「はつこい」11

※ パラレル、オールメンバーは同じ。もちろんオリキャラ沢山出ます( ̄ー ̄)ニヤリ
※ 爽子と千鶴、あやねは同じクラス。風早は別クラスで交流がなかったという設定。
※ 爽子は高2の時に東京に転校してしまう。


やっと爽子の隣に座れた翔太だが、誤解のことを話そうとしたらドアの開く音がして・・・?


こちらは 「はつこい」 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 の続きです。


興味のある方は以下からどうぞ↓  





























「「ーとわ!!」」


一斉にそれぞれがドアに向かって叫んだ。

ドアのところには短髪でバイクのメットを持った小さな背の男が立っていた。


「お前久々だなぁ〜〜〜〜〜まだ合宿じゃなかったのか?」

「さっき帰ってきたから、このままここに直行しました!」


皆にくしゃくしゃっと頭を乱されて、わいわいと賑やかな風景を爽子は不思議そうに

見つめていた。すると、ばっと爽子とその男の目が合った。


「!」

「君?もしかして新しい子って」

「あ・・・えっと、はい」

「よろしく、俺もバイト仲間なんだ。柏木永遠(かしわぎとわ)」

「あ・・・よ、よろしくお願いします。黒沼爽子と申します」


爽子は慌てたようにぺこぺこっと頭を下げた。


「やっぱり君なんだ」


永遠は爽子ににっこり笑うと、爽子の横に自然に座った。


「翔太久々っ!」

「おう、久々だな。免許取れたのか?」

「当ったり前よ!!」


永遠は、翔太と同い年だった。大学が工事中で入学が遅れている永遠はこの時とば

かりに合宿自動車免許を取りに行くためにバイトを休んでいた。バイト内で唯一の同

い年ということで二人はすぐに仲良くなった。爽やかな感じが二人に共通していた。


「黒沼さんだっけ?バイト慣れた?」

「あ・・・はい。みなさん親切で・・・」


爽子は初対面だが、翔太のような関わりやすさを感じた。そして自然に接してくれ

る、永遠に嬉しくなった。


(いい人〜〜〜〜〜〜っ)


二人が自然に話す姿に、翔太はまた自分の中で嫌な感情がもくもくと湧き上がって

くるのを感じた。


「あのさ・・永遠、どうして新しいバイトが彼女だって分かったの?今日は彼女の友達

 もいるんだけど?」


翔太が千鶴たちに目を向けながら言うと、永遠はふっと笑った。


「アキさんがメールくれたんだよね。それでどんな子か聞いたら天然記念物みたいに

 純情な子っていうからさ、なんとなく君かなって思って」


永遠がにっこり笑って言うのを爽子は不思議そうに見ていた。


「・・・想像膨らませてたんだ。良かった会えて」

「こ、こちらこそよろしくお願いしますっ!!」

「はは、もう聞いたし」

「・・・・・・」


翔太が本気で危機を感じたのはこの時が初めてだった。



* * *



「うぇ〜〜〜〜社長めぇいつも俺をコキ使ってっうっぷぅ」


飲み会もお開きとなり、いつも通り店長がふらふらになっていた。酒に弱いが飲んで

しまい、一人では帰れなくなるという人に迷惑をかける人なのである。


「店長酒癖わりぃ〜〜んだよな。おい、アキ同じ方面だろ?店長頼むよ。タクシー
 呼んでやるからさ」

「え〜〜〜〜〜〜っ!皆で帰ろうよ!」

「俺ら方向違うもん」

「そうよん、私は本城さまと帰るしぃ」

「ちょっと、お前うっとおしんだよ」

「ひどぉ〜〜〜〜いぃ」


本城に言われてアキはいやいや店長を連れて帰ることになった。神楽は本城から何

を言われても腕を掴んで離れない。その横でシンは爽子達に目を向けて言った。


「君たちは家どっち?」

「私とちづは同じなんだけど、爽子だけが違う方面なんですよね。あ、爽子の家、風早

 と同じ方面だよ。確か」


あやねはそう言うとにやっと笑って翔太を見た。


「風早送ってやってよね」

「わわ・・私大丈夫だよっ」


爽子がぶんぶんと必死で手を振ると、翔太は真面目な顔をして言った。


「送る」

「え・・・・」

「嫌?」

「そ・・・そんなんじゃないよ」


どくんっ


爽子は恥ずかしそうに俯いた。その様子を永遠はじっと見ていた。


「そんじゃ翔太、黒沼さんまた今度バイトで。俺バイクだから帰るわ」

「あ・・・ああ、気を付けてな」


ブ〜〜〜〜ンッ


バイクで去って行く永遠を見送りながら、あやねが唸って言った。


「へぇ〜〜あの子も結構いいじゃん。背は低いけど。爽子、イケメンパラダイスだねっ」

「え??」


爽子は、ぽんぽんっと肩を叩かれるときょとんとした顔であやねを見つめた。


「じゃ、私たちも帰るわ。風早よろしくね」

「うん」

「君らあっち方面だろ?俺一緒だから送るよ」


シンがそう言うと、本城が”俺も〜〜〜〜”と遠くで叫びながら神楽太郎に連れてい

かれた。その様子を皆笑いながら見送った。


あやねと千鶴はシンの好意に甘えることにした。とにかくあやねは翔太と爽子を二人

きりにさせたかったのだ。


「またね〜〜〜風早、爽子」

「あっちづちゃん、あやねちゃん今日はありがとっ。気を付けて帰ってね」


皆が帰って二人になると、翔太はこほんっと咳払いを一つしてくるっと背中を向けた。


「・・・いこ」

「う、うんっ」


思いがけなく初めて二人になった夜。翔太は爽子の顔が見れずにゆっくりと前に歩き

出した。空には満点の星が輝いていた。









「はつこい」 12 へ










あとがき↓

この話ではキャラが絡み合うということはあまりないです。でもそれぞれのキャラの恋
はあって、それが翔太に影響を与えるという話を考えています。相変わらずオリキャラ
好きですみません・・・。興味のない方はスルーでお願いします。展開遅いしね。