「naturally」 3

この話は「君までもうすぐ」のその先を書いた話です。あの夜、未遂に終わった二人
が最後の関係までいくのがテーマです。(いくのか!?)ヾ(´ε`*)ゝ エヘヘ

「君までもうすぐ」は目次からどうぞ → 目次

こちらは「naturally」   の続きです。


※ 「君までもうすぐ」を読まなくても全然大丈夫です。


☆ 爽子は正直に自分の気持ちを翔太に伝えようとするが・・・?
  






















真っ直ぐ見つめる強い瞳。いつも優しく私を包みこんでくれる。

高校の時に想いが通じてから、その目に見つめられてきた。

嬉しいのにドキドキして、不安になった。

いつかその目は私を見なくなるかもしれない。

私の下心に呆れられるかもしれない。


嫌われたくない・・・っ。


どんどん普通にできなくなってきたの。


大好きだから・・・・。







「naturally」 (3)










「さ・・・わこ?」


翔太くんが霞んできた。無意識だった。上手く伝えようなんて思っていないのだけれ

ど、想いがこみ上げてくる。


「ごっごめっ・・・あのっお茶!勝手にお茶入れていいかなっ・・・」


頬に伝った涙に気づいた爽子はハッとして顔を見られないように俯くと、さっと立ち

上がった。その時、背中を向けた爽子の手が後ろにぐいっと引っ張られる。


「!」


驚いたように爽子が振り向くと、翔太が真剣な目で見ていた。


「だめ」

「え?」


そう言って、風早は自分の胸の中に爽子を収めた。

そしてぎゅっと抱きしめる。


「行かないでっ・・・しばらくこのまま」


耳元で熱く言われた爽子は風早の胸の中でかぁ〜〜〜〜っと真っ赤になっていった。


カチカチカチ ドキドキドキ


時計の音がやたらリアルに聞こえる。爽子はどきどきした胸と一緒にどんどんと体が

火照ってくるのが分かった。


(うわっ・・・心臓が飛び出しそう・・・いつまでこのまま・・?////)


どきん、どきん、どきん


しかし、心臓が破裂しそうなほどドキドキしているのに不思議なほど満たされた気持

ちになっていくのを感じた。



ずっと足らなかったもの。それは翔太の温もりだった。こんなに欲していた自分。


「ーごめんっ!」

「!」


翔太は身体を震わせて泣いている爽子をハッとしたように見ると、戸惑った表情で

顔を伏せて言った。謝られた爽子はその姿に大きく目を見開くと、ふるふると首を

振った。


「ち・・・違うのっ」

「え・・・?」


翔太は爽子を不安そうに見つめる。


「わ、私・・・私がごめんなさいなのっ」

「!」


その後、翔太がまったく予想していなかったことが起こる。


ぎゅっ


爽子は翔太の服をぎゅっと掴むと、自分からもう一度翔太の胸に顔を埋めた。まるで

離れたくないかのような仕草に翔太は目が点になり固まった。今まで爽子から抱きし

めたり、キスをしたりという行動は一度もなかった。


「え・・・////爽っ」


何も言わずにそのまま顔を埋めている。翔太の服を掴む手が震えている。


「あの・・・翔太くんのこと、だ、大好きなのっ・・・・大好きで、ずっと一緒にいたい

 のに、どんどん普通でいられなくなって・・・もっと・・」

「・・・もっと?」


翔太の熱い瞳が爽子の瞳と重なる。


(あ・・・・)


ドクンッ・・・


(ど・・・・どうしよう。目が逸らせない)


爽子はぎゅっと拳を握りしめると、決心したように涙を流しながら叫んだ。


「も、もっと、近づきたくなって、しんぼーたまらなくなってましたっ!」


しぃ〜〜〜〜〜〜〜〜ん


「・・・・・」

「ご、ごめんなさいっ〜〜〜〜〜〜〜〜っ」


爽子は恥ずかしさのあまりがばっと両手で顔を覆って翔太から離れた。翔太はしばらく

茫然としていたが、ハッとして現実に戻るように顔が真っ赤になっていく。


「さ・・・爽子、それって・・・っ」


翔太は爽子の身体を起こすと、信じられないという表情で涙でいっぱいになっている

爽子の目を見つめた。


その時、がさっと後方で音がする。


「ストォ〜〜〜ップ!こぅおらぁっ〜〜〜〜俺様の前で何メモリ合ってぃるっ!!」

「「!!」」


二人はびくっと飛び上がった。

そこには布団から起き上がって、鋭い目で睨んでいるピンの姿があった。


「あ・・・・ピン・・・起きたの?(忘れてた・・・)」


翔太はたら〜〜〜っと真っ青になった顔で苦笑いした。

爽子は火照った顔を両手で押さえ、涙目を必死で拭った。。


「お前らなぁ・・・・」


ピンはメラメラした顔をして翔太を睨んだ。翔太はさっと目線を逸らす。


「せ、先生、すっかり元気になったんですか?」

「おおぅ〜〜〜なんかすっきりしたわ。お前の除霊が効いたみたいだ」

「良かった・・・」


役に立てて嬉しそうな爽子を横目に翔太は恨めしそうな顔でピンを見つめた。


「んじゃな、もーいいだろ?帰るよ」

「そ、それでは先生、お大事に・・・・」

「おおぅ〜助かったぞ。おっ黒沼、ちょっと」

「はい?」


ごにょごにょっ


「・・・・え?」


爽子はピンから耳元で言われた言葉をすぐには飲み込めずに??を頭に浮かべていた。


「じゃなっ」


にやっと笑ってピンは爽子を送り出した。ドアの外で待っている翔太は訝しげにピン

を睨んでいた。








「naturally」  へ続く









あとがき↓

あ〜〜これ楽しいわ。どんどん書ける話とそうでないのとあるんですよ。しかし
イケメン翔太が書けるのか・・・!?私に。すぐに崩れるから頑張ろうっ!