結婚ウブコントシリーズ「ライバルは息子」第三弾


お馴染の結婚シリーズです。題して「息子のお願い」です。言い訳は後で・・・(汗)

設定※ 爽×風 結婚していて子ども一人あり。子どもの名前:「こーた」

  滅多に見れない爽子のうたた寝を見た二人は・・・!?子供大きくなってます。

  以下からどうぞ↓





















(うわぁ・・・・・!)



俺は思わず心の声を出してしまったのかと思った。だけど、違った。それは息子のこーたの

声だった。


(あれ?なんで?)


違和感を感じて心の中で呟く。そして、捉えた光景にやっと夢から醒めたように現実に戻った。

俺の前にはうっとりとした顔で爽子を見るこーた。


(ちょ、ちょっと待って!今の顔、俺そっくりじゃね〜〜〜!?)


思わず、翔太は一人で焦る。翔太はある休日の昼間、1年に1回あるかないかの珍しい偶然

に遭遇する。それは、愛しの奥さん、爽子のうたた寝。いつもきっちりしている爽子はどんな時

でも働き者でどんな時でもちゃんとしている。時々、もっとゆるゆるでいいのに・・・なんて思う

ほど。だから、こんな姿を見るとやっぱり嬉しくなるわけで・・・・。ちょっと気を抜いている爽子と

いうのは殺人的にかわいい。もちろんいつもかわいいのだけど。しかし・・・悲しいことに(??)

息子のこーたも同じだった。いや、悲しくなんかないのだが、それだけ大好きな証拠だし、俺

だって息子を愛している。でも・・・・なぜだかいつも爽子に関してだけ湧くある感情がむくむく

と湧いてくる。分かってる!分かってるって。大好きな息子なんだから。だけど・・・・あんな顔

見てたらやっぱり、湧いてくる感情を抑えられない。いつの日か、こーたに言われたことがある。


”「とーちゃんって、僕とママが一緒にいると必ずそんな顔するよね」”って・・・。


え??どんな顔?  いや・・・・分かってんだ。自然に顔が歪んでること。

はい。自覚あります。でもさ・・・俺と同じ顔で頬を染めてるあいつを見ると、やっぱり心穏やか

でいられない。


台所のダイニングテーブルにうつ伏せでうたた寝している爽子の前にあいつが立ちはだかった。

その姿を後ろから見ていた俺は、まさに息子を阻止しようとしていたその時・・・!!


ちゅっ


(え・・・・)


翔太は一瞬動作が止まった。そして、身体の芯からカ―――ッと熱くなるのが分かった。そう、

翔太はこーたが爽子のほっぺにキスしているところを目撃したのである。


(今・・・何した?)



「こぅ〜〜〜〜〜〜たぁぁぁぁっ」

「!」


ふるふると身体を震わして、負のオーラを出す翔太の存在に気づき、こーたはハッとしたよう

に目を見開いた。そして、ぽっと頬を染めて言った。


「あれ・・・とーちゃん!?み・・・見てたの/////」


ふるふるふる・・・・・っ


(なんだ??なんだぁ〜〜〜〜?その”ぽっ”は? はぁ〜?全然分かんね〜〜?)


「あのさ・・・簡単に爽子に触れないでくれる?」


俺は必死で気持ちを抑えて言う。一応大人だし。でも引きつる頬は仕方ない。


「・・・。いいじゃん。だって、滅多にないんだもん。こんなママを見れるの」


(・・・くっ!!)


