「    」(10) 2周年記念企画リレー小説

サイト2周年企画 リレー小説 

こちらはサイト2周年記念として沢山の方に参加頂き、爽風の二次小説をつなげよう!
企画です。どんな話になっていくのか今から楽しみです。 

題名は最後に決めましょう!


<今まで決まっている設定>

* 風早、大学生 彼女なし。カフェで働いている爽子に惹かれている。
* 爽子、高校生 親戚のカフェで働いている。親戚の息子が光貫。
* 光貴 大学生・・・かな? 爽子に想いを寄せている。


今までのお話:高校の同級生、千鶴とあやねにコンプレックスを暴露された風早。
爽子にそのことを知られたくなくて話題を変えようとするが・・・


(リレー小説参戦の皆様、堂々たるラインナップ(´ε`*))
第一話 sawalove、第二話 梶浦ぴろさま、第三話 翠さま、第四話 苺さま、
第五話、COCOTANさま、第六話、bathosaiさま、第七話 瑠璃さま、第八話 
kazeloveさま、第九話 みあやまさ そしてついに第十話です!


この話は2周年記念企画リレー小説 (1) (2) (3) (4) (5)(6) (7) (8) (9) の続きです。




第10回 書き手  sawalove



























「なに?」

「あっ・・・風早さんどうぞ」

「いや、あのごめんな・・・あいつら好き放題言ってさ。全部忘れてい〜〜からっ!」


風早はそう言うと、コーヒーをがぶ飲みした。その様子をじっと見つめる爽子。その時

実感する。自分は取り繕うとか苦手だということを。話題を変えたいのに上手く言葉が

出てこない。そして・・彼女に見つめられると身動きが取れなくなっている。

そう、いつもの自分じゃない。


「あの・・・忘れたくないです」

「え?」


そっと見上げた先に彼女の透き通った瞳。少し潤んだ目で目尻を下げて微笑んでいる

彼女。とくん・・・と心臓が高鳴った。


「こんな風に楽しい時間を過ごせたのは初めてで・・・嬉しかった」

「・・・・」


心から嬉しいんだって感じる。その笑顔をずっと見ていたくなる。そう・・このまま

ずっと一緒にいたい。ずっと・・・


「あっ・・・」

「っ・・!」


俺は彼女の頬に触れていた。彼女は驚いたようにビクッとして目を見開いた。ハッと

して本能的に出した手を引っ込める。


(わぁぁっ〜〜何してんだ・・・俺!)


「ごめん・・・っ」

「う、ううんっ・・・」


彼女はぶんぶん首を横に振って俯いた。彼氏でもないのに何してんだって思う。何か

泣きそうに思ったんだ。そして・・・気付いたら手が動いてた。


(無自覚って・・・やばすぎる。あ”〜〜っ)


その時の俺は頭の中、やってしまった感で自己嫌悪に陥り、自分のことでいっぱい

いっぱいになっていた。だから気付けなかったんだ。彼女が俺の腕のちらっと見えて

いた黒子を見ていたことを。そして何を考えていたかを・・・。


* *


ー爽子宅


かちゃ


「ただいま、遅くなってごめんなさい」

「おかえり♪アラ、たまにはい〜じゃない。ご飯食べて来たの?」

「ううん、まだ」


爽子が家に帰ると母親が嬉しそうに玄関で迎えてくれる。娘が友達とお茶をして帰る

なんて初めてのことだからだ。


「爽子、おかえり」

「ただいま、お父さん」


父は新聞を反対に持ちながらリビングで爽子の様子を伺う。娘の初めての友達との外

出が気になって仕方がないのだ。爽子が帰って来るまで”友達って女の子だなっ!!”

と聞きまくっていたのに本人を目の前にすると何も聞けない父に母はぷっと吹き出し

た。そして夕食を整えながら思い出したように言った。


「あ、そうだ。光貴くん来てるわよ」


どくっ


「え・・・」

「爽子の部屋で待ってるって。何か学校の宿題で分らない所、教えてもらうんだって?

 光貴くん頭がいいから助かるわね」

「・・・・」


(光貴さん・・・)


とんとん


爽子は今日の光貴の様子を思い出し、自然に身体が固くなるのを感じた。ゆっくりと

階段を上がっていく。


かちゃっ


「爽子!おかえり」

「!」


光貴は満面の笑みでドアを開け、爽子を迎える。


「待ってたんだよ。ごめん、これ勝手に見てた」

「え・・」


爽子はその言葉にどきっとした。そして慌てて部屋に入ると、光貴が持っていたアル

バムを見てホッとした。その様子を鋭い目で見る光貴。


「なに、見られたらダメなものとかあるの?」

「わ、わたしの部屋なので、恥ずかしいものあるよ」

「ふぅ〜ん。小さい頃は何でも見せてくれたのになぁ」


そう言って光貴はにっこりと笑った。いつも通りの優しい光貴を感じると、爽子はホ

ッとして身体の力が抜けた。


(よかった・・・今日のは気のせいだったんだ)


爽子の見られたくないものは日記帳だ。そこには爽子にとっての命の恩人、王子様の

ことを沢山書いてある。爽子はベッドに広げられたアルバムをぱらっとめくった。


「このアルバム、光貴さんも写ってるもんね。いっぱい遊んでもらってたから」

「そうだね」

「懐かしいなぁ・・」

「爽子は小さい頃はずっと俺から離れなかったのにな」

「いつも光貴さんに助けられてばかりで・・」

「ずっと俺のお嫁さんになるって言ってたのにな」

「わわ、そんなことをっお恥ずかしい・・・」


ぐいっ


背後から腕を掴まれ、一瞬何が起こったか分からなかった。爽子が振り向くと、あの

時と同じで怖い形相の光貴が強い口調で言った。


「アイツと何してたの?こんなに遅くなって」

「あっ・・・イタイ・・・離してっ」

「爽子は現実を見なくていいんだよ。俺以外誰も見なくていい。世の中は爽子が思っ

 てるほど優しくないんだ」

「光貴さんっ・・・」

「悪い奴(男)ばかりなんだっ」


(こわいっ・・・)


爽子は驚いた表情で怯えながら光貴を見つめた。その様子を察した光貴はさっと手を

離し、いつも通り優しい表情になって言った。


「ごめん、ちょっと心配になって。痛かったね」

「・・・・」


爽子は明らかに様子が変わった光貴に言いようのない恐怖感を感じていた。掴まれた

腕が赤くなっている。やはり気のせいではないことを実感する。今までの優しい光貴

ではない。爽子の顔は強張っていた。


「それじゃ俺帰るね。爽子が帰って来て安心したから」


光貴はすくっと立ち上がると部屋の戸に向かって歩いて行った。


「あっ・・・心配掛けてごめんなさい」


そして去り際に言った光貴の言葉に爽子はフリーズする。


「王子様なんて現実にはいない。四葉の黒子なんて忘れた方がいい」

「!!」


かちゃっ


光貴が日記帳を見ていたことがはっきりと分かった爽子は茫然となった。




<つづく>



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あとがき↓

いきなりリレー小説の続きを書いてみる。書きたいモードが来ている。この次、誰か
つないでくれませんかね〜〜。しかし話を進められなかった。いつもながら何でこん
なに伸ばしてしまうのでしょうっ。誰か進めてぇ。2回り目をお願いしてみるか・・・。
絶対最後までいくぞ〜〜〜!エイエイオ〜〜ッ!
話を考えてもらったら代筆もします。