「    」(6) 2周年記念企画リレー小説

サイト2周年企画 リレー小説 

こちらはサイト2周年記念として沢山の方に参加頂き、爽風の二次小説をつなげよう!
企画です。どんな話になっていくのか今から楽しみです。 

題名は最後に決めましょう!


<今まで決まっている設定>

* 風早、大学生 彼女なし。カフェで働いている爽子に惹かれていっている。
* 爽子、高校生 親戚のカフェで働いている。親戚の息子が光貫。
* 光貴 大学生・・・かな? 爽子に想いを寄せている。


今までのお話:爽子と光貴の関係が気になる風早。そして光貴はいつもと違う爽子の
様子に風早を危険に思った。爽子はまだ会って間もない風早が気になっている。それ
ぞれが眠れない夜を過ごしたが・・・?


この話は2周年記念企画リレー小説 (1) (2) (3) (4) (5) の続きです。




第六回 話: bathosaiさま
書き手: sawalove

























★゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・


ピチピチピチ


爽子は爽やかな朝に風早の笑顔を思い浮かべると自然に笑顔になっていた。あの人の

ことを思い浮かべると幸せな気持ちになるのはなぜだろう?

また、会えるだろうか・・・?


爽子はそんなことを考えながら朝の支度をしていた。鏡を見て髪を整えている時ふと

思った。


「・・・あの夢を見たのは久しぶり・・」


すっかり見なくなった夢。恐怖と共に思い出す命の恩人。あの人がいなかったら今の

私はいない。おこがましいけれど・・・・


私の王子様。


(きゃっ・・・なんて図々しい私っ///)


爽子はあわあわとなりながら手早く髪をブラッシングしている手を動かす。


どくんっ


その時、爽やかな笑顔が頭に浮かんだ。


”『元気だして。君はウェイトレスに向いてないことなんかないよ』”


爽子は胸がとくんっ疼いた。


今考えていたのは王子様のこと。それなのになぜあの人が思い浮かぶのだろう。

爽子は鏡に映る釈然としない自分の顔を見つめていた。



* * *



「こんにちわ」

「!」


ある日、学校を終え爽子がカフェに入ると、背後から聞こえた声にびくっと身体を揺らす。


「ごめん、驚かせたね」

「あっっ・・・こ、こんにちわっ!い・・いらっしゃいませ」


背後に居たのは風早だった。スタッフルームと化粧室が隣り合わせで、風早はトイレ

から出た時に爽子がドアから出てきたところだった。


風早は照れたように手で顔を覆う。爽子は突然の風早の登場にドキドキが止まらず、

ぺこぺこっと頭を下げた。


あれから風早は考え悩んだ結果、再びカフェにやってきた。”光貴”と言う人がもしか

して彼女の彼氏かもしれない。でも、初めて芽生えた想いを消すことは簡単にできな

い。それにまだ名前の他何も知らないのだ。聞かないと・・・始まらない。

そして、知ってもらいたい。


風早は席に着き、爽子がやってくると心臓がどきんっと鳴った。お互い戸惑い気味に

視線を合わす。


「ご注文は・・・?」

「あっコーヒーお願いします」

「は、はいっ。しばらくお待ちください」

「あっ・・・」


風早は力のない指先を宙に浮かすと、注文を終えて素早く去って行くウェイトレスの

爽子を名残惜しそうに見つめた。


ただ・・知ってもらいたい、俺の名前。


でも、仕事中の彼女とゆっくり話せるわけもなく俺はジレンマに陥った。このカフェ

は人気があるので、平日でもある程度の人が入り従業員は忙しそうだ。


初めての恋にどうすればいいか分からず、風早は自分自身が情けなくなった。自分は

こんな性格だっけ・・・?と考える。今までやりたいことはすぐに行動を起こしてき

た。聞きたいことは率直に聞いていた。なのにこのさまだ。


・・・ちゃんと話したい。


風早はぎゅっと拳を握りしめると爽子がコーヒーを運んでくるのを待った。そして・・・。


「お・・お待たせしました」

「あ・・・ありがと。・・・っねぇ!」

「!」


その時、立ち去ろうとしていた爽子に風早は思いきって声を掛けた。


「は・・・い?」


あれからあの笑顔は見れない。緊張させているのだろうか?振り返った彼女は不安そ

うに見えた。


「俺、風早翔太」

「え?」

「名前。言ってなかったと思って」


そう言って、風早は名前の漢字も丁寧に伝えた。すると・・・?


