「Once in a blue moon」(23)


※ こちらは「Half moon」という話のオリキャラ(蓮)が中心となった話で未来話です。
  爽風も出ますが、主人公ではないので受け入れられる方以外はゴーバックで。

★「Half moon」は 目次 から。
こちらは 「Once in a blue moon」 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 の続きです。  


☆ 爽子を過去に好きだった人が光平と知った麻美。まるでそんな過去を感じさせない
爽子達にますます興味が深まり・・・?




















・‥…━━━☆ Once in a blue moon 23 ‥…━━━☆

















あれから爽子のケーキを堪能し、それぞれがリビングで寛いでいると・・・


「私も食べるぅ〜〜〜ケーキ!」

「お、昌復活!」


1時間ほど眠った昌がすっきりした顔で現れた。


「大丈夫??昌さん」

「大丈夫、大丈夫!!ごめんねぇ〜爽子ちゃん。心配掛けて」


爽子は”ううん・・”と首を振り、心配そうに昌にそっと水を差しだした。


「いや、旅行するから仕事も片付けようと徹夜続きだったし、昨日はどうも興奮し

 ちゃって眠れなくって・・・お恥ずかしい」

「ほんと、子供の遠足じゃねーんだし」

「うっさい光平・・・それより爽子ちゃん、私なんか変なこと言ってなかった?」


どきっ


ソファーにどすんっと座って頭を抱えながら言う昌をちらっと見ると麻美は焦ったよ

うに視線を逸らした。昌の言葉がずっと頭から離れない。


”実はさぁ・・・彼、爽子ちゃんが好きだったんだよ”


(覚えてないんだ・・・)


爽子さんはもちろん、”何も言ってないよ”と言う。聞こえなかったと思う。昌さんが

覚えていないことに驚いた。


「・・・・」


私は以前から漠然と思っていた。爽子さんを好きになる人はきっとのめりこむ・・・と。  

生半可な感じで好きにならないような気がしていた。


だから、5年前のことが気になってしまう。色々複雑に絡み合ったのだろうか?それ

ともうやむやにしたまま終わったのだろうか・・・?でも爽子さんは知っていたとい

うことは、告ったということだ。蓮は知ってるんだ・・・。


(やばっ気になる・・・)


「うわわっ〜〜〜何コレ!めちゃ美味しい。爽子ちゃん天才だねっ」


昌は興奮気味にケーキを頬張っていると、光平が嫌味っぽく言った。


「仕方ないから残してやったんだぞ。全部食べようかと思ったけど。お前食べて大丈

 夫なのかよ?」

「大丈夫〜〜〜〜っ。もうすっきり。光平がコレ全部食べてたら離婚だっ!」


あはは〜〜っ


皆が大笑いする。昌はケーキを食べながらきょろきょろっと周囲を見渡す。


「あれ?蓮は?」

「ゆづを寝かしに行ってくれてる。いつもゆづが蓮と寝たがるからさ」

「んで、風早は父親形無しなんだ」

「ーっさい、一言多いんだよ。田口」


わはは〜〜っ


風早さんと光平さん・・・昌さんが来て何となく和んだけど、いない時はなんか・・

いつもと風早さんが違う気がした。それはやっぱり・・・?


「しっかし、かわいいよねぇ〜ゆづちゃん。いくつになるんだっけ?」

「もうすぐ4歳です」

「そっか・・・」


私は爽子さんと昌さんの会話を聞いていて、昌さんの意図することが分かった。そし

てそれは心配しているからだという事も分かる。


「病院・・とか行ってみた?」

「あ・・・ううん」

「・・・そっか」


爽子さんが表情を少し曇らせたのを見て、風早さんがすかさず口を挟んだ。


「うん。そうだな、また考えてみる」

「ごめん・・・なんか差し出ましいことを」

「ううんっ・・・ありがとう・・・心配してくれて」


ゆづちゃんが喋れないこと。最初は気になってたけど今は全然忘れてた。それが自然

だったし、意思疎通は動作で出来ているから問題なかった。だからそのことについて

話したことないけど・・・爽子さんは気にしているのだろうか?


キッチンに立って今度はおつまみを用意している爽子さんのもとへ、手伝いに行くふ

りをしてそっと聞いてみた。


「さっきのこと・・・大丈夫?」

「え?」

「ゆづっちのこと。気にしてるかと思って」

「あっ・・・ううん。全然なの」

「え?」


すると爽子さんは穏やかに笑って思ってもみないことを言った。


「実はよく言われるの。ご近所さんや、遊びに行く先で」

「へぇ・・・」

「でも、私は気にしたことがなくて」

「え?」

「何となく・・・不思議なんだけど、特に問題がないような気がして」

「・・どうして?」

「分からない・・・そう感じるだけで。だから親身になってくれている人たちのこと

 をどう受け止めたらいいのか分からなくて・・・複雑な気持ちになるの」


初めての子育ては不安だと言う。喋らない子供を不安に思い、普通なら色々な病院を

聞いて回るかもしれない。でも爽子さんは妙に確信していた。それは言葉で説明でき

ない感覚のようなものなのかもしれない。私がさっき感じた違和感のように?


(って全然違うだろうけど・・・)


「あのね、ゆづちゃんが私たちの元にやって来てくれたことが奇跡でしょ。だから

 ゆづちゃんには私たちには分からない未知なるものが沢山あるような気がして」


こんな風に考える親がいるだろうか・・・。


「やっぱ・・・爽子さんだな」

「え??」


妙に感動している自分がいた。


チャッチャチャラ〜〜〜♪


その時、大きな携帯音がリビングから鳴り、二人ともびくっとした。どうも昌さんの

携帯だったようだ。お互い作業の続きに戻る。

おつまみを嬉しそうに作っている爽子さんの横顔を見ながら私は穏やかな気持になる。


そうか・・・焦らなくていいんだ。


爽子さんの過去を少し知って、遠い人になったような気がした。不思議なのだが、私

は蓮と爽子さんに関しては異様に貪欲だ。好きになった人にはとことん入りたくなる

私の性格を実感する。でも大切だから・・・大切だからゆっくりと知ればいい。


「いつか教えてね」

「え?」

「いろいろなこと・・・」

「??」


私はそう言うと、きょとんっと首を傾げている爽子さんを見て微笑んだ。

焦る必要なんかない。私が爽子さんを大好きなのはずっと変わらないのだから。


「爽子さん、これ持ってくね」

「ありがとう・・・」


リビングに行くと、いかにも焦った様子の昌さんが電話をしていた。


「ーええっ!!」


そして素っ頓狂な声を上げる。爽子さんと私は思わず眉を顰めながら視線を合わせた。

風早さんも光平さんもみんな、昌さんに注目していた。


その電話の相手は私にも大きく関係する人物だったのだ。






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あとがき↓

今月の別マは風早の出番が少なかった・・・(´・ω・`)ショボーン やっぱ私は風早が好
なのだと実感。寂しかった。早くキラキラスマイル見たいなぁ。
二次に関しては今までさぼっていた分、詰めて更新できるといいなぁとは思ってます。
(あくまで目標!)いつもありがとうございます!