「はつこい」8

※ パラレル、オールメンバーは同じ。もちろんオリキャラ沢山出ます( ̄ー ̄)ニヤリ
※ 爽子と千鶴、あやねは同じクラス。風早は別クラスで交流がなかったという設定。
※ 爽子は高2の時に東京に転校してしまう。


爽子が自分のことを”女嫌い”と誤解していることを知って、茫然とした翔太だが・・・?


こちらは 「はつこい」    の続きです。


興味のある方は以下からどうぞ↓  
























* * *


爽子はアキの言葉を思い浮かべた。


『あいつ、翔太な、どうも女嫌いみたいやで。ここには男しかおらんかったから分から

 へんかったけどな・・』


ショックを隠せなかった。高校時代の彼からそんな印象を受けたことはなかった。もし

そうだとすると今まで無理をしていたのだ。

爽子は翔太の笑顔を思い出すと胸が痛んだ。


”『風早なんてどう?彼氏に』”


あやねちゃん・・・そんなのやっぱりありえないよ。側にいることだけでも迷惑を掛けて

いるというのに・・・・。


爽子はどうすれば良いか分からず、翔太を真っ直ぐ見れずにいた。


* * *


一方、翔太は不安そうな顔をして自分に近づこうとしない爽子に茫然となった。


(なんでそんな誤解を・・・・)


しかし、翔太は昨日までの翔太ではなかった。ぎゅっと唇を噛むと爽子をまっすぐと

迷いのない目で見つめた。


「くろっ・・・「おいっ!!何やってんだ??もう開店するぞっ」」


その時、タイミング悪く店長がスタッフルームから出てきた。


「は、はいっ!!」


焦ったように爽子は業務を再開した。翔太はもどかしい思いでいっぱいだったが、今

はこれ以上話せないと諦めて仕事を始めた。爽子は信じきっている。簡単に誤解が

解けるようには見えなかった。店が開店してからも、ちらちらっと爽子を気にしながら

作業を進める。


(後でちゃんと話そう・・・)


カウンターに二人になれば何でも話せる。それほど忙しい仕事ではないのだ。翔太

は何度となく店長を確認しながらチャンスを狙っていた。そして店長が部屋に入った

のを見て、翔太は”よしっ”と爽子に向き合った。


「くろっ「さ〜〜〜〜わこっ!!」」

「あっ!!」


その時、またしても翔太の意気込みを邪魔するようにやってきたのは・・・?


「ちづちゃんっ・・・あやねちゃんっ!!来てくれたの?」


爽子は二人の姿を見ると嬉しそうに目を輝かせた。


(え・・・吉田?)


「おぉ〜〜〜風早久しぶりっ!タイミング良かったわ。一緒のシフトだったんだ?」

「あ・・・ああ久しぶり」


(・・・十分タイミング悪いよ)


「えっと矢野だっけ?」

「覚えててくれたんだ。卒業以来だね」

「まじでな。なんか懐かし〜〜な」


その様子を見ながら爽子は顔を強張らせて不安そうにしている。


「どうした?爽?」

「あっ・・・あのね今、仕事中なのでもうすぐ休憩だから、ちょっと待っててくれる?」

「え・・あ、そーだね、じゃ本でも見てるよ」


千鶴が少し腑に落ちないような表情をして言うとあやねも同じように頷いた。あやね

は下に行く前に思い出したように立ち止まった。


「そーだ。風早は爽子のこと知ってたの?」

「え?」


(どきっ)


「爽子が北幌にいたこと。高1の時私たちと同じクラスだったんだよ」

「え・・・あっ・えっと「−あやねちゃんっ」」


知っていることを言うと今まで嘘をついていたことになる・・・と翔太が言うことに躊躇

していると、それを遮るように爽子が声を上げた。


「あのっ・・・後でね」

「ああ・・・ごめんね。それじゃ下で待ってる」


爽子は二人にぺこぺこっと頭を下げるとカウンターに来た客を接待していた。その姿

に違和感を感じながら翔太もそのまま仕事を続けた。一刻も早く誤解を解きたいのだ

がそのタイミングを見つけられないまま、爽子は先に休憩に入っていった。


* * *


「え〜〜〜〜〜っ!!」

「ちづっ声大きい!」


爽子は休憩に入ると、3人で近くのカフェに行きさっきの態度を謝った。そして訳を話

すと千鶴の素っ頓狂な声がカフェ中に広まった。


「ご、ごめんね。だから、女の人が側にいると風早くんがしんどいかなって思って・・・」

「風早が女嫌い??」


千鶴はそう言うとしばらく固まった後、ゲラゲラお腹を抱えて笑い出した。その姿を

きょとんと見ている爽子。


「はぁ〜〜〜腹イタッ。そんなわけないって」

「え・・・でも」


爽子は顔を曇らせると、先日のアキが言ったことやこの間の翔太が突然去って行った

ことを話した。


「まじで?でもそれは初耳だなぁ〜〜〜ありえないと思うけど」

「私もないと思うけど?その突然去って行ったってのはどんなシチュエーションだったの?」


あやねも首を傾げて聞くと、爽子は ”え〜と” とあの場面を思い出すように話した。

爽子の話を聞いているあやねの眉根が段々寄ってくる。


「あのさ、最初はいつもの笑顔だったのにその後、突然去って行った??」

「うん・・・それも女嫌いのせいかと。ずっと我慢していたのだと思うの・・・無理に笑って」


爽子はいかにもが〜〜んっとした顔で申し訳なさそうに言った。あやねは爽子の性格

を知っていた。何にでも前向きだが、相手を思いすぎて弱気になったり、時々捉え方

が妙にズレていることを・・・。


「それってさ・・・女嫌いというよりむしろ」

「??」


あやねは一人でぶつぶつと眉を顰めて呟いていた。


「まぁいいわ。それより・・・ということはこのバイト、爽子女子一人なわけ?」

「そ、そうなの〜〜〜〜〜!!まさか・・・と思っていたのだけれど」


アキに言われて今までの疑問が解けた。いつか会えると思っていた女子バイト員はい

なくて、レンタル部門は男ばっかりだったということ。


「へぇ〜〜〜でも逆を返せば出会いの宝庫じゃんっ」

「ほうこ・・・?」


あやねはニッと爽子に笑いかけた。爽子はきょとん・・・としながらあやねを見ていた。

爽子にとっての新しい出会いは今までにない環境だった。不安も大きかったが、翔太

がいた。思いがけない出会いに期待の方が大きくなった。しかし、そんなところに知っ

た翔太の秘密。その時なぜこんなにショックを受けているのか?爽子は自分自身の気

持ちが分からず、複雑な気持ちに戸惑っていた。


しかしそんな爽子に、この後あやねの予想通り、”恋”の出会いはすぐそばまでやってき

ていたのである。






「はつこい」  へ














あとがき↓

なんか、なかなか更新できないなぁ。一日48時間欲しい。しかし、涼しくなったと思ったら
また暑くなってきましたね。ムシムシしてる。湿度が高いのが嫌だぁ〜!皆様どうぞ気温
の変化が激しいのお風邪など引かれませんように・・・。