「Half moon」番外編 ➒ 「After the rain」補足話

こちらは「Half moon」の番外編「After the rain」の補足です。爽子中心の想いになり
ます。甘甘な週末の後、帰る日に蓮に会いに行きます。(Epi89)そこで知った事実
に爽子は・・・!?


一応リクエストに応える形→爽子が謝る。う・・んこれでいいのか?迷宮に入ったまま
とりあえずUPします。

興味ある方は以下からどうぞ↓






















雨が上がった後は清々しい匂いがする。雨の匂いが好き。植物も喜んでいるのが分かる。

爽子は窓を見つめながら嬉しそうに水滴に手を伸ばした。


”雨が上がった。”


それはまるで自分の心を映し出しているようだった。風早くんと心が通じ合った今、心に

あった雨雲はあっという間にいなくなった。まるで雲間の間から後光がさすように自分の

心は晴れ晴れとしていた。


次の日に蓮さんに会った。美穂さんに会えると思っていたけれど体調が悪いということで

会えなかった。蓮さんもやはり元気がないように見えた。


(何か・・・できることないかな)


無力な自分に悲しくなるけれど、自分に出来ることは何もなくて・・・。


ピロロ〜〜〜ン♪


「あ・・・会社だ。ちょっと悪い」


その時、突然風早の携帯が鳴り、風早は表示を見ると二人に断って電話に出た。残された

二人の間に沈黙が走る。すると蓮が口火を切った。


「・・・幸せそうで良かった」

「あ・・・う、うんっありがとう・・・」


そして蓮から話された言葉に爽子は茫然とする。


「しかし・・・今回のことでいろんなアイツを見た。まっ元はと言うと俺のせいなんだけど・・」

「・・・え?」



* * *



”『あの夜、あんたを探しまくってたのは知ってると思うけど、めちゃめちゃ焦った声で

  俺に電話してきたから驚いた』”


あの時、どれほど私を探してくれたか。どんな思いで探してくれたか・・・・。知っていた

のにちゃんと考えていなかったことに気付く。あの時私は、美穂さんを探すことに夢中

で風早くんの気持ちを考えていなかった。

以前も私の帰りが遅い時に探してくれたことがあった・・・。そしていつも見つけてくれる。

困っていたら助けてくれる。いつも一生懸命気持ちを言葉や行動で表してくれる風早くん。

私はその気持ちをちゃんと受け止められているのかな・・・。


「−爽子?」


帰りの空港に向かうタクシーの中で、いつになく無口な爽子を風早は不思議そうに覗き

込む。すると爽子は驚いた表情で身体をのけ反らせた。


「わわっ〜〜〜〜っ」

「・・・何か傷つくなぁ」

「あわわ・・・ごめんなさいっそんなわけでは」


おろおろする爽子を風早は優しく見つめると頭を撫でて自分の方に引き寄せる。


「だ・・・だめっ」

「え?」

「風早くん・・・優しすぎるよ。私にそんなに優しくしたらだめだよ」


爽子の目からは、はらはらと涙があふれ出ている。


風早は爽子の異変に気付くと、何も言わないまま爽子を見つめた。その時ちょうどタクシー

が空港に着いた。


風早は無言のまま爽子の手を引いて空港内の人気のないところに連れていく。そして側の

椅子に座らせた。


「爽子、ちゃんと言って。もう誤解は嫌だって言ったよ」

「・・・・・・」


爽子の目の高さにしゃがみ込んだ風早が真剣な表情で自分を見つめる。視線を逸らすこと

もできなかった。こうやって風早くんはいつも私に真剣に向き合ってくれる。


「あ・・あのっ私・・・・風早くんにふさわしいのかなって・・・」

「え・・・?」


昨日の甘いひと時のあとの爽子の言葉。風早は理解不能な爽子の言葉に眉を顰めた。でも、

長い付き合いから分かる。きっと何か誤解している。すると、爽子の言い分はこうだった。

いろいろあったあの夏の夜、美穂のことばかり考えていた爽子は風早の気持ちを考えていな

かったと。そんな自分は風早に優しくしてもらう権利がないと・・・。


「ずっと・・・くっ・・ずっと探してくれていたのに。私・・・自分のことばかりっ・・・」


すると、風早はふーっと小さなため息を漏らすと優しい眼差しで爽子を見つめた。


「あのさ・・・それでふさわしくないとか言うのやめてくれる?それさ、本能的なもんだから」

「本能・・・?」

「まっ・・・動物的というか。自分で言うのもなんだけど////」

「??」


きょとんとしている爽子に見つめられ、風早は手で顔を覆って恥ずかしそうに俯いた。


「〜〜〜〜とにかく、地球の果てに爽子が行っても探すって。だってさ・・・」


どきん


風早が爽子を愛しそうに見つめる。爽子は思わず息を飲んだ。


「俺、爽子にベタぼれ・・・だもん」

「わわっ〜〜〜〜〜/////あっ・・・・あの・・・わ、私もなんでっ」


かぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ


お互いしばらく真っ赤な顔でぎこちない動きを続けた。


蓮さんが言っていた。後にも先にも”あんな翔太を見ることはないだろう・・・ ”と。それ

ほど、失意のどん底だったと。それは秋山さんが教えてくれたことも含めて、私の鈍感

さが風早くんを追いこんでいったのだ。こんな私でも風早くんは探してくれる。ずっと探す

と言ってくれる・・・。


「風早くん・・・・」


すると爽子がすくっと立ち上がり、鯱鉾のように90度になり頭を下げた。


「・・・ごめんなさいっそして・・・」


”『探してくれて・・・ありがとう』”


嬉しそうに頬をピンク色に染めて言う爽子を風早はぎゅっと抱きしめた。


今は心からの”ごめんなさい”そして”ありがとう”を。言葉で言い表せない気持ちを心を

込めて伝えること。そしてこんな私を笑顔で迎えてくれる風早くんがたまらなく好きだとい

うこと。


「だ・・・大好きだよ!!」

「えっ/////」



もうすっかり雨は上がっていた。降りやまない雨はない。そのことさえ分かっていたら

きっとどんなことがあっても乗り越えられる。長い雨がようやく止んだ頃、二人の心は

清々しい太陽の光が満ち溢れていた。




<おわり>

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あとがき↓

Kazeloveさま、なぜ迷宮入りしたかというと、風早はきっと謝って欲しいと望んでいな
いし、爽子の天然さが風早の本能をくすぐると言うかそういう二人が好きなので迷宮入
りしてました。きっと不完全燃焼かもしれませんね。ごめんなさいね、気持ちを理解
できずに。これは多分捉え方の違いだと思うので許してください。
さて、次はBlack光平でしたね。これから書くのですぐにはUPできないかも。でもいき
なり萌えまくるかも??長くなりそうな予感。マニアックに楽しんでもらえたら嬉し〜〜
〜〜〜です♪いつも感想をありがとうございますっ!!