「Once in a blue moon」(24)


※ こちらは「Half moon」という話のオリキャラ(蓮)が中心となった話で未来話です。
  爽風も出ますが、主人公ではないので受け入れられる方以外はゴーバックで。

★「Half moon」は 目次 から。
こちらは 「Once in a blue moon」 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 の続きです。  
 


☆ 夕食後、皆がリビングで寛いでいると昌の携帯に突然かかってきた電話。その相手は・・・?




















・‥…━━━☆ Once in a blue moon 24 ‥…━━━☆























『どうしたんだよ?』


昌の変な様子に光平はこそっと昌に耳打ちした。しかし、昌は光平を気にする余裕も

持てずに青ざめた顔で話を続ける。


「あのさ、落ち着いて沙穂」

「え?沙穂??」


電話の相手が沙穂だと知り、一同驚く。


「今さ・・・実は、えっえぇぇ!」

「いったい何なんだよ」

「どうした?」


そこに蓮が戻ってきて、その姿を見た昌は大きく目を見開き、体をのけ反らせた。そ

の反応に全員が唖然・・となる。


「れ・・・れんっ!!帰ってきたの??」

「は?」

「おい、昌何なんだよ」

『ー昌、今・・・うぁっ・・・一人じゃないのっ?』


受話器から聞こえた沙穂の声に、光平はさっと昌から携帯を奪い返答した。


「沙穂、俺、光平。どうしたんだよ。なんか昌がおかしいけど」

『こ・・・へい??今、家?』

「いや、風早ん家」

『えっええ!!』


すると昌は素早く携帯を光平から取り戻し、沙穂に ”とりあえずすぐに掛け直す”と

電話を切った。昌はふぅ〜〜っと脱力するようにソファーに座り込む。


「状況を説明してもらおうか」

「・・・・・」


蓮の低い声に恐る恐る顔を上げると、昌は全員に囲まれていた。


* * *


「いやね・・・何て言うか・・・沙穂から電話なんだけど、緊急事態でさ」

「沙穂がどうしたんだよ」


光平が身を乗り出した。沙穂のことはもちろん麻美以外の全員が知っているだけに、

他人事ではない。昌は観念したように大きくため息をつくと、蓮を気にしながら話し

始めた。何せ時間もないのだ。


沙穂からの電話の内容は、妊娠中の沙穂が今いきなり産気づいたと。だけど旦那と連

絡が取れないから焦ってるということだった。その何の変哲もない内容を聞いて、皆

「・・・?」となり、首を傾げる。


「そんなの、今北海道にいるから昌がどうにもできないじゃん」

「うん、そう言おうと思ったんだけど、沙穂が喋る間を与えてくれなくてさ・・・余程

 焦ってたんだと思うけど、痛そうだし」

「で?」


光平が先を促すように聞くと、昌はいかにもまずそうな顔をした。


「ま、とりあえず私はいないし、何とかするだろうけど・・・それはいいんだけど・・・」

「そうだよな。おばさんもいるだろ?」

「いや・・・それが」


昌はそう言うと、ちらっと蓮を見て眉間にしわを寄せた。皆、昌の意図が分からず困

惑した表情で昌を見つめている。


「あぁ”〜〜〜〜どうしよっ!!」


そう言うと、昌はまた頭を抱えて混乱し始めた。蓮はばっと立ち上がり、昌の目の前

にやって来てしゃがみこんだ。


「いいから、言えよ。気にすんな」


麻美も唖然と2人を見つめる。蓮は何か感づいているようだった。


「で・・・でも麻美ちゃんもいるしさ・・・」

「いいから。一大事なんだろ?」

「・・・・っ」


すると昌は決心したように顔を上げると、拳に力を籠めた。周囲に緊張感が走る。


「あのね・・・」


実家に帰っていた沙穂がたまたま美穂と二人の時に予定外に産気づいた。母親は買い

物に出ていて、夫は勤務中で電話に出ないという。沙穂の様子を見て美穂が以前のよ

うにパニックになってしまったそうで、一人残して病院に行けない状態にあると・・。

沙穂は昌の話も聞けないほど混乱していたそうだ。


昌はぶるぶると震えながら蓮を見上げた。


「どうしよっ・・・蓮っ!」

「・・・・」


蓮はしばらく考え込むように黙り込んだ後、さっと自分の携帯を取り出して電話し始めた。


「どうするの?蓮・・・まさか?」

「昌、今向こうの天気分かる?」

「えっと・・・すごい雨降ってるみたい」

「ー分かった」

「蓮っ」


光平も翔太も真剣な表情で蓮の行動を見つめた。


プルルル〜〜〜ピッ


「沙穂・・・俺、蓮。お前、今から病院行け。携帯持ってけよ」

『えぇっ・・・蓮??どうしたっ・・・いたっ』

「いいから、美穂に代わって。お前はそのまま出てけ」

『でもっ・・・「いーからっ」』


麻美はじっと蓮を見つめると、緊迫した状況にごくっと喉を鳴らした。

そして、やっと今起こっていることを理解した。


つまり・・・蓮の元カノ”美穂さん”と話すということだ・・・と。


あれから、蓮は私の聞いたことには答えてくれる。以前元カノとどれぐらい会ってい

ないかと聞いたことがある。蓮は6.7年会っていないと言っていた。嘘はつかない

人だからきっと本当だ。


どくん、どくん、どくん


私は自分を保てていないのが分かった。完全に動揺している。こんな偶然があるのだ

ろうか?これは運命なの?なぜ、この日、この時なんだろう。


「美穂、俺、蓮・・・」


震えている手がぎゅっと握られていることに気付いて、横を見ると爽子さんが真剣な

顔で私を見ていた。目が”大丈夫”と語ってくれている。


「・・・爽子さん」


無意識で爽子さんの手を強く握っていた。

目の前の光景が現実だということを確かめるように・・・。





この運命のいたずらが、私の知りたい欲を高めてしまう。そして、蓮の過去にはこの

場にいる人たちが大きく関わっていることを私は後に知ることになる。







「Once in a blue moon」25 へ

















あとがき↓

こんな偶然ないってね。二次なのでお許しを。風早家の夜・・・長いです。
ついに関東はさくらが散りましたね〜〜〜。でもまだまだ春を満喫したいものですね。
私は花粉症はすっかり治りました。まだまだ苦しんおられる方つらいですよね(;ω;)
頑張りましょう・・・。