「はつこい」1 

※ パラレル、オールメンバーは同じ。もちろんオリキャラ沢山出ます( ̄ー ̄)ニヤリ


翔太は高校に入って初めての恋をした。しかし恋に自覚した時には彼女はいなかった。
淡い初恋の思い出は遠い記憶となっていたはずだったったが・・・?



興味のある方は以下からどうぞ↓


















第一章 < 再会 >


★゜・。。・゜゜・。★゜・。。



初恋は実らないと言う。


それは本当だと思う。俺の初恋は一生実ることがないだろう。


恋に気付いた時には彼女はもういなかったのだから。


新しい恋をして、いつかこの想いも風化していくだろう。でも初恋は一度きりなのだと。


彼女が初恋であることは一生変わらない。


初めて恋をした高校一年の春。



★゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・




出会いは桜の花びらが散る春だった。


高校の入学式の日、道に迷った俺に笑顔で道を教えてくれた君に出会った。その笑顔は

ずっと俺の頭から離れなかった。

それから俺は自然に彼女を目で追っていた。彼女は違うクラスの俺のことなんか知らない。

名前さえ。”でもいつか知ってほしい”そう思うようになった。


あの日以来笑った顔を見なかった。でも俺はある日見つけた。花壇の前で笑っている君を。

あの時の笑顔と同じだった。それを見た時、胸がきゅっとなった。

こんな気持ちは初めてだった。でもそれが何なのか分からなかった。


一緒のクラスになりたいと願った高校2年の始業式、俺はどきどきしながらクラス発表を

見ていた。もちろん探していたのは彼女の名前。

だけど、彼女の名前はなかった。あの時の落胆した気持ちを今も忘れない。そして必死

で彼女の名を探す。せめて隣のクラスなら・・・と。


でも、彼女の名前はなかった。どこにも・・・・。


彼女は転校していた。


泣くにも泣けなかった。何も始まっていなかったのだから。そして彼女がいなくなってや

っと気付いた。俺は彼女に恋をしていたことを。


もう二度と会うことのない君に想いを残したまま、季節は廻った。今となっては君に恋を

していたのかも分からない。


すべては懐かしい思い出の中・・・。



時は過ぎ、俺はこの春大学生になった。



大学1年春――



大学に入って1ヶ月が過ぎた。新しい環境、新しい友人、全てが新鮮だった。制服を脱い

だら一気に服装も変わり、大人に近づく周囲の人達。まるで今まで縛られていた羽を解放

されたように、自由に動き回っているように見えた。翔太は高校時代の友人達とは離れた

が、すぐに新しい友人が出来、毎日充実して過ごしていた。


「女の子って高校卒業するとぐっと大人っぽくなるよな〜」

「たった1ヶ月とかで変わるもんな〜」


翔太は大学の昼休み、すでに友達になった何人かと大学内レストランで昼食をとっていた。

話はやはり女の子の話題となる。


「あぁ〜〜彼女ほしっ!!風早はいるんだろ?」

「いないよ」

「うっそ〜〜まじでっ!じゃ、合コンしね?俺のバイト先の子たちと」

「俺も俺も!!」

「風早に言ってんの」

「俺も入れてくれてもいいじゃ〜〜ん」


翔太は友人の一人を見ながら”ジョーみたい”と高校時代を懐かしく思った。


さすがに大学生となると個性的で服装にも個性が溢れていた。その中で小柄な上、髪はサ

ラサラで線の細い男、大和武がいた。


「大和は?まさか彼女いねーよな?」


仲間内の一人が興味津々に聞いた。


「いるよ・・・」

「え〜〜〜〜〜マジ?大和の方がきれいだったりして!?」


からかうように言う仲間を翔太はじろっと睨んだ。仲間達は暴走しすぎたと焦った顔をし

た。翔太はすかさず会話を続けた。


「大和は東京から出て来てるから向こうの彼女?」

「う、うん。だから離れちゃって」

「さみし〜〜な」

「うん」


翔太は思った。自分の好きな子と離れて生活するのはつらいだろうと。”東京”と言えば

確か彼女がいるところ・・・。いつかそれとなく彼女のことを誰かに聞いた。


(って・・・久々に何思い出してんだ)


