「はつこい」26

※ パラレル、オールメンバーは同じ。もちろんオリキャラ沢山出ます( ̄ー ̄)ニヤリ
※ 爽子と千鶴、あやねは同じクラス。風早は別クラスで交流がなかったという設定。
※ 爽子は高2の時に東京に転校してしまう。
※ 登場人物紹介は「17話」を見て下さい。


翔太を呼び出した書籍部門の女の子を翔太も好きだと大和に聞かされた爽子はさらに
ショックを受けるが・・・・?


こちらは 「はつこい」 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 1819 2021 22
23 24 25 の続きです。


興味のある方は以下からどうぞ↓
































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二日目―


次の日も海に入ってのんびりと過ごす。皆でわいわいと過ごす一日はあっという間に

過ぎていく。翔太はずっと緊張していた。今夜は約束の夜だ。しかし、爽子の態度が

また前のように固くなってしまった。昨日の夜から微妙に違ってきているような気がした。


(・・・何かしたかな??)


色々思い返してみるが分からない。翔太はもう誤解されたくなかった。爽子に直接聞

いて見るが・・・・。


「黒沼・・・なんかあった?」

「えっ??・・な、何もないよっ」

「・・・・」


(・・・何もなくないよな?)


明らかに彼女は俺を警戒している。翔太は焦ったようにあやねに声を掛けた。


「矢野!ちょっといい?」


翔太は砂浜の人だかりのないところにあやねを呼び出した。


「なんか黒沼の様子がおかしいような気がすんだけど・・・何かあった?」

「ああ・・・・あんたあの子のこと好きなの?」

「へ?」


あやねの指差した方向を見ると、昨夜翔太を呼び出した書籍部門の女子が立っていた。


「え?いや、違う」

「・・・だよね。でも告られた?」

「・・・うん」

「爽子・・・風早があの子と付き合うって誤解してるかも」

「え!?」


やっと爽子のぎこちない態度の訳が分かった。


「あ″〜〜〜〜〜〜っ」


翔太は髪をくしゃっとすると脱力するように砂場に大の字で寝転んだ。


(また誤解・・・これ以上誤解はもうっ沢山だ)


”『恋愛なんて上手くいかないことだらけだよ・・・』”


「・・・ほんどだな、シンさん」

「何が?」

「!」


シンに上から覗き込まれた翔太は驚いたように飛び起きた。


「びっくりしたっ」

「こんなとこで何してんの?そろそろ帰んぞ」

「うんっ・・・あ、シンさん」

「ん?」


シンが振り向くと、翔太は少し照れながら笑顔で言った。


「俺、今夜彼女に伝える」

「・・・そっか」


翔太のすっきりしたような顔を見て、シンは優しく微笑んだ。


「翔太は最初っからベタぼれだったもんな〜〜」

「シンさん〜〜〜っ////」


あはは〜〜〜っ


二人は笑い合いながら皆のところに戻った。

誤解されていても今夜すべてを話す。もう迷うことは何もない。ただ気持ちを伝える

だけ・・・。翔太はそう思っていた。


しかしこの後、その想いは簡単には爽子に届かないことを思い知るのであった。



********



二日目の夜、昨夜同様男子部屋は宴会となっている。翔太はなんとか爽子に約束

を取りつけ、約束場所の中庭に行って月をぼんやり眺めていた。どうしても一人に

なりたくて、こそっと部屋を抜け出した。幸い、アキ達は酔っぱらって状況が分から

なくなっていた。


「・・ふぅっ」


(まずは誤解を解きたい・・・)


翔太は気持ちを落ち着かすために月を眺めては深呼吸を繰り返していた。


一方爽子は翔太の用事は何だろう・・・とずっと考えていた。人前で言えない用事とは?

と考えると、翔太の好きだという女の子の顔が思い浮かぶ。そのたびに胸がきゅっと

痛んだ。爽子はその女の子をちゃんと見ることができなかった。


「爽子ちゃん・・・何かあった?」

「う、ううんっ・・」


永遠はずっと翔太と爽子を気にしていた。そして昨日から明らかに変な爽子の様子に

気づいているが中に入り込むことが出来ずにいた。


爽子はその夜、心の整理ができないまま翔太と会うことになる。


* * *


がさっ


「ー黒沼?」


翔太は後ろに草の音を感じて振り向いた。しかし約束の時間まではまだ早い。


「・・・・!」


そこには女の子が一人立っていた。


「え・・・?」


翔太は思わず眉を顰めた。一瞬ここはどこだか分からなくなる。そしてハッとしたよう

に目を見開いた。


「君は・・・!」


* * *


わいわい、がやがやっ


「翔太どこ行ったん〜〜〜〜っ酒ないやんっ」

「お風呂でも入ってるんじゃないのぉ〜〜〜〜っ」


酔っ払いアキが言うと、これまたすっかり出来上がっている神楽が手をぶらぶらしな

がら答えた。横に居たシンは貞操の危機を感じて神楽から遠く離れる。


「ちょっとシンさんったらぁぁ〜そんな離れなくてもいいでしょ。ねぇ〜〜こっち来てよ」

「いや、遠慮しとくわ」

「ひどぉ〜〜いっ!私だって人を選ぶんだから。ね?シ・ン・さ・ん」

「だからだろーが」


体つきがいいシンはどちらかというと神楽の範囲内だった。過去何度か酒の席でやら

れている(触られている)シンはあやね達の方に非難した。


「シンさん、どうぞ」

「あ、サンキュ」


あやねはシンにビールを注いだ。千鶴は横でがーがー眠っている。


「シンさんさ・・・大和くん知らない?」

「あれ・・・いないな」


シンは不思議そうにあたりを見渡した。あやねは嫌な予感がした。爽子はあやねと千鶴

には翔太と会うことを伝えていた。


(・・・今、うろつかれたら困るんだよな・・・)


「シンさん?」


あやねは考え込むようなシンの顔を訝しげに見つめる。


「もしかして何かあるの?大和って子」


シンはしばらくあやねの目を見つめると、負けたという風にため息をついて言った。


「いや、本当に何も知らないんだけど、これは単に俺の勘だよ」

「え・・・・?」


あやねはシンの言葉にぽかんっとした表情になると、焦ったように立ち上がった。



* * *



その時爽子は翔太との約束場所に向かっていた。


(風早くん、お部屋にいなかったからもう待ってるのかな?)


「!」


そして、目の前の光景に思わず立ち竦む。


(・・・えっ?)


爽子は一瞬、すべてを忘れるほど頭が真っ白になり動けなくなった。







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あとがき↓

もうすぐ別マ!早い〜〜うれしぃ!!