「はつこい」34 最終話

※ パラレル、オールメンバーは同じ。もちろんオリキャラ沢山出ます( ̄ー ̄)ニヤリ
※ 爽子と千鶴、あやねは同じクラス。風早は別クラスで交流がなかったという設定。
※ 爽子は高2の時に東京に転校してしまう。
※ 登場人物紹介は「17話」を見て下さい。


翔太と爽子はやっと想いが届いて幸せを噛みしめていた。しかし、そんな二人の姿を

本城が見ていて・・・?最終話です。


こちらは 「はつこい」 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 1819 2021 22
23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 の続きです。


興味のある方は以下からどうぞ↓
























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「翔太ぁ〜〜!バイト前で濃厚ラブシーンだって!?」

「翔太・・・俺より派手にやったな。大声で泣きわめいたんだって?」

「翔太っ!!おのれ〜〜あれほど不純異性交遊はだめだって言ったのにっ!罰として

 ただ働き決定!!」


しぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん


後日翔太は、バイトに入る度に仲間達に言い寄られる。なんと本城が二人のことを言い

ふらしまくっていた。それも過大に・・・。嫌な予感はばっちり的中した。


「本城さんっ!!」

「いやぁ〜〜すごかったなぁ翔太。あんなコト、こんなコト・・なぁ?」

「べっつに、そんなっ・・・」

「え?べつに?”もっと強く抱きつい・・「〜〜うわぁぁっっ!!」」


翔太は、焦ったように本城の口を押える。


(くっそ・・・どこから見てたんだろうっ・・)


しかし、からかいながらも耳元で”良かったな”と言われて翔太は表情を緩めた。・・のだが?


「で、爽子ちゃん、翔太と付き合う前に俺が手取り足取り教えてあげるね」

「本城さんっ!!」


わはは〜〜〜〜〜〜っ


わいわい、がやがや


そしてこの日は本城が開いた翔太、爽子祝賀会。結局さらし者なのだが、皆に集まって

もらって後に引けなくなった。爽子はからかわれる度に真っ赤になり、翔太の横で恥ず

かしそうにしている。翔太は爽子をちらっと見て微笑む。


(でも・・・嬉しそうだからいっか)


