「はつこい」10

※ パラレル、オールメンバーは同じ。もちろんオリキャラ沢山出ます( ̄ー ̄)ニヤリ
※ 爽子と千鶴、あやねは同じクラス。風早は別クラスで交流がなかったという設定。
※ 爽子は高2の時に東京に転校してしまう。


翔太は周りに翻弄されながらも爽子への想いを強めていく。そんな中、爽子の歓迎会
が始まり・・・・?


こちらは 「はつこい」      の続きです。


興味のある方は以下からどうぞ↓  

































* * *


「かんぱ〜〜〜〜いい!!」


ワー チンッ チンッ


わいわい、がやがや


「へぇ〜〜〜爽子ちゃんの友達なの?かわいいね」

「爽子をよろしくお願い・・・って爽子?」


この日はレンタル部門を書籍部門の主任にまかせて、全員が顔を揃えた歓迎会。店長

以外は皆仲が良く、こうやってよく飲みに来ていた。そんな中、こういう場に慣れていな

い爽子はがちがちに固まっていた。


「あ〜〜あんた相変わらずね」


高1の時から変わっていない爽子をあやねは優しい目で包み込んだ。あやねの横に座

っていた本城はあやねに飲み物を注ぎながら言った。


「意外だね。爽子ちゃんの友達って感じじゃないね、キミ」

「あっどうも」

「爽子ちゃんってなかなか今どきいないタイプだよね」

「本城さんでしたっけ?爽子だけはだめですよ」

「おっいいね〜〜〜女の友情。俺女性を不幸にはしないよ。幸せにはしてもね」


そう言ってウィンクをする本城をあやねは上手く交わしながら楽しく参加している。

そんなあやねを爽子は尊敬のまなざしで見つめていた。


(あやねちゃんすごいなぁ・・・)


一方、千鶴の方を見るとなぜか店長と気が合っている。


「あんたは格闘技に興味があるのか?」

「よく見に行くよ。店長さんの今の有望株は?」

「○○かな〜〜〜なかなか筋がいいんだよな」

「なるほど!私は○○だな」

「おぉ、いいところに目つけてるじゃないか!あんた女っぽくなくていいな」

「まだまだそこら辺の男には力も負けないよ。なんなら腕相撲いく?」


がははは〜〜っ


(ちづちゃんもすごいなぁ・・・)



「さわこちゃ〜〜〜ん、こっちおいでよ」

「あ・・・っ」


アキが対面の爽子に手を振ると、ギロっと店長が睨む。


「おい、アキ分かってるな」

「店長・・・俺を見ないで翔太を見ながら言うの止めてくれへん?」

「え??」


アキの隣に座っていた翔太が不思議そうに聞く。アキがやれやれとした顔をして言った。


「店長さ、翔太みたいな奴が多分ダメなんよ」

「え?ダメって・・・?」

「爽やかでスポーツもできて、女にモテる奴?」

「俺、別に・・・・っ」

「でもさ、実際書籍部門の女の子に告られてるのとか知ってんやで〜〜〜。それでも

 付き合わないから思わず女嫌いとか思ったわけやねん」

「あ・・・・」


そういえば店長のあたりがきついと感じることあったっけ?


「あ、そうや、店長の弱みやけど、ここだけの話やで・・・」

「あ・・・いいよ。アキさん。俺が聞くのもおかしいから」

「翔太・・・・」


アキはそういうと真っ直ぐな翔太の目を見て恥ずかしそうに頷いた。そしてポンポンッ

と肩を叩いた。


「お前はいい奴や。俺もそんな奴になりたいわ。・・・ところでさわこちゃんのことどう思ってんねん?」

「え?////なんで・・・いきなり?」

「おいおい、アキ、それよりお前はどうなんだよ」


そこに翔太の隣で飲んでいたシンが移動してきてアキに覆いかぶさるように言った。


「え・・・シンさん?」

「人のことばっかり首突っ込んでないで、自分のこともちゃんとしろよな。黒沼さん

 の一件(倒れた)聞いたけど?」

「あのさ・・・・シンさ〜〜〜んっだってまさかさぁ」


話題が変わったことにほっとすると翔太は爽子をちらっと伺った。緊張でがちがちに

なっているのが分かる。


(隣に行きたい・・・・けど)


