「あとの祭り?〜After curnival〜」(5)
ギャグありホットありのごちゃまぜな話。そんな長くないです(と思います)
* 結婚記念日の前の日、結婚指輪を失くした爽子は健人のカバンの中に指輪が落ちて
いたことが分かった。ほっとした爽子だが風早のことをすっかり忘れて家を飛び出して
しまったことに気づいた。その時翔太は・・・!?
「あとの祭り?〜After curnival〜」 (1) (2) (3) (4) の続きです。
以下からどうぞ↓
翔太はとぼとぼ・・・と街中を歩いていた。
”「もしかして・・・家出かもね」「独占しすぎたとか・・・?」”
くるみの言葉が頭から離れない。
そーいえば、この1年、爽子はあまり友達と会うこもできてないかもしれない。
もちろん爽子の仕事が忙しいというのもあった。でもだからこそ二人の時間は大切で、
一緒にずっと居たくて、ずっと独占したくなるんだ。
そして、翔太は自分の行動を考えれば考えるほど顔が青ざめていく。
やばい・・・・朝から、昼から、夜から・・・爽子が側にいると、我慢できなくなって・・・。
爽子を襲ってないか!?
もともと、俺の下心のレベルと爽子のレベルは天と地ほど違うはずで、爽子は手をつ
なぐだけで嬉しいとか、抱きしめられると幸せとかそのレベルだ。もちろん俺も些細な
ことが幸せだ。でもやっぱり自分はオスなのだと爽子といるとさらに実感してしまう。
それほど、恋焦がれて病まない人・・・・。
翔太は自分の欲望を止められなかったことに大きな後悔をする。
俺が爽子を誘うと断わられたことは一回もなかった。いつも爽子は言ってくれる。
”うれしいよ・・・”って。
俺はその言葉にまた欲情してしまうんだ。でも・・・もしかしてそれが本音じゃなか
ったとしたら?いやっ・・・爽子は嘘をつかない人だ。そんなわけはない。
でも・・・優しい人だから俺をずっと立てていてくれたとしたら・・・!?
ずっと我慢してくれていたとしたら・・・!?
翔太は静まっていた心臓がまた大きく脈打つのを感じた。そしてどんどん速度を上げる。
「・・・爽子っ!!」
翔太はどうすることもできない感情をぶつけるように壁に頭をぶつけていた。何の痛み
も不思議なほど感じなかった。ただ、爽子が自分の目の前からいなくなること・・・。
そのことだけが怖かった。その時携帯が鳴った。
チャラッチャラ〜〜〜♪
それはあやねからの着信だった。あやねの表示にハッとしたように慌てて電話に出る。
「も、もしもしっ」
『ハロ〜〜〜風早』
「え??」
翔太は携帯からの声にびっくりしたように固まった。
***********
ピ〜〜ンポ〜〜ンッ
「おっくるみが来た」
健人はインターフォンを見て嬉しそうに言った。
これで、あやね、くるみ、健人、爽子が健人の家に集まった形となった。
実は卒業以来くるみとあやねは時々遊んでる仲だった。くるみはあやねから言われた、
今回のある企画に喜んで参加したのだった。
「あ〜〜〜面白かった。あやねちゃんが言った場所にちゃんと風早いたしね〜」
「わらにもすがりたい思いだったんじゃないの〜」
あははは〜〜っ
「くるみちゃん・・・お久しぶりですっ!!」
爽子は拳を握りしめて嬉しそうに言うと、くるみは呆れたように爽子を見た。
「久しぶり。・・・爽子ちゃん、変わってないわね。相変わらずのバカップルだしね〜」
「ば・・・ばかっぷる?」
爽子はなぜくるみが来たのかよく分からなかった。それと、ずっと感じるあやねに対する
不思議な違和感。いつもは親身になってくれる爽子の訴えも軽く流されてしまう。爽子は
先ほどからお願いしていることをもう一度口にしてみる。
「あ・・・あの・・それでお電話をお借りできませんか・・・?」
「大丈夫だよ。貞子ちゃん心配しなくても」
「そ〜よ。連絡しなくても来るから」
「え??」
爽子はまたまたワケが分からずきょときょとと視線が定まらなくなった。今まで何も言わず
に家を出たことなどなかった。きっと心配しているに違いない。段々、爽子の眉根にしわが
寄ってきていた。
* * * *
『驚いた?おひさっ〜〜〜って昨日会ったっけ?』
「三浦・・・お前何で??」
あやねの携帯から聞こえてきた声は健人の声だった。
『あやねが風早の番号を知ってたからさぁ〜。借りただけ。今、一緒にいるんだよ』
「・・・で?」
『相変わらず冷たいなぁ〜〜そんなじゃ奪っちゃおうかなぁ〜』
「はぁ〜?」
相変わらずの健人のワケのわからない態度に翔太はイラつきを募らせた。
(それどころじゃねーっつの!・・・昨日も爽子に近づきすぎだし・・・。)
『だって、爽子ちゃん泣いてるし。』
「ふぅ〜〜ん。・・・・」
しぃ〜〜〜〜ん
がたがたがたんっ
『ちょっと〜大丈夫?風早』
「えっ・・・?何て言った?」
あまりの驚きに前のダンボールの塊につまずいた翔太は身体を起こして言った。
「爽子・・・いるの?」
翔太は胸に広がる安堵感を感じながらも、さきほどから取り去れない不安が現実のもの
になっていくような感覚に陥った。
「・・・・・」
その場に石のように動けなくなった翔太であった。
<つづく>
「あとの祭り?〜After curnival〜」 (6) へ
あとがき↓
全くシリアスじゃないのであしからず!それではまた明日続きUPしま〜す!
いつも拍手をありがとうございます。また、過去のお話にも拍手をありがとう
ございます。嬉しいです。