「はつこい」2 

※ パラレル、オールメンバーは同じ。もちろんオリキャラ沢山出ます( ̄ー ̄)ニヤリ


大学生になり、バイト先で遭遇した初恋の人。翔太はもう二度と会うことはないと思って
いた爽子に再会し、あの頃のような胸のときめきを覚えた。

こちらは 「はつこい」 1 の続きです。


興味のある方は以下からどうぞ↓


























★゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。



「そんじゃ、シンよろしく」

「へい・・・・って店長、ちょっといい?」

「あん?」


爽子をまかされたシンは店長を倉庫の方に誘った。二人の背中を見ながらぼーっとしてい

た翔太は爽子と二人きりになった事実に気付いた。


ドクン、ドクン、ドクン


さっきから心臓が異様な早さで脈打ってる。

まさか、彼女とこんなところで再会するなんて・・・心の準備が。


翔太は爽子を直視できずに俯いたまま言った。


「あ・・あっ・・その、何でここに・・・」

「え?」

「いやっ・・・」


必死でテンパってる気持ちを落ち着かせる。彼女は俺のことを知らないのだから。


「大学はどこ?」

「あ・・・えっとS大です」

「へぇ〜、ここから遠くないね。ず、ずっとこっちの人?」


・・・何聞いてんだ。知ってるくせに。これじゃまるで尋問じゃん。


普通に接することができない。


翔太が頭の中で悶々と自己嫌悪に落ち込んでいると、爽子がぽつりと遠慮気味に話出した。


「あの、実は高校生の時にこちらに居たんですが、高2の時に東京の方に父の仕事の都合
 で引っ越ししまして・・・この春S大に行きたかったので帰ってきました」


知ってる。実は知ってるんだ。君がここにいたこと。同じ高校だったと普通に言えばいい

のに言えなかった。


「そ・・・うなんだ。・・・あっタメだから敬語とかなしね」

「あ・・・は、はいっ・・・いえ、うんっ」


翔太は必死で言おうとする爽子に思わず笑みが零れた。


一回も会話を交わせなかった高校時代・・・。今こうして近くにいて喋っていることが夢のよう

にも思えた。


彼女が帰ってきた。


トクンッッ


あと4年はこっちにいる・・・。そして同じバイト。


いろいろ聞きたいことはあるのに、気持ちだけ先走ってちゃんと聞けずにいた。


「あのっ・・・「お〜〜いっ翔太!」」

「は、はいっっ」


爽子と向き合っていた翔太に店長がごほんっと咳き払いを一つすると大きな声で手招きした。


「ちょいちょいこっち」

「へ?」


シンと店長に囲まれた翔太は怪訝そうな顔をして二人を見つめる。


「お前は知らないと思うが・・・っていうのはこのレンタル部門には男しかいないからな」


そう、書籍部門と違ってなぜかこのレンタル部門には男のバイトしかいなかった。店長に言わ

れて、翔太はその事実に改めて気付いた。


胸の奥で何かが疼いた。


(・・・そうだった。黒沼一人・・・・)


「レンタル部門でアルバイト募集してたんだが、今回たまたま女の子が来てさ、書籍部門に

 回そうと思ったんだけど足りてるっつーから、こちらで働いてもらうことにした」

「何で今まで女の子いなかったんですか?」

「たまたまだ」

「へぇ・・・」


そう言えば不思議だったなぜかレンタル部門は男ばかり。


「それでな、ここからが本題だ。ここにはあるルールがある」

「はい?」

「バイトの間で不純異性交遊禁止」

「え??」


それって恋愛禁止ってこと?


翔太は思わずシンに視線を注ぐ。するとシンは両手の平を広げ、呆れたようなポーズのジェス

チャーを見せた。


「仕事に恋愛はいらんっ!ーつーことでよろしく!」

「えっ・・・よろしくって・・・」

「なんかお前、黒沼さんが来てからぼーっとしてるからくぎ刺しとく」


え・・・?なんですと?



唖然となっている翔太に店長が去った後、シンが呆れたように言った。


「店長さ、ずっと空手一筋でさ多分女と付き合ったことないんだよな。おっとお前もだっけ?」

「////ま・・・まぁ」

「でもお前とは違うな。お前は絶対モテんだろ〜〜〜〜選んでるとしか思えん。でも店長は

 なぁ・・・ちょっと違うような気がする」

「え?それとどう関係してんですか?」

「トラウマなような気が・・・・」

「え??」

「まぁ自分ができないからここでの甘い感じはヤなんじゃないの」

「ふ・・・ぅん」

「とにかく、店長の前では気をつけた方がいいぞ。体育会系と言ってもねちっこいから」

「で・・・でもっ俺そんなじゃっー「あ・・・あのぅ・・・」」

「!」


翔太とシンは背後からの声にハッとして振り向く。

拾ったDVDを揃えて、爽子が申し訳なさそうに立っていた。


「わ、私は何をすればいいんでしょうか・・・」


シンはニヤッとして言った。


「ほら、翔太、後輩できたぞ。教えてやれよ」

「は・・はいっ////」


もし運命というものがあるなら、彼女と再会できる運命だったのだろうか。偶然か必然か。


でもそんなことどうでもいい。これから先なんて分からない。

ただ分かっていることは俺の異様な胸の高鳴り。


どくん、どくん、どくん


胸がきゅっと痛むような嬉しいのにせつないこの想い。


彼女に同じ高校だったという事実を言えなかったのは、自分の存在を知らないと言われる

ことが怖いだけじゃない。きっと・・・俺にとって宝物のようなあの ”はつこい” を簡単に

口にはできなかったのだと後で気付いた。




「はつこい」 3 へ つづく















あとがき↓
いっぱ〜〜〜いオリキャラ出ます。沢山出すぎるので、どれが主要メンバーか分からなくなる
かも。一応バイト仲間が主要メンバーになります。まだまだバイト仲間出ますので、オリキャラ
苦手な人は楽しめないのであしからず。さて、以前戯言で書いた「蓮」の話も同時進行してい
きますね。楽しんでもらえたら嬉しいです。