「はつこい」5 

※ パラレル、オールメンバーは同じ。もちろんオリキャラ沢山出ます( ̄ー ̄)ニヤリ
※ 爽子と千鶴、あやねは同じクラス。風早は別クラスで交流がなかったという設定。


爽子に会いたくてDVDを返却に来た翔太だが、爽子とバイトに入っていたアキの存在に
やきもきする。そしてアキが取り出したものとは・・・?


こちらは 「はつこい」       の続きです。


興味のある方は以下からどうぞ↓






















翔太は新作のアダルトDVDを持っているアキに焦った。こそこそっと爽子を気にしながら

声を潜めて言った。


『アキさんっ女の子がいるんだからっこんなもの・・・っ!!』

「あ〜〜そうか。だからお前さっきから・・・」


ビクッ


(やばい・・・・ばれた?)


動揺している翔太をすり抜け、アキは爽子のところに行くとパッケージを見せた。

呆気にとられる翔太。


「さ〜〜〜わこちゃん、こんなんに動揺してたらこの仕事でけへんでぇ」

「え・・・・?」


爽子は見せられたパッケージに固まってしまった。


「ちょっ・・・アキさんっ!?」


焦った様子の翔太をよそにアキは側のレコーダーにそのDVDをセットした。


「アキさんっ何するんですか!?・・むぐっ」

「翔太よ・・・新人ちゃんに慣れてもらわんとあかんやろ。さっきから思ってたけど

 お前は女の子苦手なんやろ?だから機嫌悪かったんか!」

「はぁ??ん・・・むぐっ」


アキは暴れる翔太の口を塞いて、爽子にDVDを見せた。


「こんなん平気で男達が返却してくるけど大丈夫?」

「??」


そして爽子が見たものとは・・・。


『ああ〜〜〜〜ん、んっいやぁ〜〜〜っ』

「・・・・・」


しぃ〜〜〜〜〜〜〜〜ん


DVDの中から聞こえてくる女の人の艶かしい声。それは爽子が18年間生きてきた

中で見たことのないものだった。

爽子は固まっているのを通り過ぎて化石化していた。


「さ〜〜わこちゃん??ツンツン」


動かない爽子をアキはツンツンと突く。


「わ・・・私、・・・その、向こうの整理が・・・」


爽子は身体をふらつかせながらぼーっとした様子で向こうの方に歩き出した。翔太は

その様子を茫然と見ていたが、爽子の行動にハッとして声を上げる。


「ちょっ!危ないっー」


「ぎゃっ」


どたっばたんっ


「黒沼!!」


爽子は下のコードに足を引っ掛けて転んでしまう。そして運悪く倒れる時に棚の角に頭

をぶつけたようで、その場に倒れこんだ


「黒沼、黒沼っ!!」

「さわこちゃん〜〜〜っ!」


翔太は何回呼んでも返事のない爽子をさっと抱き上げるとお姫様抱っこをして休憩室に

運んだ。それは一瞬の出来事だった。


アキはその様子をぽか〜〜んとして見ていた。そして焦ったように呟く。


「え・・・・俺、悪ふざけすぎた?」



* * *



その時、たまたま書籍部門の女の子とデートの約束をしてた本城はその場面をバッチ

リ見ていた。


「お〜〜〜王子誕生じゃん。今のやられたな〜〜〜」

「あっ!!本城さん。いいとこに!」


責任を感じていたアキは医学生の本城を見てすがるように言った。


「ああ、大丈夫。ただの脳震盪だから」

「そうなんですか??良かったぁ〜〜〜〜」


ほ〜〜〜っとした様子で脱力するアキを横目に、本城は腕組みをしてにやっと笑う。


「ちょっとからかっちゃおうかな〜〜〜」

「へ?」


そう言うと、休憩室の方に向かった。


* * *



「本城さんっ!?」


休憩室の中では意識の戻らない爽子の側で翔太が心配そうに見守っていた。


「たまたま来てたんだけど・・・彼女倒れたんだって?」

「はい、棚の角に頭をぶつけちゃって・・・・」


本城は爽子の状態を調べた後、心配そうな翔太をちらっと見ると神妙な顔で、眉を顰

めて言った。


「やばいな・・・・」

「何がですか??」


本城の言葉に翔太も真剣な顔になる。


「脳に酸素がいってない・・・」

「ど・・・うしたらいいんですか?」


翔太は身体の体温が失われていくような恐怖感を覚える。背筋に凍るように流れる

冷や汗。


どくん、どくん


しばらくの沈黙の後、本城が深刻な顔をして言った。


「人工呼吸・・・・マウストゥーマウス・・・かな」

「人工・・・呼吸?」


どくんっ


翔太は思わず爽子の唇に目をやった。その唇は赤くぷるんっとしている。


(お・・・おれ、何考えてんだ。一大事なのに)


「早くしないと大変だからさ、俺慣れてるからするわ」


本城が爽子の唇に顔を近づける。


「あぁ"〜〜〜うわぁぁっ!」

「へ?何、翔太?」

「い・・・いえっ」


分かっているのに。医者だって分かってるのに・・・・。


翔太は背筋が凍るような思いから一気に身体に稲妻が走るように熱くなっていくの

を感じた。


「なに、お前やりたいの?」

「い・・・いえ。本城さんがやってください」

「あっそう?お前やってもい〜〜んだけど?」

「いえ・・・お願いします」


自分がやるより彼女が助かるに決まってるのだから。今はそれだけだ。


でも・・・やっぱり見たくない。


翔太はぎゅっと目を瞑った。思わず息を呑んだまま呼吸を止めていた。手に汗がじわ

っと滲んでいる。


”彼女が助かりますようにっ!”


それだけを心の中で強く念じた。


(・・・ん?)


その時、がさっと音がした。翔太はそろ〜〜っと片目を開け二人の様子を覗き見ると

そこにはきょとんっとした表情で座っている彼女の姿があった。





「はつこい」  へつづく

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よければ感想を聞かせてくださいね♪








あとがき↓

書いてて楽だわ・・・この話。さて、5話ぐらいづつで区切っていきますね。次は蓮の話
を5話ぐらいUPしようと思います。蓮の方はだんだん暗くなるからね。マニアックな人し
か楽しめないわ・・・。後、以前書いた「君までもうすぐ」の続きを書きたいと思っていま
す。気分のままUPします。よければ見てください。