目で見た後、飲み物をごくっ飲んだ。


「・・・・」


翔太はあれから爽子に会っていない。どんな顔で会ったらいいのか?と不安でいっぱい

だった。爽子に嫌われたかもしれない。


(大和・・・彼女がいるんだっけ?)


「あのさ・・・彼女元気?」

「え?・・・どうしたの突然。元気だけど・・・」

「いや、喧嘩とかする?」

「普通にするけど?・・・・でも僕は女の子の気持ちが分かるから」

「え?」


すると、大和はハっとしたように”な〜〜んてね”と付け加えた。


「風早さ・・・もしかして好きな子いるの?」

「え??/////」

「・・・いるんだ・・。もしかしてバイト先とか?」


どきっ


「え??////」


大和はじっと翔太を見ると、探るように言った。


「ふ〜〜ん。その子かわいい?」

「そ・・・そんなのどうでもいいじゃん。それより甘いもんも食べよっかな」


翔太は話題を変えるようにカウンターに買いに行った。


「ふぅ〜〜〜ん。そうなんだ・・・・」


大和は頬杖ついたまま真顔になり、翔太の背中を見つめていた。



**********



この週末爽子は図書館に行った後、あやねと千鶴に会うことになっていた。

待ち合わせのカフェに入り、爽子はきょろきょろと店の中を見渡した。


「お〜〜〜い、爽子!こっち」


すると、向こうのテーブルで千鶴が手を振っていた。


「あっちづちゃん、あやねちゃんっ!お待たせしました」


爽子は嬉しそうに二人に駆け寄った。北海道に来て、こうやって二人に会える週末は

とっておきな時間だった。


「爽子何食べる〜〜〜?」


あやねにメニューを渡されると、爽子は目を輝かせた。このカフェは最近出来たとこ

ろで、一回来てみたかったのだ。


「素敵なお店だね。メニューもおいしそう・・・」


すると、あやねは爽子を見て、にまっと笑って言った。


「風早とまた来たらいいじゃん」

「えっ/////」

「そ〜〜だよな。龍もみんなで来ようよ」

「いや、ちづ、そんな意味じゃなくてね」

「??」


あやねは、風早の名が出て明らかに動揺している爽子をじと〜〜と見ると、”はは〜ん”

と顎に手を当てた。


「何?やのちん」

「??」


爽子が固まったようにあやねを見ていると、あやねは、ふふふ〜〜〜っと笑い出した。


月影千草出た!!こえ〜〜〜やのちんっ」

「さ・わ・こ!・・・白状しなさい。あの帰り道なんかあった?」

「ええっ!!」


爽子が絶句していると千鶴が叫んだ。そして爽子に” なになに? ”と詰め寄る。

さらに固まる爽子。


「すっかり女嫌いの誤解は解けたみたいじゃん」

「う・・うん、それは・・・」

「それで?」

「あ・・えっと、その泣いてしまって・・・」

「へ?」


爽子は翔太が自分のことを知ってくれていたことを話した。それがとても嬉しくて泣

いてしまったこと。そして・・・。


(・・・・恥ずかしくてそれ以上は言えない///)


爽子は”何してたんだろう・・・?” ”何が起こったのだろう・・・?” とあの後家に

帰った後、頭が真っ白になった。ただ、心臓の音が煩くて。


「・・・爽子、顔真っ赤なんだけど?」

「//////」


あやねは何かがあったことを確信したのだが、その場は何も聞かないでおいた。しかし、

恋愛初心者で、恋愛に疎い爽子が翔太の想いに気づけるのだろうか・・・?と不安になった。


(ま・・・他人がどうこういうもんでもないしね。)


「ところでバイト先の人、面白い人多いね」

「う、うん。みなさんとても親切で、丁寧に教えてくれるの」

「良かったな〜〜〜爽!店長も悪い奴じゃないしな」

「うんっ」

「ま、でも何でも間に受けないようにね。男は下心の塊だからさ」

「下・・・心?」


下心・・・。二人と別れた帰り道、爽子はあやねの言った言葉を心の中で反芻した。


どういうものを下心というのだろう?


家に帰って辞典で調べてみる。


「1 心の奥深く思っていること。心底。本心。2 心に隠しているたくらみごと・・・」


どきんっ


爽子はその文字を見ると大きく動揺した。


翔太のことを思い出すと、胸がどきどきしている。これは下心というものではない

だろうか?でもよく分からない。


泣いた自分を慰めてくれた翔太にどきどきが止まらなかった。びっくりしたが、

正直な気持ちは嬉しかった。そしてもっと一緒に居たくなった。これは下心では

ないのだろうか・・・。彼はただ優しいだけなのに。


「うわぁ///私の下心は・・・・きっと”2”だ」


爽子は手で顔を覆うと、真っ赤になり自分の欲張りさを恥じた。その”下心”が恋

とは気づかない。そして、まさか翔太が同じ想いでいることに自分の気持ち以上

に気づくことはなかったのである。


その爽子の鈍さがこれからの二人の恋路をややこしくすることになるとは知らずに・・・。





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あとがき↓

あっという間に君届の休載が終わったような気がします。来週じゃないですか!!
相変わらず萌え萌えですよ。萌えるとひつこいですからね。