「風早は・・・?」

「え?」

「好きな子いないの?」

「いないよ」


好きな子・・・・。


高校時代も特に好きになるような子は現れなかった。周りから見ると寂しい男なのかもし

れないけど、それはそれで楽しい高校生活だった。

もし、彼女が転校していなかったら、どんな高校生活だったのだろうか。

今も時々思い出してる。いつかまたあんな想いをすることができるのだろうか・・・。


翔太は懐かしそうに遠い目をして青い空を見上げた。




***********



チャラチャラ〜〜♪



『よろしくなっ翔太!』

「またかよっ」

『おっ?お前そんなこと言っていいのか?』

「・・・ったく分かったよ」


ピッ


翔太は大学が決まった高三の秋ごろから本屋でバイトを始めていた。そこは大きな本屋

で1階は書籍、2階はレンタルショップになっていた。翔太はレンタル担当だった。本当は

いけないのだが、バイトをしてると内緒でDVDを借りることが自由に出来るので、高校時

代の担任、俺様″ピン”はそれをいいことによく翔太にアダルトDVDを借りさせていた。


「なんか翔太とアダルト似合わねーな」

「だから、俺じゃないってば」

「それじゃ見ねーの?」

「いや・・・まったくってわけじゃ////」

「くぁわい〜〜ねぇ!!翔太ちゃんは」

「シンさんっ!」


坂口新(坂口あらた)名称シンは大学3年でこのバイトの長老者だ。ひげ面の伸びきった

髪をカットしていない後ろ髪を一つに束ねている個性的な男だ。大学もよくサボるし、いい

かげんなところも多いが、いざという時に頼りになる男で、翔太は大好きだった。


レンタルショップのカウンターは二人のバイトで回ることが普通で、バイト回数の多いシン

と一緒になることが多かった。


「シンさん、いっぱい入ってますよね?」

「だってこのバイト楽だもん。夜中なんてちょー寝れるしさ」


ぼかっ


「いてっ!」


すると後ろから店長が睨んでいた。店長は25歳ぐらいで角刈りでがっちりした身体をして

いる。空手をやっていた店長は体育会系で何かと規律などに厳しかった。


「おまえ〜〜〜また居眠りしてたんじゃないだろうなっ」

「違いますよ・・・店長」

「今は寝てませんでした!」

「翔太お前〜〜っ!」


あはは〜〜〜っ


翔太は大笑いしながら、ふっと視界に入ったものにどきんっと心臓が大きくとび跳ねた。


え・・・・?



「ああ・・紹介遅れたな」


翔太の視線に気付き、店長は後ろにいた人物を前に呼び寄せた。


「この間言ってた新しいバイトさん。ほら、黒沼さん」


え・・・・?黒沼?


「く・・・黒沼爽子ですっ!よろしくお願いしますっ」


黒沼爽子は緊張した面持ちで90度に思いっきり頭を下げた。


「・・・・そのまま」

「え?」

「だからそのままだって」


ガラガラガラッ〜〜〜〜ッ


頭を上げた爽子は前に積んであるDVDの束に頭をぶつけてしまった。


「わっあわわ〜〜!」

「だから言ったのに」


爽子は呆然とそこらじゅうに飛び散ったDVDを見ていると、シンがそれらを拾い集めて

いるのに気付き、ハッとしたようにしゃがみ込んだ。


「す、すみません〜〜〜っ」


そして慌ててDVDを拾い始める。


「黒沼さん、緊張しなくていいよ。そいつここで一番長いから。図々しいけどいい奴だから

 何でも聞いて。それからこちらは風早翔太くん、君と確か同い年かな」

「は、はじめましてっ!」


黒沼爽子・・・。


「おいっ翔太!ー風早翔太っ!!」


ぼーっとして動かない翔太に店長は耳元で叫んだ。


「うわぁっ!!」

「何、ボーっとしてんだよ。黒沼さん挨拶してんだろうが!ここのバイトは基本挨拶って

 いつも言ってんだろっ!!」

「は・・・はいっ。俺、か、風早・・・翔太っです」


こんなことってあるんだろうか?


長い黒髪が揺れている。切れ長の大きな目。白い肌。全部覚えている。あの頃よりずっと

大人っぽくなってきれいになっているけど、彼女だった。


「く、黒沼爽子です。これからよろしくお願いします」


桜の花びらと彼女の笑顔。


忘れてなんかいない。思い出にもなっていない。はっきり自覚する恋心。


一生もう会うことはないと思っていた彼女と再び出会った、大学一年の春――


胸が久々にきゅっとなった。


あの頃と同じように・・・・。





「はつこい」 2 へつづく



















あとがき↓

初めて小題をつけてみようと思いますが・・・一番苦手なところ。思いのまま書くことしかして
なかったので、ちょっとまとめてみようかと。(挫折しそう)よくある話かもしれませんが、よけ
ればお付き合いくださいませ〜〜〜!

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