側に行っていっぱい話したいが構図的に難しかった。


ただ今、このような構図になっていた。店長、千鶴、爽子、あやね、本城、神楽、机

を挟んで、翔太、アキ、シンと並んでいた。


「ちょっと、アンタ〜〜本城さまに色目使ってんじゃないわよ。何よ、ホンモン(女)

 だからって」

「あ・・・神楽さんだっけ?やっぱそっち系の人?いいわね。あからさまで」

「何よその余裕さ、やになっちゃう。それに胸でかいし・・・ぶつぶつ」


本城の隣を確保している神楽太郎は女度の高いあやねを明らかに敵対視していた。


「安心してください。ちゃんと私彼氏いますから(自慢はできないけど)」

「そうだよね!あやねちゃんかわいいもんね。でも彼氏いても俺は全然OKだよ〜〜〜」

「ほ、本城さまぁ〜〜〜〜私は?」

「いや、せめて形だけでも女っぽくなったら考えるけど・・・」

「ひどぉい〜〜〜〜中身は乙女なのにぃ」


あははは〜〜〜っ


「爽子、前の男たち寂しそうよ。そっち行ってあげたら。アンタの歓迎会なんだし」


あやねはちらっと翔太を目配せして言った。


「え・・で、でもっ」

「ほら、お酒飲める人もいるんだからお酌するのも新人の仕事よ」

「仕事・・・」


仕事と言われて、爽子はすくっと立ち上がった。


「お、爽子ちゃん立ち上がった。俺に注いでくれんの?」

「は、はいっどうぞっ!」


爽子はまずは本城と店長に緊張しながらビールを注いだ。そして対面のテーブルに向かう。


「かわいいね。あそこまでまっさらだったらさすがに手ぇ出せないわ」


本城は頬杖をつきながら初々しい爽子と翔太の姿を見ていた。


「でも、思わずからかっちゃいたくなるんだよなぁ」

「え?なんか言いました?」

「いんや〜〜〜なんも。ほら、あやねちゃんもっと飲む?」

「あ、どうも・・・」


あやねは本城を訝しげに見つめた。爽子のバイト仲間たちはかなり個性豊かだった。


(ま・・・ある意味いい人生経験になるかもね。特に爽子は)


「王子のことは知んないけど・・・」


そして、爽子にジュースを注いでもらって頬を染めている翔太を呆れ気味に見つめる

とぷっと吹き出した。


(アレのどこが女嫌いなんだか・・・)


「あ・・・ありがと」

「うううん・・・っ」


二人は目が合うと、お互いぎこちない動きで視線を逸らした。


「さわこちゃん〜〜ここ座りなよ」

「えっと・・・」


アキに言われて戸惑っている爽子に翔太は照れながらもしっかりとした口調で言った。


「黒沼、良かったらこっち座って。話したいことあるし」

「う、うんっ」


爽子は”お邪魔します・・・”とそっと翔太の横に座った。その様子を前で見ていたあやね

は高校時代見たことのない翔太の嬉しそうな顔に翔太の気持ちを確信していた。


(・・・あとは爽子がどうか?・・だわね)


翔太はあの誤解をちゃんと解きたかった。なかなか二人で話す機会がないと思ってい

たが今はなぜかアキが邪魔してこない。シンと何やら話し込んでいて、今がチャンス

だと思った。


「あのさ・・・あのことなんだけど」

「あのこと・・・?」


爽子が緊張気味に翔太を見つめた。二人の視線が合う。


どくんどくん・・・っ


翔太は爽子の大きな瞳をまじまじと見つめた。


今までこんなに近くで彼女を見たことはなかった。大きな瞳に自分が映る。翔太は

爽子を見つめると大きく高鳴っている心臓をぎゅっと押さえて言った。


「あのさ・・・「ー遅れました〜〜〜!」」


がらっー


その時、勢いよく個室のドアが開いた。







「はつこい」 11 へ

web拍手 by FC2

いつも拍手をありがとうございます。古い話にも拍手していただいた方、
読んでいただいてありがとうございました!!(* ̄ー ̄*)






あとがき↓

この話、ちょっともう少し進めます〜〜〜〜!しかし、残暑きついっすね。がんばるぞ!!