「・・・・」


彼女は一瞬止まった後、控え目だがふわぁっと小さく笑った。俺は思わずどきっとした。


「風早・・・翔太・・さん!す、すごく似合いますっ」


そう言われた時、自分の頬が熱くなっていくのを感じて必死に手で顔を隠す。そして

彼女の顔を見れず俯いたまま言った。


「さ・・わこさんも似合うよ」


すると彼女は驚いたように目を見開いた。その姿を見て風早はさ〜〜っと顔を青ざめた。


(やば・・引かれたかもっ)


「えっと・・・この間一緒にいた男の人がそう呼んでたから」


風早が焦ったように言うと、爽子は思い出したように眉を上げた。


「あっ・・」

「どんな字書くの?」

「あのっ苗字は黒沼なんですが、名前はさ・・・爽やかな子で爽子なんで・・・似合

 わないんですが・・」


俯き加減に言いよどむ爽子に風早は即答した。


「似合う」

「え・・・?」


爽子は驚いた表情で茫然と風早を見つめた。


「似合う」


その瞬間、爽子の顔がぱぁぁっと輝いた。初めて見たあの笑顔だった。あの時、まる

で小さな愛らしい花のつぼみが静かに花びらを開いていくような感覚を覚えた。


その笑顔を見ると、胸がきゅーっとなった。


「また・・・見れた」

「え?」


風早は、ははっと嬉しそうに笑った。


やっぱり好きだ。会って間もないとか、彼女のことを知らないとか関係ない。この気

持ちを大事にしたい・・・そう思った。


「・・今日仕事終わった後、少し時間あるかな?話がしたいんだけど」


しぃ〜〜ん


少しの間が開いた。きょとんとしている彼女。俺は思わず息を止めて彼女を見つめた。


「5時ごろ・・・になってしまうのですが・・」

「大丈夫。待ってるから」


爽子は風早に即答され、戸惑い気味にコクンッと頷いた。


彼女と二人で会える・・・。


風早は子供のようにテーブルの下でガッツポーズをして嬉しそうに笑った。

その様子をカフェの外で見ている黒い影の存在を知らずに・・・。


* * *


(うわ・・・っ早くしなきゃ)


バイトを終え、素早く支度をした爽子は急いでカフェを飛び出した。近くにある公園

で風早と待ち合わせをしていた。知らず知らずのうちに気が急いている自分に気付く。

自然に心が躍り出している。


(やだ・・・何のお話か分からないのに)


爽子は熱くなった頬を手でパタパタと煽った。


「どこ行くの?」

「!」


今にも走り出そうとしていた時、声が聞こえた。爽子が声の方向を向くと、カフェの

ドアの横で光貴が腕を組んで壁にもたれていた。


口角を上げ、笑っているように見えるが、その表情はどこまでも冷たかった。


To be continued





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リレー小説 (7) に続く











あとがき↓

この話はbathosaiさまから頂きました。話の展開は以下です。


・次の日、風早がカフェに行き、珈琲を持ってきた爽子に自分の名前を告げる。
・その様子を光貴がイライラしながら店の奥から見ている。
・風早が「仕事が終わったら、違うとこで話したい」と爽子に言い、爽子がOKする。
・仕事が終わり、爽子が風早に指定された場所へ行こうカフェから出ると、
 光貴が立ちはだかる。


以上ですが、合ってますでしょうか(汗)あまり光貴を出せませんでしたが。さてこ
の次はいよいよ二回り目の私になってしまいます。どなたか〜〜〜展開だけでも下さ
いませんでしょうか?もちろん小説全部担って下さる方がいれば嬉しいですが、お話
だけでも大歓迎です。私が代筆させてもらいます。随時募集中です〜〜〜♪
bahosaiさま、ありがとうございました!