「はつこい」14

※ パラレル、オールメンバーは同じ。もちろんオリキャラ沢山出ます( ̄ー ̄)ニヤリ
※ 爽子と千鶴、あやねは同じクラス。風早は別クラスで交流がなかったという設定。
※ 爽子は高2の時に東京に転校してしまう。


どんどん爽子への恋心が加速する翔太。一方自分の感情に気づけない爽子。二人の恋心
はどうなっていくのか?やっとバイトで同じシフトになった二人は・・・?


こちらは 「はつこい」 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 の続きです。


興味のある方は以下からどうぞ↓  




























第6章<動き出す恋>



**********



「こ、こんにちわっ今日もよろしくお願いします」

「こ、こちらこそ」


やばい・・・普通に接することができない。


翔太と爽子は目が合うとバッと視線を逸らした。歓迎会の帰りから初めて会う。あれ

からあの場面を思い出しては悶々とする日々が続いている。


翔太はちらっと爽子を見ると再び視線が合い、お互いまた視線を戻す。


(//////だぁ〜〜〜〜〜〜〜っ!!何してんだっ!)


翔太は髪をくしゃくしゃっとするとぎこちない動きで言った。


「く、黒沼!」

「は、はいっ」

「この間はごめんな」

「え?」


爽子は上手く視線を合わせられない翔太を戸惑いながら見つめた。


「い、いきなり抱きついて////」

「あ/////」

「びっくりしてさ・・・黒沼がいきなり泣くから」

「あっご、ごめんなさいっ・・・!!」

「いや、謝ることでは・・・。俺、すぐに感情を出しちゃうから。い、嫌だったよな」


翔太はそう言うとちらっと爽子を見た。すると爽子はかぁ〜〜〜〜と真っ赤になった。


「嫌なんて・・・っ!そんなわけないです」

「え・・・?」


どくんっ


「だって・・風早くんは皆の憧れて、明るくて爽やかで、誰にでも平等で・・・!」


どくんっ


「・・・・・」


なんでだろう・・・その時、胸の奥で鈍い音がした。嫌じゃないと言われて嬉しいはず

なのに。この感情の正体はなんだろう。

時々、人にそう言われることがある。そんなこと意識したこともなかったけど、彼女が

そう思っていることがなんか悲しかった。俺のことを分かっていないから。


俺はそんな奴なんかじゃない。


俺は彼女の特別になりたいんだ。何もかも足りないんだ。


翔太は想いが大きくなるほど欲張りになる自分を感じた。自分のことを知ってもらわな

ければ何も始まらないのに。


もっと・・・知ってほしい。


翔太は、大きく息を吸うと爽子を見てにっこりと笑った。


「ありがと。でも俺そんなじゃないんだ。黒沼が思ってるほど爽やかじゃないしさ・・・」

「そ、そんなことないよっ風早くんは爽やかだよっ」

「そんなことないって。この間も勝手に帰っちゃったでしょ。黒沼が倒れてたのに」

「あれは・・・呆れちゃったんだよね。私、満足に仕事ができないから・・・」


しょぼ〜〜んとして言う爽子に翔太は声を大きくして言った。


「違う・・・違うよ。呆れたりなんか絶対しない。黒沼はいつも一生懸命じゃん。いつも

 花の世話や掃除を進んでやってたじゃん」

「え・・・・」


爽子は翔太を驚いた顔で見つめると目を潤ませた。大きな瞳が揺れる。翔太はその

姿に目が離せなかった。


どきん


「あ・・・ありがとう」

「え??」


爽子は驚きと感激のあまり、それ以上上手く言葉に表せなかった。こんなに地味な自分

の行動を見ていてくれたのだと思うと嬉しかったのだ。


「あ・・・俺、ちょっとトイレ」

「う、うんっ」


タッタ〜〜〜〜ッ



翔太は急いで休憩室の方に向かった。


(や・・・やばいって////)


彼女が泣き虫なのが分かってしまった。しかし、あんなのを見たらまた手を出してし

まう。彼女の顔を近くで見るだけですごい速さで心臓が動く。

翔太は必死で感情を抑えた。小さな頃から感情がストレートだと言われている。でも、

自分がこんなに抑制が効かない人間だとは思ってなかった。


なんであんなにかわいいんだろう・・・・。


(かぁ〜〜〜〜〜//////)


翔太はトイレで顔を手で覆いながら悶々とした頭を冷やしていた。


一方爽子は・・・今も感動していた。そして胸のドキドキが激しくなるのを感じていた。


(うわっ・・・ドキドキが止まんない////)


爽子は翔太の笑顔を思い出し、またドキドキしていた。翔太と一緒に居るといつも感じ

るドキドキ感。


でも嫌じゃない・・・。


爽子は戸惑いながらも嬉しそうに微笑んだ。


そして、翔太と爽子のウブコントの様子を店長はメラメラと炎を上げて見ていた。


「翔太、外の掃除して来い!」

「ええ〜〜〜?」

「何だ?」

「いえ・・・」


そして、いつもにない仕事を言い放ってはその甘い空気を消すことに尽力を燃やして

いるのであった。その店長の秘密とは・・・?



