「瞳は知っている」14 

※ 前書きから読んでください。こちら⇒前書き
※ 風早×爽子カップルではありません。オリキャラ登場します。


このお話は 「瞳は知っている」         10 11 12 13 の続きです。

あらすじ*友情と恋愛の間で悩んだ風早が取った行動とは!?しばらくハル視点です。
それでは以下からどうぞ↓











「瞳は知っている」 episode 14












「−なぁ、ハル。風早から聞いてた?」


大学が始まった4月、ハル達は大学のカフェで昼食をとっていた。北海道では

桜のつぼみが膨らみ始めてきた春。もうすでにあの夏が遠い昔のように感じる。


「いんや〜」


ハルは特に表情を変えずにジョーに答えた。


風早が海外留学を決めたのはあの夏のすぐ後だった。そして、大学2回生になる前に

風早は突然、海外へと旅立ってしまった。


「水くさいよなぁ〜ハルにも相談ないなんて。向こうの学校に行くって?」

「途中編入になるんだろ?何の勉強するんだろ?」


ジョーと安藤が話すのには入らず、ハルは定食を食べていた。しかし、箸は進んで

いない。その時、ハルの携帯が鳴った。


PiPiPi


ピッ


「爽子?うん、ん・・・分かった。そんじゃ後でなっ」


「彼女?」

「ん」

「相変わらず仲いいなぁ〜〜」


ジョーが羨ましそうに言った。


「でも、風早がいなくなって彼女も寂しがってるだろ?」


安藤がそう言うと、しばらくの間をあけて、”そーやな”とハルは答えた。

パタンと携帯を閉じて、ハルは青い空を眩しそうに見上げる。


いつも通りの風景、いつも通りの仲間。でも・・・そこには風早がいなかった。


*********


あれから、巡る春、夏、秋、冬・・・そして夏。風早がいない季節が過ぎていく。

何年かに一度帰国をして、大学仲間と会うことはあったが、大学も卒業してそれぞれが

社会人になってからは違う場所に就職する者もいて、会うことはなくなった。



そして、あれから6年の月日が経ったある日―――


ジョーや安藤は東京で就職し、ハルは地元大阪に戻って働いていた。

ハルは出張の多い仕事をしていたので、時々東京で二人に会ったり、北海道で旧友に

あったりと、それなりの関係が続いていた。そして爽子とは・・・・?



「まじかよ?」


この日、東京出張だったハルはジョーと安藤と飲んでいた。


「あ〜ぁ、まぁ〜な」


ジョーと安藤はハルの発言に驚いて大きな声を上げた。


「爽子ちゃんと別れた!?」

「あ〜〜正しく言うと”別れてた”やけどな」

「「へ!?」」


大学を卒業してから、ハルは月一で東京出張があったため、二人と会うことは多かった。

それが一年経った今、ハルから告げられた重大事実に二人は口をあんぐりとしたまま固まった。

ハルは気にせず生ビールをぐびぐびと飲んでいた。


「やっと落ち着いたからさ、言うだけや。でも実際には働いてすぐ別れた」

「「何で!?あんだけ仲良かったじゃん?」」


二人が声を揃えて言うと、ハルはふっと笑って言った。


「男と女はいろいろあんねんて。分かるやろ。アンディは上手くやってんか?結ちゃんと」

「あっ・・・まぁ//////」

「いっちょまえに照れとるわ。ケケケ〜〜ジョーは・・・今も・・そうか」


ハルはジョーが何も言わないうちに肩をポンポンっと叩くと、ジョーは”ムカツク〜〜〜〜っ!!”

と図星とばかりにビールを一気飲みした。


しばらく近況報告などをした後、ジョーがぽつりと言った。


「そーいや、風早どうしてるのかなぁ〜〜」

「大学卒業したあたりから連絡途絶えた。お互い忙しくなったから」

「ハルは?」

「俺もや・・・」


三人はそれなりにハガキや手紙などの付き合いはあったが、大学卒業とともにそれぞれが

住居を変えたこともあり、すっかりつながりを失ってしまった。と言っても皆、風早の自宅を

知っているので連絡を取ろうと思ったら取れるのだが、それぞれの自分の生活に一杯一杯

で、余裕をまだ持てなかった。


そしてそれを誰よりも気にしているのはハルだった。



この日、ホテルに泊まるハルは二人と別れた後、ふらふらと東京の街を歩いていた。


「あ〜〜〜〜〜飲んだ!」


そう言って、近くのベンチにどかっと座った。少し肌寒い空には星がきれいに見える。


「翔太〜〜〜〜〜〜!!そろそろ帰ってこんかぁ!」


大声で叫ぶハルに道歩く人は警戒して足早に去って行く。


「・・・・・ていうか、もう帰ってたりしてな」


見上げていた顔を戻して、今度は頭を垂れた。


「俺、怖いんかな・・・・まだ、あいつに会うの」


ぶるっ


「さむっ!帰ろ・・・あっ・・・////」


ハルは周囲にじろじろ見られていることに気付いて、恥ずかしそうにその場を立ち去った。








あとがき↓

こんな展開にしちゃいました。最後まで一気にお話が決まった妄想でした。もうちょっとです。

明日も続きを見に来てもらえると嬉しいです。

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