「naturally」 4

この話は「君までもうすぐ」のその先を書いた話です。あの夜、未遂に終わった二人
が最後の関係までいくのがテーマです。(いくのか!?)ヾ(´ε`*)ゝ エヘヘ

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こちらは「naturally」    の続きです。


※ 「君までもうすぐ」を読まなくても全然大丈夫です。


☆ ピンに邪魔されたデート。やっと帰りに二人きりになるが・・・!?
  






















初めての恋、初めての感情、初めての下心。

初めて感じるものに私は戸惑ってばかり。

自然になりたいのに、どんどん不自然になっていく。

「すき」の先にこんな感情があったなんて。

もっと近づきたくなって、全部欲しくなっていく。


知りたくなるの。もっと先の関係を・・・。






「naturally」 (4)










先生の家からの帰り道。空は茜色に染まっていた。10日ぶりに会えた翔太くんとの

時間はあっという間に過ぎていく。


ガサ、ガサツ


地面を踏む足音だけが響く。


爽子はさっきからいつになく無口で横を歩く翔太をちらっと見る。


(翔太くん・・・呆れてないかな・・・)


でも、翔太くんはいつも真っ直ぐに気持ちを伝えてくれるから、私もこれ以上逃げる

ことはできないと思った。


(で・・・でもっ////)


爽子は先ほどの自分の行動を思い出すとかぁ〜〜っと顔を赤らめた。そして歩きながら

別れ際にピンが言った言葉を思い出す。


”『翔太なんてな、下心のみ太くんだぞっ。頭ン中そればっかぁ〜〜わっははっ』”


シタゴコロノミタ・・・くん!?


(したごころ・・・っ)


爽子はその言葉にドキッとした。

下心を持っているのは私だ。高校の時、先生に言われた。”下心も心だ”・・・と。

でも、あの頃とは違う。何かが違う。

いつからだろう・・・違う自分が顔を出してきたのは。


大学に入ってからお互い忙しいのもあるのだけれど、翔太くんが遠くなった気がした。

久々に会うと、緊張してしまう私。そしてもっと欲張りになる私・・・。


「・・・映画、行けなかったな」

「・・・う、うんっ」

「・・・・」

「・・・・」


翔太は少し言葉を発した後、また口を閉ざした。沈黙がどんどん爽子を不安にさせて

いく。そして、しばらくして前を歩く翔太の足が止まった。


「!」


トクンッ


翔太はくるっと後ろを向くと、爽子を真剣な顔で見つめる。


「こっち来て」


そして爽子の手をぎゅっと掴み引っ張るように前を歩き出した。翔太の手はいつもの

ように優しい手の感覚ではなく、少し強めだ。爽子は戸惑いながらも触れられたとこ

ろから熱くなっていくのを感じた。


どきん、どきん


(ま・・・またドキドキしてきたっ///)


隠そうと思っても、ちょっとした翔太の言動であふれ出す。


翔太は無口のまま爽子を近くの公園に連れて行った。そしてベンチに腰を掛けると

手を握ったまま、ちらっと爽子を見て戸惑い気味に話し出した。


「・・・さっきからずっと考えてるんだ」

「・・・・」

「同じなのかなって・・・」

「え?」


翔太はそこまで言うと、顔をぐっと上げて近い距離で爽子を見つめた。真剣な瞳に爽子

は視線を逸らせなくなる。


とくんっ


「さっき言ってた ”近づきたくなる” って・・・どういう意味?」

「あっ・・・あのっ////」

「・・・きっと、俺のと違うよ。俺のはもっと・・・っ」


翔太はそう言うとせつない目をして、ゆっくりと視線を下げた。


オレノトチガウ・・・?


胸がとくんっと鳴った。そして恥ずかしくなった。私の”シタゴコロ”に・・・。


がばっ


「あわわわっ〜〜〜////ご、ごめんなさいっ!!」

「え!?」


両手で顔を覆ってあわあわしている爽子を翔太は眉を顰めて茫然と見ていた。その勢い

で爽子のポケットから何かが落ちる。


「ん?・・・なんか落ちたよ」

「あっ・・・それ、そうだっ!荒井先生が翔太くんにって・・・」

「?おれ?」


それは紙切れだった。翔太はその紙を開くと、メラメラとした表情で口角が上がった。


「〜〜〜〜×△■○!!」


そして紙をくしゃくしゃにして自分のポケットに入れる。紙には・・・・


”いつまでもヘタレだと黒沼に浮気されっぞ〜〜〜っ”


・・・と書いてあった。


(あんのやろうっ〜〜〜!見てやがったなっ)


「翔太くん?」

「ははっ何でもないよ」

「??」

「・・・・」


爽子が不思議そうに見つめると、翔太はぐっと唇を噛んで爽子を見つめ返す。しばらく

の沈黙が走る。そして、熱い目を爽子に向けた。


「俺も・・近づきたいよ。ずっとそう思ってる」


とくんっ


「好きだから・・・もっと近づきたくなる。もっと爽子を知りたくなるんだ」

「!」


好きだから・・・?


「・・・っ」

「・・・爽子?」


私は号泣していた。感情が止められなかった。


「で、でもっ・・・うぅっ・・・しょったくん、キ、キスしてくれなっ・・い」

「・・・・・」


しぃ〜〜〜〜〜〜んっ


「・・・え?」


翔太はぽかんっとした表情の後、やっと言葉を発した。


「わたしっ・・・私に触れるのが・・・嫌になったのかなって・・・ひっく」


どうしてこんなに気持ちが膨れ上がってしまったのか・・・。いつの頃からか翔太くんは

キスをしてくれなくなった。抱きしめてはくれるけど、それ以上はしてくれない。会うたび

に不安になっていった。


以前は一緒に居るだけで良かった。でも、今は違う・・・・。いつの間にか私は欲張りに

なって、それだけじゃ物足りなくなっていたのだ。


もっと、もっとって・・・。


そんな自分を見られたくなかった。


「!!」


(・・・・え?)


その時、爽子の視界がいきなり暗くなった。


「・・・んっっ」


唇に感じる温かい感覚。それはずっと求めていたもの。


何も考えられなくなった。恥ずかしいとか、こんな自分を見られたくないとか。そんな

ことどうでもよくなった。頭が真っ白になっていくのが分かった。


気づいたら、自然に身体の力が抜けていた。

ただ、”感じたい”って、そう思った。



なんだぁ・・・簡単なことだったんだなぁ。









「naturally」  へ続く











あとがき↓

爽子ちゃんが覚醒しないと、「君までもうすぐ」の先は書けないんでね〜〜〜!でも
頭で考えているうちは固くなるだろうな〜〜と思って。ほんとイマドキではないけど。
しかし・・・甘ったるくはなかなか上手く書けない( ̄ヘ ̄)そしてピンもいまいち活躍
させてあげれなくてごめんなさいっ。からかうだけで終わっちった(汗)