「Half moon」番外編(2)Ep41の次の朝<爽子編>
※ こちらは「Half moon」の番外編です。本編は目次からお入り下さい。
番外編(1)風早編の続きの話です。爽子目線です。次の日、早く起きた爽子が
感じたこととは??
以下からどうぞ↓
――ピチピチピチ
昨晩、早く眠りについてしまった爽子は早朝に目を覚ました。
(あ・・・寝てしまった・・・・)
思わず、隣の存在を探した。そして、すーすー眠っている風早の存在を確認すると
ほっとしたように胸を撫で下ろした。爽子も風早同様、一緒に居ることを夢のように
感じている。でも、この時はそれだけではなかった。いつもと違う感覚。
(そっか・・・風早くん・・・ぎゅっとしてくれなかったんだ・・・)
爽子は風早を見ながら少し寂しそうな顔をした。
毎朝、起きると必ず風早に抱きしめられて寝ていた爽子は、今朝、背中を向けて
眠っている風早を見て悲しい気分になった。でも、当然だ。自分が先に眠って
しまったのだから・・・・。分かっているのに何だろう・・・この空虚感。
(は・・・はずかしい)
爽子は自分の欲張りさに恥ずかしくなった。でもその思いと同時に感じる不安感。
いつも前向きな爽子だが、風早のことに関しては不安のあまりマイナス的思考に
陥ることがあった。
爽子はマイナス的な思考を振り切るように、朝の支度を始めた。
* * * * *
(え・・・・・)
いきなり唇に感じた彼の暖かくて優しいキス・・・。
その感覚はいとも簡単に、心の中にあった不安感を拭い去ってくれる。
爽子の瞳から一滴の涙が頬をつたった。
「さ・・・わこ?」
いきなり泣き出した爽子に風早は驚いたように目を見開いた。
「ご・・ごめんなさい。違うの・・・。あのっ・・・・」
上手く伝えられない私に、風早くんは優しく微笑んだ。そしてそっと大きな手が私の
頬を包み込む。
「ゆっくりでいーよ」
私は今まで、その笑顔と言葉にどれだけ救われてきたのだろう・・・。
いつも、気持ちを届けたいって思える。それはどんな自分でも必ず受け止めてくれる
風早くんだから・・・・。
爽子は涙で潤んだ瞳で風早をそっと見上げた。
「今朝・・・風早くんを感じられなくて・・・・寂しかったの。」
「えっ//////」
「私が先に寝たくせにっ・・・・ほんと、恥ずかしっ・・・」
風早は爽子からの言葉に驚いたように目を見開いた。爽子は恥ずかしさのあまり、涙が
溢れてくる。風早はそんな爽子を熱く見つめると、再びぎゅっと抱きしめた。
どくん、どくん
爽子の心臓の音がどんどん大きくなっていく。
「ごめん・・・ごめんな。ぎゅっとして、爽子を抱きしめて寝たかったけど・・・」
風早はそう言って、さらに強く爽子を抱きしめる。
耳元に感じる、彼の恥ずかしそうな声・・・・。
「そ、それだけじゃ絶対止まんねーの分かってたから・・・////」
「あ・・・・/////」
爽子は熱くなった頬に両手を当てて俯いた後、そろ〜〜〜っと風早に視線を向けた。
目が合った風早は、恥ずかしそうに視線を逸らすと、手で顔を覆って言った。
「あのねっ・・・そんな顔でそんなこと言われると、んっとに我慢できないからっ////」
「え・・・・?」
私の身体がふっと空中に浮く。それから、自分の中の小さな隙間が埋まっていくように、
心が満たされていく。
ほら・・・こうやっていつも風早くんは私を幸せにしてくれるの。
私の中のちっぽけな不安やどんどん膨れ上がる欲を全て包み込んでくれるの。
爽子は幸せそう顔で、そっと目を閉じた。
ピチピチピチッ
こうして二人の甘い朝は始まった。
<END>
あとがき↓
爽子目線でした。風早なら毎日、ぎゅっと爽子を抱きしめて寝てそう・・・なんて思い
ませんか!?ってか、絶対離さないって!!でも離れた後、つらいだろうなぁ・・・。
それでは、また遊びに来てください。