「Half moon」(65)
社会人の二人の物語。オリキャラ祭り。オリキャラ紹介⇒(1)をご覧ください。
場面変わって、久々に仙台の病院にいる美穂の回です。あれから美穂は??
こちらは「Half moon」 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 の続きです。
それではどうぞ↓
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「・・・さわこちゃん、早く帰ってこないかなぁ〜」
美穂は窓を見ながら呟いた。蓮以外の人に珍しく執着している美穂を不思議に思いな
がら、母は花を生けながら言った
「そうね、また遊びに来てくれるわよ」
美穂は窓に向けていた視線を母に向けた。
「ん?何、美穂?」
しばらくの沈黙を変に思った母が問いかけると、美穂は宙を向いて考えるように言った。
「わたし・・・このままじゃ・・・だめなの?」
「え?」
「ううん・・・・」
美穂は爽子の言葉を思い出していた。
”『美穂さん・・・このままでいいなんて、やっぱり駄目だと思う。美穂さんの家族や
蓮さんはこのままでいいと思ってないよ。だから、美穂さんも諦めたりしないで。』”
美穂はなぜかこの言葉が引っかかって離れなかった。でも何かを思い出そうとすると
頭が割れるように痛くなるのだ。
「ねぇ、ママ、れんはずっとわたしのそばにいてくれるよね?」
「えっ・・・そ、そうよ。大丈夫よ」
「そうだよねっ!今日もれん来るかなぁ〜〜〜!れんが来ないとさみしいもん」
「・・・・・」
母は複雑だった。事故の原因を作った蓮はこのまま美穂の側にいるだろう。しかし・・・
本当にこのままでいいのだろうか。ただ、母自身、エゴだと分かっていたが、美穂が
傷つくのは見たくなかった。
とんとんっ
「−はい?」
病室のドアがノックされ、担当看護師が入ってきた。
「秋山さん、担当医師が少しお話をしたいそうなのですが・・・」
「あっ・・はい」
「美穂、ちょっと行ってくるわね」
「うん・・・」
母の背中を見送った後、美穂は再び窓に目を向けた。
「・・・あ」
そして、窓の下にいた人物に大きく目を見開いた。
* * * *
「――えっ!!記憶が戻っている?」
医師は母を診察室に呼び出すと、驚愕の事実を語りだした。
「そうなんですよ。レントゲンやその他の検査の結果、美穂さんの脳はすでに正常に
機能しているように見えるんですよね。我々も驚きで」
「そ・・・それはいつから!?」
「10日前に色々と精密検査をしましたよね?まぁ、その結果と言えるのかもしれない
ですが、その前からかもしれませんね」
医師はレントゲンを貼り、色々と医学的な説明をし始めた。
「で、でも・・・美穂は今もまだ子どもみたいで・・・」
「そうなんですよ。それが不思議で。でもわざとじゃないと思うんです。なので・・・・
もしかしたら、美穂さんの心の中で戻りたくないという思いがあって、無意識に変わらない
でいるのではないかと・・・・」
「そんなことってあるんですか??」
「あるんですよ。妊娠とかも想像妊娠とかあるでしょ?また人格障害とかありますよね?
人っていうのは無意識で精神をもコントロールできるんです。」
「・・・・・・」
* * *
母は医師の言葉を頭の中で反芻しながらとぼとぼと美穂の病室に向かって歩いていた。
”『・・・だから後は、身体的にというより、精神的なものです』”
目の前の美穂を見ているとどう考えても理解できない事実に母は困惑していた。
がちゃんっ!!
「!」
俯いて歩いていた母は美穂の病室の前で大きな音が聞こえてハッと顔を上げた。
―ガラッ
「―どうしたの美穂!!」
驚いた母は慌てて戸を開けた。すると、そこには蓮が立っていた。
蓮の周りにはおもちゃや枕が落ちていた。
「蓮・・・さん?いったいこれは・・・!!」
蓮はその場に佇み、美穂は布団を頭までかぶって身体を震わせていた。母は訳が分から
ず、ただ顔を歪ませて目の前に広がった光景を見ていた。
「美穂っ一体どうし「―おばさん!」」
「え・・・・」
蓮は母に外に出るように目で促した。蓮が外に出ると母も美穂を気にしながら後につい
て行った。
*********
「一体どうしたの!?」
蓮と母は病院内の談話室で缶ジュースを買い、椅子に座った。
「・・・俺もよく分からないんです」
「え??」
蓮も困惑した表情で今のことを掻い摘んで話した。蓮は沙穂と病院の下まで一緒だった。
沙穂は母に頼まれた荷物を蓮に偶然会ったので届けてもらうように渡した。自分は用事が
あるからと。蓮はここまで来たのだから美穂を見舞わないのか?と聞き、少し揉めた感じ
になった。またそのまま風早の話になったのだ。しばらく外で話した後、上の美穂の病室
に上がってドアを開けると枕やおもちゃが飛んできて、美穂が怒っていたというわけだ。
母はしばらく考え込んだ後、今、医師に言われたことを話した。
「今のことには関係ないのかもしれないけど・・・実は・・・」
「・・・・?」
蓮は母から語られた事実に暫くの間声が出せなかった。そして驚いた顔をして言った。
「―まさかっ・・・」
二人はお互いの視線を離さずに無言のまま、椅子に座っていた。
あとがき↓
君届ファン→flumpool好きな人意外といそうですね〜〜。なかなかよろしですねぇ!
アニメも毎週あると思うと別マと2倍の楽しみですしねっ!
こちらの話はしばらく風早出演なしです・・・。医療的なことは分からないので二次と
いうことでお見逃しを。オリキャラ中心で面白くないかもしれませんが、興味ある方は
続きを見に来て下さいませ〜〜〜♪