「naturally」 5

この話は「君までもうすぐ」のその先を書いた話です。あの夜、未遂に終わった二人
が最後の関係までいくのがテーマです。(いくのか!?)ヾ(´ε`*)ゝ エヘヘ

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こちらは「naturally」      の続きです。


※ 「君までもうすぐ」を読まなくても全然大丈夫です。


☆ 久々のキスの感覚に爽子は今まで頭で悶々と考えて悩んでいたことがすべて
  吹っ飛び・・・?
  























初めての感情にどうすればいいか分からず

戸惑っていたけれど・・・

今は何も考えられない。

自然というのはこういうことなのだろうか?

ただ、素直に感じるだけ。

身体の感じるままに・・・。






「naturally」 (5)










翔太はそっと唇を離すと、熱い目で爽子を見つめた。爽子はまるで夢の中にいるよう

にぼーっとしていた。


そして、自分の唇に手を当ててみる。


(あ・・・・////)


ただ、真っ白になっていた。何も考えられなくて、体の力が抜けた。久々のキスの感覚

にあっという間に頭も体も甘い感覚に浸食された。


「あ"〜〜〜〜〜っ!やっぱだめだっ!」

「えっ!?」


大きな声で頭を抱え込む翔太に爽子は身体をびくっとのけ反らせる。


「っとに・・・たまんないよな」

「え・・・??」


爽子が戸惑っていると、翔太はがばっと身体を起こし、爽子を再び熱い目で見つめる。

二人の視線が重なる。


どくんっ


「爽子・・・」


爽子は目を大きく見開いた。胸の鼓動は最高潮だ。身体は固まったように動かない。

ただ、爽子の瞳に翔太が映るだけ。それしか見えなかった。


どくん、どくん、どくん


二人の距離が近づく。翔太は爽子の頬に手を当てる。重なる視線。


身体が熱い。触れられたところからどんどん熱くなっていった。


「しょ・・・翔太くんっ・・・私っ」


その時、後ろの方でがさっと音がした。


「ー風早?」

「「!」」


二人は一斉に体をびくっとさせて後ろの声に反応した。公園の柵の後ろに女性が一人

立っていた。その姿に風早は ”あ・・・”と小さな声を漏らした。


「風早じゃ〜〜んっ!びっくりしたぁ!」


その女性は背が小さく、フェミニンな服を着てかわいい感じの子だった。


「あ・・大学の友達」

「そうなんだっ・・」


翔太は爽子に普通に言う。後ろめたいことがないことが分かる。しかし、女性の方は

爽子を見て、目で挨拶すると見定めるように視線を上から下におろした。その視線に

爽子はとくんっと胸の奥が疼いた。


翔太と付き合ってから何度となく感じる視線だった。


「風早、この近くなんだ?」

「いや、ちょっと用事でたまたまだよ」

「あ〜〜〜ちょうど良かった。風早にゼミのことで伝えないといけなかったんだ。

 今、ちょっといい?」

「あ・・・うん」


翔太はそう言ってちらっと爽子を見て言った。爽子は目で”大丈夫だよ”と合図した。

翔太は手で”ごめん”の仕草をすると、その女性の方に駆け寄った。


二人は柵の外で楽しそうに話している。


とくんっ


(・・・なんだろう)


胸の奥がちくんっと痛んだ。翔太くんは人気者だからこんなこと今までもいっぱいあっ

たのに。女の子たちの視線が痛いことなんていつもだし・・・。

私が翔太くんにふさわしくないことなんて分かってるのに・・・。


(・・・苦しいっ)


二人の姿を段々見ていられなくなった。胸の奥が痛い。爽子はぎゅっと胸を押さえて

前のめりになった。そして、気付いたら走り出していた。


(・・・はぁ、はぁっ)


この場にいるのが苦しくて。普通ではいられない。もう”好き”だけではいられない。

私は翔太くんの特別なのだろうか?何を特別って言うのだろう?

いつまで経っても固くなって、下心ばかりが膨れ上がって・・・こんな私っ・・・!


「え・・・爽子??」


背中で翔太くんの声が聞こえたけど、振り向けなかった。


(どうすればいいのか分からないっ・・・)


爽子は一心不乱に走り抜け、翔太の前から姿を消した。せつない想いが胸いっぱいに

広がったまま、翔太に向き合うこともできずに・・・。









「naturally」  へ続く

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あとがき↓

これ、暗くならないので。たぶん10話もないぐらいで終わります。なので一気に
最後までいくつもりです。私の中の爽子像はこんなじゃないけどね。いろいろ書
きたいので、ちょっと女してみましたみたいな・・・(´ε`*)
いつも、拍手コメントを下さる方、ありがとうございます。明日お返事させてい
ただきたいと思います。いつもご訪問感謝ですっ!