「はつこい」3
※ パラレル、オールメンバーは同じ。もちろんオリキャラ沢山出ます( ̄ー ̄)ニヤリ
※ 爽子と千鶴、あやねは同じクラス。風早は別クラスで交流がなかったという設定。
爽子は大学に通うために北海道に帰って来た。その想いとは・・・?
興味のある方は以下からどうぞ↓
第二章<黒沼爽子>
★゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・゜゜
「にぃ・・・」
毎日、黒沼爽子は鏡に向かって笑顔の練習をしていた。
普段から初めての場所や人には緊張してしまい、上手く表情が作れない。そして、上手く
話せない爽子は大学に入ったら社会経験を積もう!とバイトをすることを心に決めていた。
「あ″ぁ・・・・こんなじゃ怖すぎる」
暗い雰囲気のある爽子はあまり人に受け入れられない中学時代を過ごしてきた。本人は
それでも楽しく毎日を送っていたのだが、高校に入って人と関わることがもっと楽しいこと
だということを知った。それは高一の時に出来た初めての友人、吉田千鶴と矢野あやねに
出会ったからだ。二人は爽子を誤解することなく受け入れた。そんな二人と離れることに
なった爽子は、とても悲しい想いをした。転校先の東京の高校でも爽子は偏見を持たれ
ることなく親しい友人も出来たのだが、二人ほどの親友はできなかった。なので大学は
大好きな北海道に帰り、みんなと一緒に過ごしたいと考えていたのだ。
単身で北海道に行くことに両親は心配したが、爽子の目指した薬学科は北海道の大学
が有名だったことや、爽子の意思を尊重して父は泣く泣く送り出した。
そして、何より爽子は北海道でもう一度会ってみたい人がいたのだ。
「へぇ〜爽子バイト始めたの?」
「うん」
「うわぁ〜またそこの本屋行くよ!」
爽子が北海道に帰ってきて3人の友情は再び復活した。あやねは違う大学の国文科、
千鶴は美容師になるための専門学校に通っていた。
この日は爽子の一人暮らしの部屋に再会を祝してお菓子パーティーをしていた。
「とにかく爽子が戻ってきて嬉しい!!」
「ち・・・ちづちゃんっ!」
「これから、いっぱい遊べるね」
「あやねちゃん・・・っ!」
うるうると感激に瞳を潤ませる爽子を見て”相変わらず涙ボロいんだから〜〜”とあやねが
頭をなでる。千鶴も爽子を見てハンカチを噛んでうるうるしていている。二人にとっても爽子
は特別な友人だった。3人は改めて友情を確かめ合った。
「私もさ〜なんかバイトやってみたいけどさ、龍の店手伝ってるしな」
「未来の嫁なんだから仕方ないんじゃないの」
「えっ////」
千鶴はあやねの言葉に赤面した。爽子はその様子を嬉しそうに眺めていた。
真田龍は爽子たちと同じクラスではなかったが、二人が幼馴染だと言うことは知っていた。
ずっと空気が同じだと思っていた二人が高二の時に付き合い出したことを知って心から嬉し
かったのを覚えている。3人は離れてもメールや電話などでやり取りをして繋がっていた。
「やのちんこそ、すぐ結婚とかすんじゃないの!」
「え?」
あやねは高校卒業してから高一の時の担任、”荒井ピン”と付き合い出した。ピンはあやね
の卒業を待っていたのか、最近の出来事だ。ピンがあやねに告白したのだ。
「そんなわけないじゃない〜〜。私、まだ大学に入ったばかりだっつーの。私の青春、
これからなんだから。あいつ以外にもいい男いるに決まってるしね」
「そんなこと言ってい〜〜の?やのちん」
「い〜の。なんで私があんな奴に・・・・」
そう言って照れるあやねはクールなあやねのイメージではない。
「しっかし、男と女は分かんないよな〜〜〜ピンとやのちんがね〜爽子?」
「う、うん・・・。すごくお似合いだと思う」
「も〜〜いいでしょっ。今日は爽子のこと!」
「やのちん照れてる〜〜っ!!」
「うっさいっ!」
わはは〜〜〜っ
「・・・まぁとにかく、私たちはこれからいろいろな人に出会うんだから何があるか分か
