「はつこい」15

※ パラレル、オールメンバーは同じ。もちろんオリキャラ沢山出ます( ̄ー ̄)ニヤリ
※ 爽子と千鶴、あやねは同じクラス。風早は別クラスで交流がなかったという設定。
※ 爽子は高2の時に東京に転校してしまう。


爽子のみの回です。歓迎会で会った、永遠とバイトが一緒になり・・・?


こちらは 「はつこい」 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 の続きです。


興味のある方は以下からどうぞ↓  
























*********


「初めてだね、一緒のバイト」

「よ、よろしくお願いします」


この日爽子は永遠と一緒のシフトになった。歓迎会で感じた通り、永遠は喋りやすく

親しみやすい。だんだんと爽子のぎこちない表情が溶けていく。


「まだ入って1ヶ月とは思えないね。全部できるじゃん」

「いえっそんなっ」

「黒沼さんはS大なんでしょ?俺、実は近いんだよね。M大」

「あっそうなんですか〜〜?」

「まだ入学してないけど。やっと来月入学。早く大学生になりたいわ」

「珍しいですね・・・」

「うん、全面工事で2ヶ月遅れだから多分、その後講義を詰めていくだろうから大変だよ」

「そうですよね・・・」

「あ〜〜〜ところで俺、翔太と同い年なんだから敬語止めてって言ったじゃん」


そう言って永遠は爽やかに笑った。爽子は”翔太”という名前が出て、ドキッとした。

すぐに蘇るあの夜の風景。翔太の温もり。翔太の笑顔。


(ーわわっ////)


「どうしたの?黒沼さん真っ赤だけど?」

「い、いえ///・・・あっううん。向こうの整理してきます!」


パタパタパタッ


永遠は爽子の後ろ姿を自然に追っていた。そして一生懸命働く姿に表情を緩ませると

ひとり言を呟いた。


「なんか、かわいーんだよな・・・」


プルプルプル〜〜〜〜♪


その時、カウンターの電話が鳴った。


「黒沼さ〜〜ん、ちょっと俺に電話だって。カウンターお願い」

「はいっ!!」


内線で呼ばれた永遠はスタッフルームへ走って行った。カウンターに戻った爽子に客

が待ち構えていた。


「すみません、お待たせしました・・・」


中年の男は明らかにやらしい目つきで爽子を見るとレンタルのDVDを渡した。もちろん

アダルトDVDだ。


(・・・仕事なんだから。ちゃんとしなきゃっ)


爽子は男の目を見れずに業務を進めていく。


「おじょーちゃん、そのDVDさぁ〜ちゃんと動くのかな?前借りたやつ途中止まった

 んだよね。ちょっと確認してくれない?」

「え・・・・は、はい」


爽子のDVDを持つ手が震えてくる。爽子はその男のセクハラに気づくはずもなく、

”仕事仕事”と頭の中で唱えては、レコーダーにDVDを入れた。


『ああ〜〜んっいい〜〜っ』


女の艶めかしい声に真っ赤になりながらも必死で操作確認をする。


「おじょーちゃん、顔真っ赤だよ?もしかして自分もされたいとか思ってる?」

「え??そ・・・そんなっ」

「俺ならその中の女のようにイカせてあげれるけどなぁ〜〜〜」

「??」


爽子は男の顔をちらっと見た。すると今まで見たことのないような男の目つきにぞっ

とした。


(ど・・・どうしようっでも、これこそまさに社会勉強!!)


