「Once in a blue moon」(1)
※ こちらは「Half moon」という話のオリキャラ(蓮)が中心となった話です。が、蓮が
主人公というわけではないです・・・というわけで主人公を定めません(*´д`*)
「Half moon」は目次からどうぞ→ もくじ 番外編はこちらから→ 「Blue moon」
※ 爽風が出ますが、中心というわけではありません。また他にもオリキャラが出ます。
未来を妄想したパラレルになります。
以上の設定を受け入れられるマニアックな方は以下からどうぞ。「こんなの違うっ!」と
いう原作重視の方や、パラレル苦手な方はゴーバックでお願いします。
☆風早が仙台を去って5年の月日が流れていた。あれからのふたりは?そして蓮は・・・?
いつか誰かに聞いたことがある。
一ヶ月のうちで2回満月になる時が稀にあるらしい。そしてその2回目の満月を
”Blue moon” ということを。そのことを聞いた時から柄にもなく夜空を眺める
のが癖になった。そして、その Blue moon を見ると願い事が叶うらしい。
俺は何を願っているのだろう。なぜ夜空を見上げるのだろう。
今日も夜空を見上げる。
いつか起こるかもしれない キセキ を信じて・・・
・‥…━━━☆ Once in a blue moon 1 ‥…━━━☆
「こっちこっち〜〜〜」
「きゃぁ〜〜〜ひっさしぶり〜〜元気??」
毎年恒例の仙台七夕祭りがやってきた。この時期に必ず風早一家は夏休み休暇を兼ねて
遊びに来る。風早が仙台を離れてから5年経った今も、変わることなく仙台の仲間との関係
が続いていた。今や風早と爽子にとって仙台は第二の故郷になっていて、帰省するようにや
ってくる風早達をみんな毎年楽しみに待っていた。
3年前に二人には子どもが生まれた。名前は「結月」(ゆづき)女の子だ。名前の由来は遠恋
の時にある。” 離れている間、二人を結びつけてくれていたのは月 ”ということから取った。
3年前から家族が増えた風早家も含め、今では輪が広がり、沙穂の旦那、風早の子どもも含
め、9人が集まる時もある。そして来年には沙穂の子どもが生まれる予定だ。
「これから子どもが増えていきそうだな。賑やかになりそっ。俺も早く結婚してぇ」
「太陽は色気が足りないんじゃないの?食い気ばっかでさ」
「ひっで〜〜〜〜昌!」
わははは〜〜〜っ
「・・・今年も来れてよかった」
「うん・・・そうだね」
爽子が嬉しそうに言うと風早が優しく答える。仲間達はそれだけでも” ウブコント ”だとから
かった。その姿は結婚して5年経った今も全く変わっていなかった。そして相変わらず浴衣姿
の爽子に見惚れるようにうっとりする風早を見て、新婚の光平が辟易したように毒を吐く。
「風早ってさ・・・黒沼さんが職場に居たらやばいよね。完全に今みたいに仕事できる男
って見られねーよな、蓮。あ・・・また黒沼さんって言っちゃった」
「うっせ〜///」
「またさぁ〜娘ができちゃったもんだからやばいよ〜〜〜」
「そーだよね。結月ちゃんが大きくなったら大変だよ。爽子ちゃんそっくりだもん」
「ほんとほんと、”絶対嫁には出さないっ!”なんてさ〜〜〜ねぇ結月ちゃんっ?」
「いいそ〜〜いいそ〜〜っ」
「皆してもぉ〜〜〜〜っ!」
あはは〜〜〜〜っ
皆、二人が仙台に来ると爽子のことで風早を弄るのが恒例になっていた。
3歳になる結月はおかっぱ頭できょとんと父を見つめる。それだけで風早はしゅ〜〜っと
頭から湯気を出すのである。風早は爽子と同じ浴衣姿の結月をちらっと見て言った。
「いやぁ・・・正直娘がこんなにかわいいもんだって思わなかった。」
「やばいよね、風早。じいじ状態になってるんじゃないの?」
沙穂に言われて風早は頭をぽりぽりと掻いて恥ずかしそうに言った。
