「Half moon」(50)

社会人の二人の物語。オリキャラ祭り。オリキャラ紹介⇒(1)をご覧ください。

急いで帰ったアパートには風早はまだ帰っていなかった。がっくりと座りこんだ爽子は
小さな物音を耳にして・・・・。
こちらはHalf moon         10 11 12 13 14 15 16 17  18  19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29  30 31  32 33 34 35 36 37  38 39 40 41  42 43  44 45 46 47 48 49 の続きです。
それではどうぞ↓

















小さな物音にびくっとしたように固まった爽子は恐る恐る電気をつけた。

そして、そ〜〜っと物音がした方向に目を注ぐと・・・・。


「!!!


そこには体育座りをして、頭を抱え込んでいる風早の姿があった。


「か・・・・風早くん!?」


真っ暗の中、風早はずっとその場に居たのだ。爽子の声にも反応せず、まるで眠って

いるような風早の姿に爽子は戸惑った。



* * * * *


あれからどのぐらいの時間が経ったのだろう。時計の音だけがやたら大きく聞こえた。

爽子は先ほどから明らかに様子がおかしい風早に何も言えずに、言葉を発っしようとしては

それを飲み込んでという動作を繰り返していた。風早は相変わらず顔を上げずに頭を抱え

こんで身動き一つしない。


「あ・・・・あの・・・・!」


爽子が勇気を出して言葉を出そうとした時・・・・机の上に自分の携帯を見つけた。


「あっ!!携帯!風早くんが拾ってくれたの・・・・??」


すると風早が重そうにゆっくりと顔を上げた。その顔はどんよりしていてまるで別人の

ようだった。


(風早くん・・・・・)


爽子は驚いた。そんな顔の風早を見るのは初めてだったから。


「・・・秋山さんが・・・」

「!!」


そこまで言うと、風早は爽子を死んだような目で見つめた。やっと言葉を発した風早を

爽子は身動き一つできず見ていた。


「田口の・・・会社の前で拾ったって・・・」

「!」


びくっとした表情の爽子を風早は再びじっと見た後、体を起して爽子の方へ近づいた。

その目は虚ろで、病的にも見えた。


「・・・今日、何してたの?」

「えっあのっ・・・その・・・・・」

「あいつと・・・・」


そこまで言うと風早は哀しそうな目をして、そのまま黙り込んだ。


爽子はぎゅっと口を結んで、瞬き一つしないで風早を見ていた。


「・・・・・」

「・・・・・」


部屋に沈黙がひたすら漂っていた。


こんな目をした風早くんを見るのは初めてだった。いろいろな表情の彼を知っている。

彼の初めてを知るたびに嬉しかった。でも・・・・・こんな目は見たくはなかった。

そしてその目をさせているのは自分だ。そう思うと爽子はたまらなくなった。

・・・いっそ、全て話してしまおうか。


ドクン、ドクン


ピンっと張り詰めるような緊張感の中、脈がどんどん速くなっていき、身体全体に冷や

汗が流れ落ちるのを感じた。


「・・・・・」


爽子は拳を握りしめながら、目をぎゅっと瞑った。蓮の涙や沙穂や沙穂の母、美穂の

表情が脳裏を霞めた。頭の中をぐるぐると色々な思考が駆け巡る。

何の因果か、自分は関わってしまったのだ。・・・もう後には引けない。爽子は心の声

をぐっと飲み込んだ。


そして、もう一度強くぎゅっと拳を握りしめて、決心したように顔を上げた。


「・・・・買い物・・・だよ」

「・・・・・・」


風早はしばらく哀しい目で爽子を見つめた後、まるで自分を嘲笑うかのように、口角を

上げて言った。


「爽子は・・・嘘をつけない人だよね・・・」


その時、風早の目には表情がなかった。爽子は何も言えず、ただ風早を怯えたような目で

見ていた。その時、すっと風早が立ち上がった。


「・・・・俺、ちょっとこれから出るから」

「え・・・?」


そう言うと、風早は一回も爽子を見ず、カバンを持ってアパートを出て行った。


ガチャン


戸が閉まる音が、静寂を打ち破った。

爽子はその後ろ姿を茫然と見ていた。風早が去った後もドアから視線を逸らさず、身動きせず

ただ、玄関の戸を見ていた。追いかけようと思っても、足が竦んで動かない。


(違うんだよ・・・違うんだよ。風早くんに会いたくて・・・今日も一日会いたくて・・・)


ポタッ


膝に置かれた手の甲に再び、一滴の涙がこぼれ落ちた。

そして、次から次へと溢れだす涙。


「ひぃっく・・・・っく・・・・んっ」


彼を傷つけてしまった。爽子は風早の目を思い出しては、涙が溢れた。

泣きながら、爽子は自分の携帯を開いた。そこには10件以上の風早の着信履歴。


「うう・・・・うっごめん・・・なさい・・・っ」


いつも自分に誠実でいつも大切に育むように愛してくれた風早を傷つけてしまったこと・・・。

一人残された部屋で、爽子の堪えるような泣き声だけが哀しく響いた。









あとがき↓

この妄想の中で一番悲しい場面だと思います。多分・・・(ってオイ!)完璧に風早が
病んで自滅するというパターンですな。あはは〜!早く救出してあげたいんですが、
ここからまだ長くて・・・。すんません、うまくまとめられなくて(汗)50話目に突入して
しまいましたね(汗)このお話、まだまだ続くんですよね。書きたいことを全部入れな
いと終われないので・・・。お許しを。それでは妄想ですので、お気軽に楽しんで頂け
たらと思います。

Half moon 51 



以下、個人的なコメ返しなのでA様読んでください!↓





(反転してください)

アップルパイ様

本当にいろいろご配慮ありがとうございます。ものすごく嬉しかったです。アップルパイ様もサイトをお持ちとはびっくりしました!!(是非遊びに行かせていただきたいのですが!だめでしょうか?君届サイトではないのでしょうか??他サイト様から有難くもリンクのお誘いとか頂くのですが、沢山の訪問者を望んでいないのと、一ファンとしてそのサイト様を楽しませてもらいたいというのがあり、訪問させていただけるならそのような形が理想です!!)だから、色々お気づきになるのだと分かりました。コメ頂けるのは嬉しいことなのですが、どんどん皆様が熱くなっていくのにちょっとビビッておりました。私の書く内容が重いのかなぁ〜なんて思って、軽くしようかな〜なんて思ったり。まさにパラレルでめちゃくちゃな話とか書きにくくなっていた状態なので、正直、嬉しかったです。それだけのめりこんで下さっているのかな?なんて思うと、それも嬉しいのですが。ただ、アップルパイ様が私の楽しみを分かってくださっているということに感動しました。そう、ただ単に”萌え”を楽しみたいだけで、妄想をすることが楽しいのです。萌えはけ口ですよね。簡単に言えば。でも、私自身の好みの話が「Half moon」のような話なので、難しくなるんですね。みなさんには気軽に見てもらえたら嬉しいんですが。でも長く書いていると忘れていることもあり気づかされることも沢山あるんですけどね。とにかくありがとうございました!!それだけ早く言いたかったので。すっ〜〜〜〜〜っごく嬉しかったです。サイトは内緒というのならsawaloveプロフィールにあるメルアドまで(笑)(あっでもこれはアップルパイ様のメルアドが分かってしまうからだめですよね)何があっても自分萌えはけ口が必要なうちは閉鎖はしませんので、これからもよろしくお願い致します。