「Once in a blue moon」(9)


※ こちらは「Half moon」という話のオリキャラ(蓮)が中心となった話で未来話です。
  爽風も出ますが、主人公ではないので受け入れられる方以外はゴーバックで。

★「Half moon」は 目次 から。
こちらは「Once in a blue moon」         の続きです。 


☆ 麻美と出会った爽子は翔太に嬉しそうに話して・・・。風早家の二人です♪
















・‥…━━━☆ Once in a blue moon 9 ‥…━━━☆






















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―風早家―


「翔太くん、今日ねっ寄席の帰りに素敵な人と・・・と、友達になったの!!」

「へぇ、そうなんだ〜〜」


爽子は手をグーにして、目をキラキラさせて興奮気味に話した。しかしいきなりハッ

として”友達なんかおこがましいかなぁ・・・”とぶつぶつ一人ごとを言っている爽子

に翔太は思わず苦笑する。


「変わってないなぁ・・・爽子は」

「え・・・どこが?」


(自覚ないし)


「女の人だよね?」


会社から帰り、入浴を済ませた翔太はテーブルの前に座ると色とりどりの御馳走に目

を輝かせながらそれとなく聞く。


「・・・じゃなかったらどうする?」

「え・・・?」


爽子の言葉にすごい勢いで翔太は顔を上げた。


「な〜〜んて!嘘ですっ」

「・・・・・」


しぃ〜〜〜ん



冗談で言ったつもりの爽子は翔太の暗い表情を見て、冗談が過ぎたと焦った様子で再

びあわあわと手をばたつかせている。


「ご・・・ごめっわわっ」


そんな爽子を風早はぎゅっと抱きしめた。


「かわいい・・・」

「えっ!!」


そしてニッと笑って”こっちこそじょーだんっ”と愛しそうに爽子を見つめた。翔太の

笑顔に弱い爽子はすぐに頬を紅潮させる。


「あ・・あのね、すごくきれいな人でね・・・落語も大好きで・・・」

「うん、嬉しかったんだよな。良かったね」

「うん・・・」


爽子はいつもたくさんの愛情で包み込んでくれる翔太に嬉しさがあふれた。そして、

何年経っても触れられると胸はどきどきと激しく鼓動する。


どくん、どくん


「今日は二人きりだね」

「う・・・うんっ」


両家にとって初孫の結月はどちらの親たちも構いたくて仕方なかった。それで月に一

回づつ、両方の家に泊まることになっているので月に2回は二人だけの時間を持てた。

結月も両家の父母に懐いていたので無理なく過ごすことが出来ていた。今夜は黒沼家

だった。


『翔太くんとゆっくりしなさい〜〜〜やっと二人っきりになれて嬉しいでしょっ』

『/////』


爽子は母が言った言葉を思い出すとボッと赤くなった。そんな爽子を見て、翔太は耳

元でこそっと言う。


「何かやらしーこと考えたでしょ?爽子」


からかうように言った翔太に爽子はかぁ〜〜〜っとなって、手足をばたつかせる。


「えっ///ち・・・ちがうよっ!二人になれて嬉しいなって・・・」

「ははっ・・・かわいい爽子」

「わわっっ」


どんなに抵抗しようと、翔太はぎゅっと爽子を抱きしめて離さない。特に結月がいない

夜は積極的になる翔太に爽子はさらに真っ赤になった。

翔太はそんな爽子に、テーブルに用意されたご馳走も忘れていつも夢中になってしまう。

身体をそっと離すとあちこちにキスを落とし、最後に唇に長くて熱いキスをした。爽子の

白い肌がピンク色に染まる。翔太は唇を離すと、うっとりした顔で爽子を見つめて言った。


「俺は考えてたよ。やらしーこと」

「翔太くん・・・っ」

「今日はずっと・・・離さないから」


二人の熱くて甘い夜は更けていく。二人は抱き合いながら色々な話をする。日常の話。

仕事の話。結月の話、将来の話・・・。いつまでも尽きることなく話は続く。二人は一分

一秒惜しむように話し、愛し合い続けた。


当たり前ではないこの時間を大切に噛みしめながら・・・・。



******



「蓮!!」

「よぉ!」


久々で職場で会えた翔太と蓮は昼休みに社員食堂に行った。


「なかなか会えないよな」

「翔太は外回りが多いもんな」

「ま・・・別に仕事外で会えるからいいんだけどさっ・・・・てあんまり来ないよな?」


北海道に転勤してから半年経つが数回しか家に遊びに来ない蓮に翔太は不満気味に言った。

蓮は”何かと忙しくて”と翔太の愛妻弁当をちらっと見て言った。実際、翔太が仙台に居た時の

ように頻繁に会うことはなかった。


「彼女・・・仕事しないの?」

「子どもが出来て家に入ったけど、家の仕事も好きみたい。でもいつか外で仕事をする

 だろうな・・・色々好奇心のある人だから」

「翔太は彼女が仕事がしてもいいの?」

「俺は・・・爽子がやりたいと思うことをやって欲しい」

「そーいう意味じゃないんだけど」

「え?」

「また一緒に居る時間がなくなるってこと」

「えっ////」

「なんてな。じょーだん。ははっ」


蓮はいつまでも変わらない翔太をからかうと穏やかな表情で見つめた。



じぃ・・・・っ


その様子を隅のテーブルで茫然と見ている女子社員がいた。瀬戸麻美だ。麻美は食事

の手が止まっていることも気づかず、蓮から目が離せなかった。


(初めて・・・見た)


瀬戸麻美は会社内で初めて見る蓮の柔和な表情に驚いた。


(誰だろ・・・?)


麻美は、蓮と楽しそうに話す翔太の姿を不思議そうに眺めていた。風早翔太の名は爽や

かな風貌と熱心な仕事ぶりから、社員数が多いこの会社でも知っているものが多かった

が、蓮以外興味を示さない麻美が当然知るはずもなかった。


あまりにも凝視する時間が長かったようで、蓮と目が合った。


ばちっ


(わっ・・・・やばっ)


さっと視線を逸らした麻美は必死で目の前の食事を始めた。食事を終えた二人が立ち上

がるのを視界の端の方で感じた。そしてこちらに向かって歩いてくる。麻美は出口近くで

食べていることに気づくと、脈が異様に早くなった。


どくんっ・・どくん


(・・・上向けない)


「髪・・・長かったんだ」


がばっ!!


(・・・え?)


麻美は頭の上からした声に素早く反応して勢いよく顔を上げる。なぜならその声は・・・。


「え・・・?」


蓮はにやっと笑って、麻美の横を通り過ぎた。

麻美は驚いた顔で、楽しそうに話しながら食堂を出ていく蓮の後姿を茫然と見つめる。

いつもは結んで上げているので気付かなかったらしいが、もともとストレートな髪は腰

まである。たまたま今は結んでいなかった。


(って・・・・え??)


彼は知っていた。私を?


どくん、どくん、どくん


(えぇ〜〜〜〜〜〜〜っ////)


麻美は異様に高鳴る心臓を押さえながらいつまでも蓮の背中を目で追っていた。








「Once in a blue moon」 10 へつづく













あとがき↓

ちょっと麻美の風貌が分かってきたでしょうか?今回はちょっぴり爽風のSweetを
入れておきました(´ε`*)ゝ エヘヘ 二人のラブラブを入れないと我慢ならないのでね♪
これからもちょくちょく入りますっ〜〜〜!それではまた遊びに来てください。