「はつこい」4 

※ パラレル、オールメンバーは同じ。もちろんオリキャラ沢山出ます( ̄ー ̄)ニヤリ
※ 爽子と千鶴、あやねは同じクラス。風早は別クラスで交流がなかったという設定。


爽子のバイト生活が始まった。緊張しながらも仕事を必死で覚えようとはりきってい
る爽子だが、次々に出会うバイト仲間達にある疑問が・・・?


こちらは 「はつこい」      の続きです。


興味のある方は以下からどうぞ↓






















第三章<新しい出会い>


★゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・゜゜



「うっわ〜〜〜〜スッゲ〜〜ッ!!」


一緒にバイトに入っていた香山秋人は、爽子がカウンターの下でこそっと開いていた

ノートを見て大声で叫んだ。爽子は本来の性格から、仕事を一日でも早く覚えようと

教えてもらったことをノートに書き留めては家に帰って復習していた。


「ビッシリじゃんっ!真面目だね〜〜〜さわこちゃんっ」

「い・・・いえ、あの、香山さん・・このDVDはこっちに戻して大丈夫ですか?」

「ちょっと〜〜〜”アキ”って呼んでって言ったやん??」

「あぅ・・・っあ、アキ・・・さん?」

「うっわ〜〜〜〜純情!!かっわいい〜〜〜っ」


わっはは〜〜〜〜っ


そう言って、アキはパンパンと爽子の肩を叩いた。爽子はアキの勢いについていけず

石化していた。


「あれ??固まってる?」


金髪のピンピンした頭に派手なシャツを着ている香山秋人(アキト)は大学2年だ。

いつも軽いノリで書籍部門の女の子達を笑わせては場の空気を明るくさせる関西出身

のムードメーカーだった。



<またある日>


「君??新しく入った女の子って」

「は・・・はいぃ。黒沼爽子と言います。よ、よろしくお願いしますっ」


爽子が思いっきり頭を下げると、目の前でそっと爽子の手が持ち上げられた。そして

手にキスをする真似をしてその男はウィンクして言った。


「ほら、緊張しないで。かわいい顔が台無しでしょ?」

「・・・・・」


しぃ〜〜〜〜んっ


サラサラヘアーに眼鏡を掛けて利発そうな男は爽子に満面の笑みで笑いかけた。あま

りにもさらっと言われた今まで遭遇したことのない言葉と行動に、爽子は再び石化する。


本城慧(ホンジョウサトシ)大学4年。医者の息子で医大に通っている。もっと割の良い

バイトができるが、なぜかこのバイトが気に入って続けている。坂口新の次に長いが女

遊びに忙しく、あまりバイトには入らない幽霊バイト員である。必ず女性を幸せにできる

と豪語する、根っからの女ったらし。常に彼女がいる。


<そしてまたある日>


「ちょっと〜〜〜アンタが新しいバイトの子?」

「く・・・・黒沼爽子ですっ!よろしくお願いしますっ!!」


じぃ〜〜〜〜〜〜っ


「あ・・・あの?」


次の日、爽子はまた他のバイト仲間と遭遇する。これまた今まで会ったことのない人

物で、やたらと髪を触り、身体をくねらせながら喋る。見た目は明らかに男なのだが

仕草が他の男性とは違った。


その男はじっと爽子を物色するように見ると、安堵の表情を浮かべて言った。


「良かった〜〜〜〜!アンタだったら大丈夫」

「え??」

「だって〜〜本城さまってば胸のでかい女が好きなんだもん」


(・・・それはそのままの意味ですね)


爽子は思わず自分の胸を見る。


神楽太郎(カグラタロウ)大学2年。がっちりした身体をしているが、中身は乙女で、

かわいいものが大好き。大学に入るまで自分を偽っていたが、今は女らしい自分を

全面に出し、すっかりキャラが定着していた。


爽子は次々の現れる新しいバイト仲間に戸惑いを隠せなかった。

そしてある疑問が湧く。


(一体いつ女の人に会えるのだろう・・・?)


爽子はまだ知らなかった。レンタル部門は男の園であることを・・・・。


* * *


一方翔太は、あまり爽子とシフトが合わずに想いばかりが募っていた。

そんなある日、翔太はバイトの日ではなかったが、DVDを返しにいくのを口実に

バイト先にやってきた。


”一目見るだけでいい・・・”


そんな気持ちで店を覗いた翔太だが、目の前の光景に愕然とする。


「・・・・・」


「さわこちゃ〜〜〜ん、ほらっ固いって。リラックス、リラックス〜〜〜っ」

「は、はいっ」


がはは〜〜っ


香山秋人はそう言って爽子の肩をモミモミしている。男女関わらず人好きなアキに下

心があるとか、特別な感情を持っているとかそういうことではないのは分かっている。


しかし、翔太はアキの行動に動揺を隠せなかった。


トクンッッ


初めて強く感じた感覚。


翔太は胸をぐっと押さえた。


「おっ〜〜翔太やんっ!あれ?今日入ってなかったよなぁ?」


アキは翔太を見つけると大きな声で手招きした。翔太は爽子を気にしながら気まずそ

うにカウンターにやってくる。


「あっ・・・どうもアキさん」

「風早くんっ・・・こ、こんにちわっ」

「!」


翔太は隣にいた爽子に挨拶をされ、パッと顔を上げると目を輝かせて言った。


「こんにちわっ」


”風早さん”という爽子に、翔太はタメだからとせめて”クン”と呼ぶように頼んだ。


二人は見つめ合うと、にっこりと微笑み合った。


翔太はついさっきまで落ちていた気持ちがすぐに浮上していくのを感じた。たった一

言言葉を交わすだけ。一目彼女の姿を見るだけ。それだけでこんなに気持ちが変わる。


(俺って・・・単純)


「そっか〜〜〜翔太はすでに会ってんやな。良かったよなぁ。わがレンタル部門にもやっと

 女の子が来て。さわこちゃんかわいいしなっ」

「・・・・へ??そ、そんなっわけは・・・」

「またまたぁ謙遜して〜〜」


あはは〜〜〜っ


アキはそう言うと、ポンポンッと爽子の肩を叩いた。


「・・・・・」


やっと気持ちが浮上してきたと思ったら、今度は怒りに似た感情が湧いてくる。

翔太はアキが簡単に爽子に触れるのを見て眉を顰めた。


(ちょっと・・・触りすぎなんだよっ)


「ん?〜〜翔太、元気ないやん??女に振られたんか?」

「ア、アキさんっ!!ち・・・がいますよ」


翔太は爽子をちらっと見ると焦ったように言った。


「??何怒ってん?あっそうや!翔太、新作入ったで!」

「え?」


アキはそう言うと嬉しそうに奥からDVDのパッケージを持ってきた。それを見た翔太は

焦ったように”わぁぁ〜〜〜〜〜っ!!”と声を出した。側できょとんとした顔で爽子が

見ていた。


「??何やねん、翔太。今日おかしいで」

「そ、そんなことないですから。ねぇ〜〜アキさんっこっちに」


バタバタバタッ


引きつった顔で翔太はDVDごとアキをカウンタ―の奥に押しやった。



そのDVDのパッケージには裸体の女性が魅惑的に映っていた。






「はつこい」  へつづく











あとがき↓

また、オリキャラだらけですんませ〜〜〜ん。今回は「Half moon」のようにどろっと
絡み合ったりしません。爽子withイケメンパラダイスって感じ?楽しい感じで書いて
いきたいと思います。(もう一つが暗すぎるもんで・・・)オリキャラって好き嫌い分か
れると思うので、興味のある方は楽しんでもらえたらと思います♪