「はつこい」21

※ パラレル、オールメンバーは同じ。もちろんオリキャラ沢山出ます( ̄ー ̄)ニヤリ
※ 爽子と千鶴、あやねは同じクラス。風早は別クラスで交流がなかったという設定。
※ 爽子は高2の時に東京に転校してしまう。
※ 登場人物紹介は「17話」を見て下さい。


翔太と大和はお互いが爽子に特別な感情を抱いていることを告白し合う。そして爽子

はあやねから聞いた言葉に驚いて・・・?


こちらは 「はつこい」 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 1819 20 の続きです。


興味のある方は以下からどうぞ↓































<第5章 自覚>




どくん、どくん、どくん


爽子は家に帰ってからもずっと胸のどきどきが止まらない。

あやねに耳打ちで言われた言葉。それは爽子にとってあまりの衝撃だった。


”『「付き合って」というのは「彼女になって」という意味よ』”


彼女ということは・・・・!!


「え〜〜〜〜〜〜〜っ!!」


爽子は真っ赤になって再び雄叫びをあげる。


・・・ということは柏木くんは恋愛感情??


「ど・・・どうしようっ」


爽子は両手をほっぺに当て、部屋中を行ったり来たりしている。そしてピタッと立ち

止まってハッとする。


「もしかして、私はとんでもなく失礼なことをしたのではっ??」


ひえ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ


その夜、爽子の雄叫びが続いた。



***********


「・・・・・」


あれから永遠とはいつも通り過ごしている。特に変化のない毎日。正々堂々と彼女

に向き合いたいけど、なかなかバイト先で会えなかった。でも今日やっと会えた。

だけど、やっぱ今日もこの3人で・・・。翔太はちらっとカウンターに目を注ぐ。


「爽子ちゃん、このDVDのカバー知らない?」

「え、えっと・・・そ、そ、それはっ・・・」

「・・・・・」


永遠が言うと、いかにもびくついた彼女が答える。さっきからその繰り返し。臆せず

近づく永遠も何か違和感を感じているようだ。


「黒沼?何かあった?」

「え!?・・・う、ううん、ううんっ」


黒沼はぶんぶんと手と顔を振って否定するが・・・。


(明らかに何かあっただろう・・・・)


としか思えない。


「ちょっ、爽子ちゃん。こっち来て」

「え・・・・」


たまりかねた永遠が彼女を棚の隅に呼び寄せた。俺は気になりながらも客の対応をす

るしかない。


(・・・・え?)


どくんっ


ちらっと見た彼女の顔は真っ赤だった。永遠の手が彼女の手を掴んでいる。

俺の胸の中がざわつかないわけはなかった。


「こらっ翔太、ちゃんと仕事せぇ」

「!」


下ろしていた視線を上げると、カウンターの前で舌を出しているアキがいた。


「アキさん・・・また来たんですか?」

「またってど〜〜言うことやねんっ。失礼ね」

「いや、まただろう」

「!」


後ろに睨むように立っている店長がいた。


「あらん、店長、ごきげんよう


ぽかっ


「いてっ」


店長がアキを持っていた本で叩くと、そのまま仕事に戻った。アキは頭を撫でながら

店長を睨み、ぶつぶつ言っている。


「アキさん、返却?」

「いや、今日はええ話持ってきたで」

「いい話?」

「8月2日」

「へ?」


アキはそう言うと、自慢気にカバンの中から紙を取り出した。


「決めてきたから」

「?」


その紙を覗き込むと、”海へ行こう”レンタル部門特別企画とある。


「全員参加な♪」

「・・・・」


どうも夏休みの旅行企画のようだ。あれよあれと勝手に進めていくアキに戸惑う間も

なく予定が組まれる。それは皆同じようで、書籍部門も巻き込んでどんどん人が集ま

り夏の一大イベントとなっていた。


そしてその旅行が翔太と永遠と爽子の運命を大きく揺るがすことになることをこの時

翔太はまだ知らなかった。



*********


翔太大学―


「大和、久々っ!」

「・・・・・」


翔太は向こうの方を歩いている大和を見つけると、ぶんぶんと手を振った。大和は

びくっと身体を揺らすと、ぎこちない動きで手を上げた。翔太は軽やかに大和の方

に走っていく。


「はぁはぁ・・・最近会わなかったよな?また風邪?」

「あ・・・う、うん。まぁ」

「大丈夫か?」

「うん・・・」


大和は目を泳がせながらちらっと翔太を見る。


(・・・気づかなかったのかな)


あの夜、店に来た翔太に大和は驚きを隠せなかった。自分の秘密を翔太だけには知ら

れたくなかったのだ。翔太の変わらない姿を見て、ほっとしたように息をついた。


「ん?どうした?」

「いや・・・風早は変わりない?・・・彼女は?」

「え??////なんだよ・・いきなり」

「いや、前に悩んでる風だったから」

「ん・・・・何も変わらないけど。時々自分に焦れる」

「焦れる?」


翔太はこの間の二人の姿を思い浮かべた。真っ赤な爽子を引っ張る永遠。あの後どう

なったか分からない。ただその後もずっと彼女のぎこちなさは続いて・・・。どう考えても

永遠を意識しているように見えた。


「あ"〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」

「??なに?」

「いや・・・・あっそれより大和、夏休み予定ある?」

「え・・・?」

「うちのバイト先で旅行企画があるんだけど、大和もどう?」

「え?いいの?僕が入っても」

「うん、友達の友達どんどん連れてきてって企画者が。すごい人数になりそうだよ」


大和ははにかみながら翔太を嬉しそうに見つめる。


「うん・・・僕も行きたい」

「よしっ決まり!」


翔太の笑顔をぽ〜〜〜っと見つめる大和はすぐに不安そうな顔になって言った。


「風早の好きな子も・・・来るの?」

「えっ?///う、うん。なんか、大和にばれるの恥ずかし〜〜な」

「・・・・・」


そう言って翔太は手で顔を覆った。


「講義始まるわ。行こ」


太陽のような翔太の笑顔を大和はいつまでも眩しそうに見つめていた。





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あとがき↓

ちょっと最近毎日更新できてます。これが理想なのですが、いつまで続くか。しかし
このブログも長くなってきました。100万アクセス企画・・・どうしよう。