俺と同じ事を思ってやがる。ううっ〜やっぱり血は争えない。でもいくら血は繋がっていても

こいつもやっぱ男だし。それに最近、小4になったこーたは、少しずつ色々なことが分かって

きている。


「パパ・・・ずるいよ。いつもママを独り占めしてさっ」


ううっ・・・・こーたは”父ちゃん”と”パパ”を使い分ける。”パパ”は明らかに何かをねだる時

や、子供らしさを強調する時・・・。


「いや、その手には乗らない。ずるいのはこーただろ??俺よりずっと、爽子といる時間が

 長いくせに!!」

「パパの方がずるいよっ!いつもママと寝るくせに!!」

「それは当たり前だろ!!ママは俺の大事な奥さんなんだからっ!」


ここで以前のこーたなら目に涙を浮かべて、俺の勝利を確信していたのだが、最近は違う。

やっぱ、知恵ってつくのなって思う。


「ん・・・・あっ・・・あれ??」


そこで大声を出していたことにハッとする。あ・・・・天使を起こしてしまった。翔太とこーたは

明らかに残念そうに肩を落とした。翔太とこーたを交互に見て、うたた寝していた現実に気

づいた爽子は、かぁ〜〜っと赤面して”ごめんなさいっ〜〜!!”なんてかわいいことを言う。

いつまでも見ていたいのに・・・・。


「ママァ〜〜〜っ!!パパが苛める!!」

「―なっ!!」


そう、最近こーたは知恵をつけた。そんなこーたにやっぱり大人気なく、対抗してしまうんだ。


「爽子は俺のもんなのっ!!」

「ママァ〜〜〜ッ、翔太がひどいよぉ〜〜っ!」


ついには”翔太”になる。とーちゃん→パパ→翔太という系図だ。

そして爽子はこうやって二人にいつも引っ張られ・・・・


「うっ・・・ううぅ・・・っ」


はっ!!


翔太とこーたはしまった!という顔をした後、おろおろとし始める。それはそれはそっくりな二人

だった。そして、結局は爽子を泣かしてしまうという・・・・最悪な結果にいつも終わるのであった。

二人は並んで肩を落としてしょぼんとした。


「翔太くん・・・明日は何の日か知ってるよね?」

「うん・・・もちろん」


翔太はそう言うとちらっと視線を下に向けた。小さい息子と視線が合う。そう、明日は息子こーたの

誕生日。すると爽子は涙を拭きながら嬉しそうに笑みを浮かべた。


「あの日・・・雪が沢山降ってたね」

「うん、家で二人でのんびりしてるといきなり産気づいたんだよな・・・」

「ふふっ・・・あの時の翔太くんの顔すごかったな〜」

「だって・・・爽子のあんな苦しそうな顔見たことなかったから」


そして、翔太も思い出すように嬉しそうに笑みを浮かべた。


「生まれた時・・・嬉しかったな・・・。こんなに小さいんだもんな・・」


翔太は手で大きさを示して、興奮したように顔を輝かせた。こーたはその様子をじっと見ていた。


「私もこんなに幸せなことないって思ったよ。だって・・・大好きな翔太くんとの子どもだもの////」

「爽子・・・」


翔太は頬を染めて爽子を愛しそうに見つめた。そして恥ずかしそうに視線を再び下に向ける。


分かってるんだ。ちょっとは威厳のある父親になりたいと。でも爽子が絡むとこうなってしまう・・・。


「・・・ごめん、こた」

「とーちゃん・・・ちょっと耳貸して」

「え?」


翔太はそう言われると、こーたの口元まで身体をかがませた。


ごにょごにょっ


「―え"!!」


翔太が顔を歪めると、ニッといたずらに笑う息子。その様子を爽子はきょとんとして見ている。


「僕が生まれた日だもん。いいよね?パパ」

「翔太くん?」


翔太がふるふると拳を握り締めながら首を縦に振ると、こーたはやったぁ〜〜と小躍りをしている。

そう、明日は大事な息子の生まれた嬉しい日。

そして、翔太にとって悪夢の日。こーたも10歳になった。

今年もまだか・・・。

翔太は大きなため息をついた。そして仲が良さそうに見える俺達の姿を嬉しそうに見ている爽子に

視線を向けると拗ねたように言った。


「明日・・・俺、眠れない」

「え?」



”『明日はママと一緒に寝ていい日だよね?』”



毎年息子の誕生日は息子の願いを叶える日。そしてまさかこんな願い事が毎年の恒例になる

ことを最初は思いもよらなかったのである。



この願いごとはいつまで続くのだろう・・・・。と翔太は再び大きなため息をついた。


でも、いつか息子も自分のように最愛の人を見つけて家を出て行く日がくるのだろう。

そして二人っきりになるんだ。だから・・・それまでは目を瞑ろう。



「こた・・・おめでとう」



翔太は遠目にいるこーたを優しい目で見ると呟くように言った。




(余談)この時は余裕をかました翔太だったが、やはり次の日の朝、ベッドの上で

    ”あっかんべー”をしているこーたの姿を見て、怒り爆発したのであった。

    チャンチャンッ





<END>











あとがき↓

Half moon」の続きをUPできなくてすみません。書いてはあるのですが修正したくて。その修正
する時間が取れない・・・。ごめんなさい。それも22日ぐらいまで全く時間取れません。なのでせめ
てもの償い??ですでに書いてある話し載せときます(汗)いつも訪問して下さる皆様ありがとうご
ざいます。アホな話しですが、楽しんでいただけたら幸いです。

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