爽子はぎゅっと上唇を噛むとちゃんと男の目を見て言った。


「大丈夫のようですので」

「え〜〜〜前借りたやつはもっと後で止まったからねぇ。その先を確認して」

「は・・・い」


しかし、男は上手だった。


どくん、どくん


爽子はそのDVD目を背けながら必死で操作していた。


「ちょっとおじょーちゃん、そんなじゃ確認できないでしょ」


男はそう言うと、カウンター越しに爽子の腕を取った。


「!!」


ゾクッ


「ほら、ちゃんとリモコン持って。ね」

「!」


そしてやらしく爽子の手に自分の指を絡ませる。


びくっ


爽子は今にも倒れそうだった。でも無理に突っぱねることはできない。客なのだから。

男は爽子の耳元で囁くように言った。男の荒い息がかかる。


『おじょーちゃん、前からかわいいと思ってたんだよね・・・純情そうに見えるけど

 本当はヤリマンだったりして・・・くくっ今夜どう?』


(は・・・吐きそうっ・・・)


爽子は初めての経験にどうすればよいか分からず、顔が段々と真っ青になっていた。


「わ・・私っ・・・「ーちょっと、何してんですか!!」」


爽子は永遠の声にハっとしたように振り返った。永遠はスタッフルームの方から駆け

寄ると男を鋭い目で睨んだ。


「別に何もしてませんよ〜操作確認をお願いしていただけでね」


男はそう言うと、にやっと笑って爽子の手を離した。手を離してもらい、爽子はふ〜っ

と脱力するように息を吐いた。でも身体の震えが止まらない。

永遠はそんな様子の爽子を気にしながらDVDに目を向ける。そしてささっと作業を

済ませると、”問題ありません”とレンタル品を袋に入れた。


「彼女にお願いしてたんだけど?」

「僕も従業員ですので。はい、430円です」


一歩も引かない永遠の態度に舌打ちすると、中年の男は渋々爽子を見ながら去って行

った。永遠はその後ろ姿を見届けると、爽子にバッと目を向けた。


「黒沼さんっ大丈夫??なんかされた?」

「う・・ううん・・・だ・・だいじょ・・・っ」


爽子は張り詰めていた糸が切れたように気づいたら頬を涙が伝っていた。


「くろ・・・」

「大丈夫ですからっ、ちょっとだけすみませんっ!!」


爽子はそう言うと必死で涙を隠してトイレに逃げ込んだ。永遠はその様子を心配そう

に見つめた。永遠はアキから聞いて、先日の倒れた一件を知っていた。

爽子はそのあと、何もなかったように業務を進めた。無理しているのだろうが、一生

懸命に仕事をしている姿に永遠はたまらない気持になった。


「お疲れさま」

「お疲れ様です・・・それでは」

「黒沼さん、これから用事ある?」

「べ・・べつに何も」

「じゃ、ちょっと何か食べてかない?話したいこともあるし」

「話したいこと・・・は、はい」


爽子は実はかなり落ち込んでいた。こういう仕事をしながら上手く客を交わせなかった

りまだアダルトDVDに対応できない自分自身に悔しさを感じていた。そんな仕事ぶり

を永遠からきっとお叱りを受けると思っていたのだ。


「え・・・これ?」


駐輪場まで行くと、永遠は爽子にバイクのメットを渡した。


「おいしいとこあるんだ。ちょっと距離あるから乗って」

「い・・いいのかな?」

「もちろんっどうぞ」


永遠がにっこり笑って言うと、爽子は”それではお邪魔します”と乗ろうとするが

上手く乗れない。


「あ、あれ・・・っえ!!」


足をどうやって上げれば良いか分からずあたふたしている爽子をひよいっと抱き上げた。


「わわっ」

「うわっかるっ〜〜〜はい。どーぞ」

「あ・・・ありがと////」

「はは、役得だし」

「??」


永遠は少し照れたように言うと、さっと自分もメットをかぶった。

そしてバイクはブ〜〜〜ンッという大きなエンジン音を立てて走り出した。


「・・・・・・」


その時、店の入り口で佇んでいた翔太の存在をもちろん爽子は知らない。

愕然として、その場から動けなくなった翔太は何もできずに二人を見送るしかなかった。







「はつこい」 16 へ


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あとがき↓

同人誌にハマッテます・・・・。やばいぐらい。どんどんオタクになる私。どうなる??
この話はここでちょっと置いておいて次は蓮の話の続きでもいきましょうか。書きたい
ままに書くって感じでいつもすみません(´ε`*)ゝ エヘヘ