「あとの祭り?〜After curnival〜」(6)


ギャグありホットありのごちゃまぜな話。そんな長くないです(と思います)


* 結婚記念日の前の日、結婚指輪を失くした爽子は翔太に連絡もせず家を飛び出す。
  健人が持っているということで健人の家にいたのだが、すっかり家出をしてしま
  ったと勘違いしてしまった翔太は失望の渦にはまっていくが・・・!?

  「あとの祭り?〜After curnival〜」 (1) (2) (3) (4) (5) の続きです。



以下からどうぞ↓















『いるよ』

「・・・・・・」


翔太が勇気を振り絞って聞いた受け入れたくない現実に健人の明るい声が即答で

返ってくる。


『風早〜〜お〜い??大丈夫?』

「なんで・・・・」

『それがさぁ〜泣いて俺のところにやってきてね〜〜今介抱してるとこ!』

「え・・・・・・」


翔太は健人の言葉に再び固まってしまった。そこにあやねが登場する。


『あ〜〜風早?爽子、もう戻らないって』

「え・・・・・」

『アンタ・・・何かした?』

「・・・・・爽子と話せる?」


翔太はぎゅっと携帯を強く握りしめた。手には汗がじっとりと滲んでいる。


『・・・残念ね、電話にも出たくないって』

「・・・・・」


翔太はそのままダンボールの中にうずくまった。失望の中、もう這い上がれない程の

ショック・・・。でも同時に膨れ上がってくる怒り。


「・・・・でもっ・・・でも何で三浦??何で三浦のとこに?」

『それはさ・・・・風早、自分の胸に聞いてみな』


自分の胸に・・・・。そう言えば、爽子はいつも三浦には嬉しそうな笑顔を浮かべていた。

だから俺は嫉妬せずにいられなかったんだ。確かに男として三浦は自分にないものを持って

いると思う。でも・・・・。

い・・・いやだっ・・・・爽子が違う男と・・と考えるだけで耐えられない。絶対いやだっ!!


翔太はバッと立ち上がると、決心したように拳を振り上げる。その目はメラメラと燃えていた。


「俺・・・今から行くからっ」

『あら〜来る・・・』―プッツン」


翔太は電話を切ると、一目散に走り出した。


後悔はしたくない。爽子とちゃんと話さないと何も始まらないのだから・・・。



* * * *


ピッ


「あら・・・もう切られたわ。ぷぷっ・・・ほんとアイツ面白い」


あやねと健人とくるみはお腹を抱えて笑った。


わはは〜〜〜っ


「・・・・・」


トイレから帰って、部屋の戸のところで皆の楽しげな姿を見ながら爽子はぎゅっと

唇をかみ締めて決心したように顔を上げた。


「貞子ちゃん?」

「ご・・・ごめんなさいっ私・・・私やっぱり、帰ります」

「わっ爽子、ちょっとっ」

「皆さんに良くしてもらって、水を差すようで申し訳ないんだけれど・・・これ以上

 翔太くんに迷惑かけては〜〜〜〜っ」


あやね達の思惑がもう少しで上手くいきそうな時、爽子は玄関に向かい始めた。


「違うのよっ爽子、待って!!」


その時だった。バタバタッと玄関の向こうから大きな音が近づいてきた。そして、


ピ〜〜ンポ〜ンッピンポンッピンポンッ


「わっ間に合った!!」


あやねはほっとしたようにインターフォンの音を聞いた。


「ははっさすがに早いね。はい、はい、分かったって・・・そんなに押さなくても」


健人は呆れたように笑ってゲートを空けた。そこにすごい勢いで入ってくる翔太。


がちゃんっ


「―爽子!!」


どんっ


はぁはぁはぁ


荒い息の翔太が思いっきりドアを開けた。


「三浦っ!爽子を返せっ!!」


玄関に4人ともいたのだが、その時翔太は健人の姿しか目に入っていなかった。3人の

しら〜〜〜〜とした姿。


「し・・・翔太くん?」


爽子だけが、びっくりした表情で翔太を見上げた。


「風早、それで?ど〜〜〜したの?」


健人が壁に肘をついてにやにやして言う。


「え・・・・?」


翔太は周りをゆっくりと見渡す。そして状況が分からず言葉も出ず固まった。にやにや

しながら自分を見ているあやね、くるみ、健人・・・そしてハッとしたように玄関で座って

いる爽子を見つける。


「爽子っ!!」


そう言うと、爽子をとっさにぎゅっと抱きしめる。


「翔太くん??/////」

「本当にごめんっ・・・もう毎晩襲ったりしないから・・・三浦のとこだけは・・・・

 行かないで。俺の側にいて!」

「・・・・え?」


しばらくのタイムラグの後、3人が大声で笑い出す。


どっ!!


「うける〜〜〜〜〜っ」

「見事に予想通りの行動!!」

「ったく、私達のこと見えてないんだから・・・」


がはははっ〜〜〜〜〜〜〜っ


「結婚一周年おめでとう〜〜〜〜っ!」


パンパンッパンッ


そこになぜかクラッカーが飛ばされる。


「「え・・・・・」」


翔太と爽子は状況が把握できず目が点になり固まってしまった。





<つづく>







あとがき↓

次で最後ですね。爽子鈍感すぎるってね。でも二人を見ていたら幸せになれそう。
そんな気がします。それではまた遊びに来てください。