「男だったらめちゃくちゃ厳しくできんだけど、女の子ってさ・・・全部が柔らかくって
壊しそうでさ・・・・」
繋がれている結月の手をぎゅっと握るとそれに応えるように結月は握り返し、にこっと父に
笑いかける。
「あ〜〜あ。風早、今のでまた撃沈だ」
「う”〜〜〜〜〜っ」
昌に図星をさされて何も答えられない風早はまた笑いの渦に巻き込まれた。
「でも、本当にかわいいよね。結月ちゃん。ちゃんとこちらの言うことに頷いてくれるしね」
「言ってることは分かっているのだけれど・・・」
「そっか、まだ喋らないんだっけ?心配だね、爽子ちゃん」
沙穂に ”心配だね”と言われて爽子は複雑そうな顔をした。その様子をちらっと見て蓮が
結月の目の高さにしゃがんで言った。
「それでいーんだよな。ゆづ」
結月は蓮を見ると嬉しそうに微笑んだ。特に何をするわけではないし、言葉数も少ないが、
結月と蓮は仲良しだった。あまり人に懐かない結月が蓮にだけは懐いていた。
「・・・翔太。思ってること顔に出てるし」
「いやっ・・え??////」
蓮に言われて風早は焦ったように目を泳がした。単純に娘が親友に懐いているのは嬉しい
のだが、風早としては複雑な気持ちも隠せない。
「父親は一人だからな」
「わ・・・わかってるって」
蓮がからかうように言うと、風早は恥ずかしそうにぷぅっと頬を膨らませた。
結月が生まれてから蓮が以前より柔らかくなったのは仲間の皆が認めていた。そんな蓮を見て
爽子は嬉しそうに微笑む。爽子はずっと気にしていた。蓮の心の傷は癒えたのだろうか・・・と。
沙穂に美穂のことを時々聞くが、まだ病気は癒えていないので会えないと言われる。
蓮もあれから会っていないと聞いた。全ては終わったように見えるのだが・・・・。
そしてそんな蓮を気にしているのは爽子だけではなかった。
風早もまた、なかなか会えない蓮のことはいつも心の奥底にあった。5年経った今も二人
の友情は変わることなく、お互いが特別な存在だった。
* * *
「最近ど?爽子ちゃんは仕事復帰しないの?」
久々の再会を喜んだ後、全員が集まったので花火を見るために土手に向かって歩き出した。
皆がそれぞれ近況報告などをしながら目的地へ向かう。
爽子は子供が生まれる前までは光平と同じ職場に居たが、家のことをきちんとしたかった
爽子はしばらくの間、家に入ることを決断した。
昌に聞かれて、爽子は穏やかな顔で言った。
「翔太くんだけに働いてもらって申し訳ないと思うのだけど・・・家事に集中できて、ゆづちゃん
と一緒に居られる時間を今は大切にしたいので・・・」
「そっかぁ・・・・うん、そ〜だよね。風早はそれでいいって言ってんでしょ?」
「うん。翔太くんは、いつも私の意思を尊重してくれて・・・ありがたいです」
「い〜〜んじゃないの。爽子ちゃんにベタボレだから。あの人」
「そ、そんなっ////」
昌が風早を指差してからかうように言った。前の方を結月と歩いている風早がびくっと肩を
動かす。
「はは、すごい〜〜っ!噂されて胸騒ぎがしたか?」
あはは〜〜〜っ
その時、風早と並んで先頭を歩いていた蓮が後ろを振り向いて思い出したように言った。
「あ・・・そうだ。俺、来月から北海道に転勤になった」
蓮の言葉にそれぞれの会話が止まる。一同はし〜〜〜んっと水を打ったように静まり
かえった。
初めて聞いた蓮の大ニュースに仲間たちは驚きを隠せなかった。
「Once in a blue moon」 2 へつづく
あとがき↓
これまた長くなりそーだわ。まぁお付き合い頂けるマニアック仲間の方、楽しんでもら
えたら嬉しいです。もうちょっとしたらオリキャラが出る予定。その人目線が結構多く
なるかもしれません。まだ構想中ですが・・・。あ、ちなみにご存じだとは思いますが、
「Once in a blue moon」とは”めったにない”"極めて稀な”とかいう意味です。