「君までもうすぐ」4 


風、爽が高校3年、大学が決まった後の話。たった一日の話です。それなのに

5話ぐらいまで長くなってしまい・・・。


* 思わぬハプニングでホテルに泊まることになった風早は、爽子の緊張を

  解くために「朝まで話そう」と何もしないことを示したが・・・・・?

  前半は風早目線、後半爽子目線です。


こちらは、「君までもうすぐ」    の続きです。

以下からどうぞ↓















目の前にはダブルベッド、密室に二人きり、誰にも邪魔されない・・・・。この絶好(!?)

のシチュエーションの中、二人の間には緊張感が走る。いくら何もしないと言っても、

付き合っている男女なのだ。緊張しないわけがない。何より俺が・・・・やばい。

一通り部屋を見終わった後、ミラー前の椅子に座っている黒沼と目が合った。


「く、黒沼、風呂入る?」

「あ・・・あの、このホテルって最上階に露天風呂があるんだよね?行っていい?」

「あっそうだね。俺もいこ」


せめてもの救い。風呂が別にあったこと。この部屋の中でシャワーの音とか聞いてたら、

マジもたなかったかも・・・・。風早はそんなことを頭に思い浮かべながら、入浴準備を

始めた。そして、俺たちは一緒に風呂に行くことにした。


(マジ、夫婦みたい/////)


一緒に歩く廊下、風早と爽子はお互い目が合うと、恥ずかしそうに俯いた。


しかし、必死で理性を保とうとしている風早に受難は待ち構えていた。


1時間後――


ゆっくりつかった後、風早は部屋に戻っていた。

彼女はやっぱりまだ戻ってなかった。しかし・・・いろいろ考えたらのぼせそうになった。


「あ"〜〜〜〜!」


思わずベットの上で頭を抱え込む。俺のやましい感情は消えない。正直俺も男だし、どこ

まで我慢できるんだろう。拷問のようにも思えてきた。


(・・・っていうか黒沼遅いし。どうしたんだろう?)


風早は外を見に行くことにした。部屋を出て、フロアーの角の辺りで何か声がする。

そこはベンディングコーナーで椅子が置いてあり、寛げるスペースになっていた。

風早はそこで見つけた光景に意識がとんだ。


「!!」


黒沼が知らない男となぜか向き合っていた。


「ーえっ?そうなんですか?」

「覚えてないの? 俺のこと?」

「そうそう、小学生の時にさぁー」

「――ちょっと!」


風早はぐいっと彼女を引っ張り、腕に抱き寄せると男をきっと睨んだ。


「なーんだ、男と来てたの!?言わなかったじゃん」 


そう言って男はころっと態度を変え去っていった。しばらく男を睨んでいる俺に、

彼女は恐る恐る、話し出した。


「か、風早くん!遅くなってごめんなさい。なんか私のこと知ってるって言われて。

 でも思い出せなくて・・・悪いことをしてしまった」


明らかに落ち込んでいる風の彼女。


「あのね・・・。」


―ふぅ。実はこれが初めてじゃない。彼女は自分の魅力に気付いてない。だから彼女が

かわいい服を着ていたりすると、見るのは嬉しいけど、ちょっと複雑になったりするんだ。

今も湯上りの彼女は浴衣が似合って、ほんのりと全体にピンクでかわいすぎる。

男なら誰だって・・・。


風早はホテルの売りである、”館内浴衣でお寛ぎいただけます”の但し書きを思い出し、

このホテルを選んだことを大変後悔した。


「とりあえず・・・部屋いこっか」

「う、うん」



**********



(・・・か、風早くん・・・なんか怒ってる?)


どくん、どくん


部屋に入ってからずっと後ろ姿の風早くん。なんかしちゃったのかな?今日、一緒に居ら

れることになって嬉しくていっぱい、いっぱいなのは私だけなのかも。

受験で一緒にいる時間はすごく少なかった。・・・ドキドキして緊張は止まらないけど、一緒

に居られることがやっぱり嬉しくって・・・・。


いろいろ悶々と考えて暗くなっていく爽子に風早はくるっと身体を向き直した。


「あのね、黒沼は無防備すぎる。」

「えっ?」

「黒沼のことかわいいって思う男っていっぱいいるんだよ!」

「そ、そ、そんな恐れ多い〜〜〜〜!そんな人いないよぉ〜〜っ」


爽子がぶんぶんと首を振ると、風早はぷぅ〜っと頬を膨らませたまま、怒った口調で言った。


「今の男もそうなんだよ。」

「そんな、ことあるわけないよ。」

「あるんだよ!俺・・・・黒沼があんな風に男に見られるの・・・嫌なんだ。」


爽子は風早のせつない目を見て、胸がずきんと痛んだ。でも、何を言ったらいいのか

分からない。爽子は風早の真剣な目に見つめられて言葉を詰まらせた。


「ご・・・ごめんなさい。私・・・・っ」

「この際、はっきり言うね。男って、黒沼が考えてるよりずっとすごいこと考えてるから」

「すごいこと?」


風早は、髪をくしゃっとして俯いて言った。


「今の男だって、あのまま上手いこと言って、部屋に連れ込もうと思ってたよ」

「部屋? 何のために?」

「〜〜〜〜〜!!」


風早くんはやっぱり怒ってるのかな?どうしよう・・・・。

爽子は風早を理解しようと必死に考えたが、状況がよく見えなかった。突然の風早の行動。

せつなそうな目。


(・・・知らない人と気軽に話して危なかったからかも。私ったら・・・無防備だった)


爽子がおろおろして、そんなことを考えていた時、風早はぐいっと爽子の身体に手を伸ばした。


「そ、それはね・・・。」


爽子の身体はふわっとした感覚に包まれる。風早は爽子を軽く抱きかかえると、すぐ

側のベットに横たわらせた。


どさっ


「か、風早く・・んっ」 


風早に上から見つめられてた爽子は顔を真っ赤にして目を大きく見開いた。


どくん、どくん


爽子の心臓の音ははち切れそうなほど、早鐘を打っていた。


(ち・・・近いっ//////)


「・・・・・・」


風早は何も言わずに爽子を見つめた後、ゆっくりと顔を近づけた。



<つづく>


「君までもうすぐ」  





あとがき↓

最近、さぼりがちですみません。さて、風早は爽子を襲う(!?)のか?なんちゃって
もう、12月ですね〜早いもんです。冬仕様のテンプレートにしたいのですが、表示が
変わったりして、面倒だった・・・。結構飽き性です。
それでは、また遊びに来てくださいませ〜〜〜!