この会にはあやねや千鶴も参加した。


「爽〜〜〜〜っ!オメデト。良かったな」

「わわっちづちゃん・・・あ、ありがとう////」

「しっかし、悔しいな」

「え?」


爽子の隣のあやねは苦笑いしながら言った。


「いや、嬉しいんだけどさ、爽子を後押ししたのが大和なんてさ」

「あ・・・あやねちゃんは大和さんが、そのっ・・・えっと、知ってたの?」


あやねは言いにくそうな爽子の代弁をする。


「ゲイだってこと?」

「げ、げい?いや、その・・・風早くんが好きだってこと」

「・・・なんとなくね。あの旅行の夜、あいつがいないのが気になってたから」

「そっか・・・あやねちゃん、ちづちゃんっ・・・いろいろありがとう」

「爽子・・・」


二人はうるうると涙を浮かべて感動している爽子を温かい目で包み込んだ。


がら〜っ


「おっもう一組のカップル登場〜〜〜!!」


本城がおちゃらけた様子で戸口を見て叫ぶ。そこにはシンと彼女になった川田京香

の姿があった。シンは本城にからかわれ、真っ赤になっていた。翔太は幸せそうな

二人を嬉しそうに見つめる。


シンさんがあの時の自分を後押ししてくれた。後で報告するとシンさんは自分のこと

のように喜んでくれた。そしてどんどん知らなかったシンさんを知る。こんなに恋愛に

奥手で純情だったなんて。彼女の話をするだけで照れてどうしようもなくなる。本城

さんとの三角関係は終結し、今はシンさんと本城さんは前のように笑い合っている。

本城さんはと言うと、いつも通りの遊びだったという風に見せるけど、もしかして少し

は本気だったんじゃないだろうか?なぜなら、二人を見る目が少しだけ寂しげに感

じたから・・・・。


「ほらほらっお二人さんもっと肩寄せ合って!」

「ほ、本城//// ほっといてっ・・・」


だとしたら大人だと思う。


三角関係・・・。


翔太は永遠を思い浮かべる。もし自分が永遠の立場だったとしたら、本城さんのよう

にできただろか。あの後、永遠に電話で報告した。していいのか悩んだけど、しなけ

ればならないと思った。


”『良かったな』

 『・・・・』


永遠もまた大人だった。俺なら絶対言えない言葉だった。その時、何て返したらい

いか分からなかった。とにかく報告だけと電話を切ろうとした時、永遠が小さな声で

呟くように言った。


 『・・・なんてまだ言えないけどな』


・・・本気だったって分かってた。だからこそ簡単に言えるわけないんだ。思ってもな

いこと。それから永遠は言った。”いつかちゃんと顔出すから”と・・・。

俺はその時感じた苦しいほどの胸の痛みをしっかり受け止めようと思った。

そして、彼女を大切にすると・・・心に強く誓った。


「爽子ちゃん」

「?」


皆がどんちゃん騒ぎをしている中、神楽が爽子をつんつんと突いた。


「良かったわね」

「神楽さん・・・・(じぃ〜〜ん)」

「大和ちゃんも良かったと思ってるよ」

「え?」


神楽の言葉に爽子は耳を疑うように聞き返す。すると神楽は優しく笑って言った。


「翔太の相手が爽子ちゃんで」


爽子は驚いた顔からだんだんと笑顔になっていく。そんな爽子を見て翔太が愛おし

そうに笑みを浮かべた。


「しょ〜〜〜〜ったぁぁ、なんだその顔はぁっ!天国から地獄に落としてやるっ!」

「わわっ!!」


そう言って、店長は翔太と爽子の間に割り込む。すっかりできあがっている店長に

翔太は呆気に取られると、焦ったように爽子の横に座るのが許せず負けじとまた間

に入った。その態度に怒った店長がまた間に入るの繰り返しでケンカまがいになっ

ているのを爽子はおろおろして見ていた。


「アキさ〜〜〜ん、酔っ払い店長を何とかしてくださいよ〜〜っ」


翔太が近くに居たアキに助けを求めると、すっかりアキもできあがっていた。そし

て店長の秘密を暴露するのである。


「店長〜〜〜〜そんなことしていいんですかぁ?女装癖のこと言いますよぉ〜〜〜」

「「「え!?」」」


一斉に皆、店長を見る。店長は酔っぱらっているので状況がよく分かっていない。

へらへらと笑って爽子の横を確保しようとしている。


(・・・店長の弱みってそれだったんだ)


シンも本城も翔太も思わず店長の女装姿を思い浮かべ、ゲッ・・・という顔をする。なにせ

体育会系で硬派で通っている店長だ。お互い顔を見合わせて大笑いした。


「ここだけの内緒にするかっ!」

「だな、しかし・・・このバイト変な奴多いよな」

「お前も含めな、シン」

「本城に言われたくないし」


わはは〜〜〜っ


翔太はその光景を目を細めて見ていた。そして爽子と目が合い微笑み合う。爽子は目

を輝かせながらうるうると感動した様子で言った。


「風早くん・・・私、このバイトに出会えて、皆さん出会えて本当に良かった」

「え・・・皆って俺以外の男に?」


ぷぅっと頬を膨らませて拗ねた様子の翔太に、爽子はあわあわした様子で”えっと〜〜っ”

と焦っている。そのかわいい姿に翔太はぷっと吹き出した。


「な〜〜んてね。うそ。俺もこのバイトの人たちに会えて良かったと思う」


翔太は、それぞれが楽しそうに飲んで騒いでとしている姿を見渡しながら言った。そして

爽子に視線を向ける。


「でも、きっと黒沼にもう一度会うためにここに居るんだと思った」

「・・・風早くんっ・・・」


爽子は涙目で翔太を見つめた。翔太は爽子の瞳に入学式の桜を思い浮かべる。


あの日、あの時間、あの場所で君に出会った。

それは紛れもなく”はつこい”だった。初めての恋愛という感情。そして彼女を好きに

なるたびに新たな自分を知った。もどかしい想い。あふれ出しそうな感情、初めて強く

感じた独占欲、嫉妬・・・・でもそれは全部たまらなく ”好き” だから感じるもの。


「はつこい・・・実った」

「え?」

「ん・・・何でもない」


二人はにっこりと笑い合った。


桜の思い出と彼女の笑顔・・・そして今感じる彼女の温もり。一生忘れないでいたい。

色々な人の想いの上にあるこの幸せを大切にしていく。そして、彼女の笑顔を守り続

けたい。俺の隣で笑顔でいられるように・・・・。



”はつこい” が今、新しい形になって時を刻み始めた。






<END>

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↑過去の話にも拍手下さった方、ありがとうございますっ!!








あとがき↓

やっと終わった・・・っでも後で修正するかも。あまり納得もしてないので。最後

はまた長くなってすみません(まとめられないっ)とりあえず終わった。そして、

100万アクセス企画へといきたい。まだまだノリノリでいきます〜〜〜!!