**********



「昔の恋敵が俺にそっくり〜〜〜〜??」

「らしいよ」


爽子が入ってきてから特に風当たりが強くなった翔太はある日、本城からたまたま出

た話題に驚きの声を上げた。


「もちろん、振られたらしいけどね」

「・・もちろんって」

「いや、だから翔太に恨みっぽく接するってことさ」

「そっか・・・」


視線を下にして落ち込んでる風の翔太を本城はちらっと見ると、ニヤッと笑って言った。


「爽子ちゃんといる時の翔太が余計に腹立つんじゃねーの」

「え・・・?」


がばっと顔を上げる。


「なんで・・?」

「お前、気づいてねーの?デレデレなの」

「えっ/////そ・・・そうなの?」

「分かるよ。かわい〜〜もんな。爽子ちゃん」

「・・・・・」


正直に感情が出る翔太を見て本城はぷっと吹き出した。


「それで、あのことはもういいの?」

「え?あのこと?」


すると本城はこそっと翔太に耳打ちする。


『彼女のファーストキッス!』

「!」


翔太はいかにもぶすっとした顔で言った。


「だって・・・あれはそんなじゃないし。本城さんも医者なんだから、別にさ・・」

「あっそ、柔らかかったなぁ〜〜〜プルンとしてさ」

「!!!」


ばんっっ


「俺・・・・休憩終わりですからっ!戻ります」


休憩室の机に勢いよく手をつくと翔太は立ち上がった。そして本城を見ずに部屋を

出ていこうとした。


「・・・・うそだよ」

「!」


本城は壁にもたれかかり、感情を露わにする翔太を横目で見ると面白くなさそうに

言った。


「あ〜〜〜〜あ、翔太には軽いノリが通じないからつまんねーな」

「・・・すみませんねっ!」

「はは、じょーだん。っていうか、・・・羨ましいよ」

「え・・・」


本城は独り言のように言うと、遊びに来ただけの本城は”か〜〜〜えろ”と去って

行った。店のカウンターに居たシンの横をさっと通り抜ける。お互い何も言わない

姿に翔太は疑問を感じた。


(・・・二人、仲悪かったっけ?)


そして、翔太は本城の後ろ姿を見て、ホッとしたように息をついた。とにかく人工呼吸

と言ってもやっぱり彼女に触れて欲しくなかった。それが正直な気持ちだ。

事実を知って、翔太は穏やかな表情を浮かべた。


「いいことあった?」

「え??」


カウンターでシンにそれとなく聞かれ、翔太はドキッとした。


(やっぱ俺・・・分かりやすい??///)


「な・・・なんで?」

「なんか顔がすっきりしてるからさ」

「別に・・・////。それよりシンさん、本城さんとなんかあった?」

「・・・・別に」

「?」


二人に違和感を感じながらも翔太は何も分からなかった。翔太はシンをちらっと見た。


「何?」

「あっごめん・・・見過ぎた?」

「気持ち悪りぃな」

「いやさ・・・シンさんはどんな恋するのかと思ってさ・・・ごめんっ急に」

「・・・・・」


するとシンは黙り込んだ。翔太はそんなシンを見て、話題を変えようと思った時、シン

がぽつりと言った。


「どの恋が本物とか、そういうのは自分の思い込みかもししんねーけど・・・・」


”一生のうち一度でも本気の恋ができれば幸せだな”


シンさんの言葉が胸を響いた。シンさんは今そんな恋をしているのかどうなのか知ら

ない。それぞれの恋があり、それぞれの想いがあるだろう。


でもこの恋は一生に一度の本気の恋だと、誰もがそうあって欲しいと願う。俺も・・・。


それが初恋であろうと二度目であろうと関係ない。ただ、爽子に出会ったことが何よ

りの幸せなのだと・・・。


翔太は改めて爽子への恋心を大切に思った。








「はつこい」 15 へ













あとがき↓

この話は恋が成就したら終わりですね。想いが届いたらね。私の妄想には珍しい片
思い期ですね。君届オールスターズをもっと出したいけど、この話はオリキャラメイン
なのですみません。結局バイトをさせたかっただけなんだけど。(実は私の大学の時
のバイト先だったりして)