「瞳は知っている」6 

※ 前書きから読んでください。こちら⇒前書き
※ 風早×爽子カップルではありません。オリキャラ登場します。


このお話は 「瞳は知っている」     の続きです。

あらすじ*ハルの彼女の爽子に惹かれていく風早。親友のハルはとてもいい奴で風早を
信じている。その中で風早は止まらない想いを悩んでいく。ある日、大学に遅刻した風早は?
それでは以下からどうぞ↓










「瞳は知っている」 episode 6







”「爽子――黒沼爽子でしょ」”

”「俺、期待しちゃっていいんだよね?夏休みも黒沼に会えるって・・・」”

”「俺にとっては、俺が見てる黒沼だけが黒沼だ!」”


ガバッ!!


ピチピチピチ・・・・


「あ・・・・朝か」


風早はぼーっとした頭で夢と現実の間を彷徨った。周囲の風景を見回す。

そしてぼさぼさ頭をくしゃっとして呟いた。


「あ・・・夢か。」


黒沼も俺も同じ制服を着て、同じ高校生だった。でも熱い気持ちだけは今と同じで、

必死で彼女に近づきたい自分がいた。


「そっか・・・黒沼に高校時代の話とか聞いて触発されたのかな・・・・」


幸せだった。夢の中で。あんな風に出会えていたならこんなつらい想いはしなくて済んだ

のかな・・・。それともあそこにハルも居て、やっぱりこんな想いを抱えるのかな。


「・・・・・・・」

「げっ!!やべ〜〜〜っ遅刻だ」


風早は時計を見て飛び起きた。やっと覚醒した風早だが、いつもより1時間遅れていること

に気付いて、1講目は諦めることにした。



* * * * *



「何〜〜風早遅刻??」

「はよ〜〜〜風早!」

「1講目出なかったよな〜〜〜っ」


あはは〜〜〜つ


大学に着いて、皆に声を掛けられながら2講目のクラスに入ろうと思った時、

自分の名前が聞こえて、ドアを開けるのを躊躇した。


「私・・・見たんだ。こんなこと言いたくないけど」


部屋の隅で話していたらしく、ドアの前でよく聞こえた。


「間違いなく、ハルの彼女と風早だったよ」


風早はどきっとした。話しているのは、学部が同じの女の子とハルだった。

どうも昨日、彼女とお茶しているのを見られたらしい。


ドクン、ドクン、ドクン


(そんなじゃないけど・・・・・)


風早の握りしめている拳から汗がにじみ出ていた。偶然とは言え、会ったのは事実だ。

そして正直、気持ちは・・・・・。

その時、ハルの声に風早はハッと顔を上げた。


「もしかしてハルさぁ〜〜裏切ら「―――俺、」」

「俺、翔太を信じてるから。アイツそんな奴ちゃうし」


ハルはきっぱりと言い放った。風早はドアの前で立ちつくした。


「・・・・・・」

「おっ風早遅かったなぁ〜〜〜ここで何してんの!」


その時、部屋に入ろうとした友達が笑いながらドアを開けた。


がらっ


「あ・・・・・」


3人の目がそれぞれ固まった。しばらくの沈黙の後、ハルがにっこりとして言った。


「おっはよ〜〜〜何、遅刻??翔太!」


何もなかったように言うハルに、その女の子は恥ずかしそうに顔を歪めて立ち去った。


「あ、ああ寝坊しちゃって・・・」

「しゃーないなぁ、講義ノート見せたってもいいけど有料な」

「マジで??負けといて!」


あははは〜〜〜


裏切れない。絶対ハルだけは裏切れない・・・。風早は胸をぎゅっと掴んで心に誓った。







あとがき↓

ハルがいい奴すぎてせつなくなってきました。(←自分で書いときながら)この人も翔太に負けず

劣らず真っすぐな設定で。しかし・・・今月の別マは萌え度は少ないけど、君届らしかったですね。

こんな話、カルピン先生の中でいっぱいありそう。もっともっと見たいです。

それではまた遊びに来て下さい〜〜〜♪

 「瞳は知っている」  UPしました