「Once in a blue moon」(28)


※ こちらは「Half moon」という話のオリキャラ(蓮)が中心となった話で未来話です。
  爽風も出ますが、主人公ではないので受け入れられる方以外はゴーバックで。

★「Half moon」は 目次 から。
こちらは 「Once in a blue moon」 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26 27 の続きです。 


☆ 蓮に幸せになって欲しい。翔太は自分が幸せを噛みしめるほどそう強く願う。しかし
独身ではなくなった翔太を気遣う蓮とは距離を感じ・・・。翔太&蓮の回前半。 




















・‥…━━━☆ Once in a blue moon 28‥…━━━☆




















「蓮、こっち!」


この日、翔太は仕事帰りに蓮と飲むことになっていた。先に居酒屋で飲んでいた翔太

が戸口の蓮を見つけて手を振った。金曜の夜ということで店は混み合っている。

蓮は通りがかりの従業員にビールを注文すると翔太に目配せし隣にどかっと座った。


「お疲れ。今日、部署の飲み会はなかった?」

「他の奴らは行ったみたいだよ」

「良かったの?」

「俺は時々しか行かないから。翔太こそ、付き合い悪いって言われんじゃねーの?」

「たまには顔出してるし」

「本当は仕事終わったらすぐにでも家に直行したいくせに」

「そ、そんなことないって!」


あはは〜っ


蓮のビールが来ると、お互いのジョッキをチンッと合わせて飲み干す。こうやって外

で二人で飲むのは久々だった。家庭がある翔太は仙台の頃のように蓮と会えないこと

をもどかしく思っていた。実際蓮が明らかに距離を開けている。この日は翔太の誘い

に蓮が珍しく乗ってきた。


「あぁ〜〜〜〜〜うまっ!」

「疲れ吹っ飛ぶな。やっぱ仕事帰りはこれに限る」

「翔太は奥さんに限んじゃねーの。いーの?今日」


蓮はいつもの口調でにやっと笑って言うと、翔太は照れながらも素直に答えた。


「まっ・・そうだけど。たまには爽子にもゆっくりさせてあげたいっていうか」

「いや、全くそーいうのはないんじゃない。飯作るの好きそうだし」

「・・そう言ってくれるけどね。ところで蓮はちゃんと食べてんの?」


蓮は思わず飲んでいたビールを吹き出しそうになった。


「何、いきなり?」

「いや・・この間爽子と話してたんだけど、引っ越し以来蓮の家に行ってないわと

 思ってさ。姑のようにチェックしに行こっかな〜〜」


翔太はそう言うとちらっと蓮を見てにやにやと笑った。からかい返しのように言う翔太

にぷっと蓮は吹き出すと、”いつでもどーぞ”とさらっと返した。


「でも、引っ越し以来何も変わってねーわ。殆ど物ないしな」

「え〜〜歯ブラシが2本とかないの?」


すると、蓮は視線をぱっと下に向けて誤魔化さずに話した。


「麻美はまだ家に来たことない」

「え・・・何で?」

「う〜〜ん。なんでだろ。ズルズル行きそうで嫌なのかもな」

「・・・ふ〜〜ん。ま、ちゃんと食わないとゆづが心配するかんな」

「ゆづ?ははっ分りました!」


ははは〜〜〜っ


「ま・・・俺も家事をちゃんとやんなきゃなって思ってるんだ」

「え?翔太が?」

「え?って、一人暮らしん時やってたじゃん。今も爽子の助けになりたいんだけど、

 本当に爽子ってすごいからやろうと思ったら終わってて・・・」

「はは、らしーな」

「俺は外で仕事をしてるんだから、自分は家事をするのが当たり前だと思ってる。

 ほんと健気なんだから・・・」


そう言って愛しそうな顔をして話す翔太を蓮はちらっと見ると、料理をつまんで言った


「じゃ、別にいーじゃん、家事しなくて」

「う・・・ん。それがさ・・・」


蓮は煮え切らない様子の翔太を不思議そうに見つめる。


「爽子さ・・・前の会社の上司に道でバッタリ会ったらしくて、短期でいいから少し

 の間、仕事を手伝って欲しいって言われててずっと悩んでんだよな」

「へ〜〜そうなんだ」

「ほら、彼女すごく優秀じゃん。だから結婚式で爽子の上司に会った時も”彼女を辞

  めさせないで欲しい”って懇願されたんだ。・・でも結局子供ができて爽子が退職

 を決心したんだけど、本当は仕事もしたかったと思う」

「ゆづは大丈夫なん?」

「うん。受けるとしても3ヶ月と言う条件らしいから喜んで親が見てくれると思う」

「で、彼女は?」

「・・・受けないって言うんだよな」


蓮は翔太の葛藤が手に取るように分かった。そしてふっと笑った。


「・・っ何?」

「いや、悩むよな。また一緒に居る時間が減るもんな。ライバルとかも心配だしな」

「//////」


図星を指され恥ずかしそうに頭をかいている翔太を横目に見ると、蓮は頬杖をついて

思い浮かべるように遠くに視線を向けた。


「ま、翔太が後押ししてやんねーと彼女は動けないんじゃね?人のことを想いすぎる

 子だろ?上司に言われて責任も感じてるだろうし・・・。何より人の役に立ちたい

 だろーしね」

「・・・・」


翔太に複雑そうな顔で見られていることに気付いた蓮はハッとしたように目をピクッ

とさせた。


「・・・よく分かるね、爽子のこと」

「いや、何となくそう思っただけ」


蓮が戸惑い気味に言うと、翔太は嬉しそうに笑った。


「だからなんだな・・・」

「え?」

「だから、俺は蓮と気が合うのかなって思った。爽子と蓮・・・前から似てるって思

 ってたんだ。最初に蓮に会った時もすっと入っていけたし」

「・・・・・」


そう言って素直な笑顔を見せる翔太を見て蓮は表情を曇らせた。思わずジョッキを握る

手に力がこもる。


「・・・どうかな。むしろ翔太の方が似てるよ」

「え・・・?」


すると、翔太は固まった後ぱっと表情が明るくなった。


「やっぱ、蓮だな」

「え?何が」

「高校ん時から、爽子と俺は違いすぎるって言われてたから・・・めちゃくちゃ嬉しいっ!」

「・・・・」


翔太はそう言うと本当に嬉しそうに笑った。その笑顔は誰もが憧れるだろう。出会った

頃から何も変わらない眩しい笑顔。



蓮はそんな翔太を憧れるように見つめる爽子の顔を思い浮かべると、ふっと優しい笑み

を浮かべた。




「Once in a blue moon」29 へ














あとがき↓

この回が長くなってしまって二つに分けました。明日UPしますね。男同士の語りやっぱり
好きで入れてしまうんですね〜〜〜。「Half moon」にも結構出てきましたよね。
萌えるんですこれが(笑)
ところであさっては別マですね。ワクワクドキドキですっ!最近は買っていないけどマン
喫で読んでます。キミトド以外があまりにも今の別マは・・・。というかキミトドがなけ
ればまず買うことはなかったですけどね┐(´д`)┌