んないということ。爽子のこと言ってんだけど?」
「え?私?」
きょとんとしている爽子にあやねは小さなため息をつくと警告のように言った。
「相変わらずなんだから・・・。鈍感だし心配だわ」
「えっ・・・何が?」
「高校の時には何もなかったかもしんないけど、爽子が気付かなかっただけかもよ」
「??・・・あやねちゃん?」
「う〜ん、つまり爽子のことを好きになる男も出てくるっつーこと」
「えっ?ぇえええええええ?そんなことあるわけないよ〜〜」
爽子はぶんぶんと頭と手を振り否定するが、二人はニヤニヤしている。
「ふっふっふっ楽しみっ♪」
3人は爽子の家でお菓子を囲みながら近況や真剣な話なども出て、飽きることなく会話
に花が咲いていた。3人でいるとどんどん時間が過ぎていくのだ。爽子は改めて二人に
出会えたことを幸せに思い、何度も感激していた。
そしてかなりの時間が経過した時、爽子は二人と会った時からずっと言おうと思っていた
ことを口にすることにした。ごくっと生唾を飲み込むと二人を見上げて、緊張気味に言った。
「あ、あのね・・・」
「「ん?」」
二人は爽子の言葉に耳を傾けた。
「真田くんの・・・お友達の、その・・・・っ有名な人いたよね?」
「あ〜〜もしかして風早のこと?」
「う、うんっ」
「風早がど〜したの?卒業以来会ってないわ」
「た、たまに会うことあったの?」
「中学ン時はよく龍の家に遊びに来てたけど、高校になってあんま来なくなったから
滅多に会わなかったけどね〜〜」
「あのね・・・・実はそのバイト先で一緒になって・・・」
「「うっそ〜〜〜〜〜〜〜っ!!マジ?」」
爽子がもう一度会ってみたかった人・・・・。それは風早翔太だった。
翔太自身は意識していないが、爽やかでクラスの中心にいた風早は校内でも有名で男女
関わらず人気があった。そして憧れている女子も多かったのだ。
爽子はそんな翔太に密かに憧れていた。まるで”陽だまり”のような人だと。
トクンッッ
爽子は再会した翔太を思い浮かべると胸の奥が疼くのを感じた。
「じゃ、ますます遊びに行くよ〜〜〜!久々に風早にも会いたいし」
「風早がそこにいるんじゃ、きっとピンなんて通いつめてるわよ。いつからいるんだろ?
めちゃ縁濃いね」
「う・・うんっ////」
「風早は爽子がこっちにいたこと知ってんのかな?」
「知ってるわけないよっ。きっと・・・私影薄いから」
”悪目立ちはしてたけど・・・・”とあやねと千鶴は頭の中で思い浮かべたのであった。
そして、あやねはニヤッと笑って言った。
「爽子、風早なんてどう??」
「えっ?ど・・どうって?」
「彼氏にどうってこと」
どきっ
その時爽子が動揺したのをあやねは見逃さなかった。
「そ、そんな、あ、ありえないよぉ〜〜〜お、恐れ多い」
ぶんぶん両手を振りまくって真っ赤になっている爽子を見てますますあやねは確信した。
そして何とかならないものかと。風早はモテまくっていたが高校三年間彼女を作らなかっ
たようだ。たいして噂も上がらなかった。あやねはう〜〜んと腕を組んで考えていた。
(あ・・・くるみとは噂あったか?でも付き合ってなかったし・・・まさかゲイ?)
「あ・・あやねちゃん?」
「ああ、ごめんごめん。とにかくさ、爽子はこれからだからね〜〜〜変な男に引っか
からないように私が見とくからね」
「そ、そんなっ〜〜」
「爽に変な男がついたら私がやっつけるっつーの!!」
あはは〜〜〜っ
爽子は大学でも友人が出来、好きな勉強が出来る毎日に充実感を覚えていた。
そして、出会った。
爽子は翔太を思い浮かべると嬉しそうに微笑んだ。
少女たちが女へとめまぐるしく変化を遂げるこの時期、爽子もまた、新しい春に胸の
ときめきを感じていた。
「はつこい」 4 へつづく
あとがき↓
いやぁ、18歳から19歳って遠い昔過ぎてもう忘れた・・・。青春いいなぁ。いやいや
まだまだ青春。時間を大切にしないとあっという間に人生終わりますからね。自分が
やりたいこと楽しみたいもんですね。