「瞳は知っている」13 

※ 前書きから読んでください。こちら⇒前書き
※ 風早×爽子カップルではありません。オリキャラ登場します。


このお話は 「瞳は知っている」         10 11 12 の続きです。

あらすじ*抱えきれない想いに限界を感じた風早は・・・!?
それでは以下からどうぞ↓











「瞳は知っている」 episode 13











「風早、どうした?海入んないの?」

「アンディ」


海で遊んだ後、パラソルの下で休んでる風早の隣に安藤がどかっと座った。


「昨日、あれから起きてたの?」

「いやっ、そうでもないよ」

「そっか?今朝眠りこけてたじゃん〜〜〜っハルも寝むそうだしな」


シートにごろんと横になった安藤は、しばらくの沈黙の後、ぼそっと言った。


「・・・風早さ、好きな子いない?」

「え!?」


いきなりの安藤の質問に風早は大きく身体を揺らした。安藤は恥ずかしそうに

起き上がって、頭を掻きながら言った。


「いや・・・爽子ちゃんが連れてきた友達・・・・結ちゃんかわいいなって」


風早は照れながらも嬉しそうに話す安藤を茫然と見ながら、周りを見渡した。

この旅行がきっかけになって進展した男女がちらほら・・・。


「そっか・・・いいじゃん!頑張りなよ!」

「ほんと??いけるかな??」

「それは分かんないけど、彼氏がいないといいな」

「そうなんだよなぁ〜〜〜〜!でも彼氏がいても知らない奴だろうから奪っちゃたりして〜〜」

「アンディってそういうキャラだったんだ!?」

「いやぁ〜さ・・・今まで色々合コンしてきたろ?なかなか出会えなかったけど、彼女は

 今までと違う気がして・・・・。まぁ旅行ってのも良かったのかもしれないけどね」


安藤は目をキラキラさせて語った。風早はそんな安藤を微笑ましく見ていた。そして

心のどこかで、羨ましく思った。


”彼氏がいても知らないやつだろうから・・・”


もう、彼女と自然に話すこともできない。普通になんてできないんだ。


風早は俯いて、砂をぎゅっと握った。そして、そっと視線を前に向けた。


(あ・・・・・。)


彼女が遠くからこちらを見ていた。俺達は遠い距離を見つめ合った。

それは一瞬だったかもしれない。でも、俺には長く感じた。


お互い言葉に出来ない想いを抱えながら、必死で溢れないように保っていた。

その想いは同じ・・・・・だとしたら


想いの行き先は決まっていた。



* * * * *



いつのまにかふたり見つめ合う

お互いの気持ちを 気づき始めていた


あいつは僕のこと信じてる

君の話いつも 楽しそうにしてた


みんなで過ごす夏を ひとり抜け出す浜辺

夕暮れにふり向いたら泣きそうな君が・・・・



「黒沼・・・・皆のとこ行かないの?」

「・・・・・」


海でBBQをした後、それぞれがはしゃいだり、寛いだりしていた。日は暮れかかり、

茜色の空の下、男女不揃いな影が長く伸びていた。


ハルもあの中にいる。きっと彼女が輪から外れたのは分かっているのだろう。でもこちらに

来る気配はなかった。気になって追いかけたのは俺。


振り向いた彼女の瞳は語っていた。同じ気持ちだと・・・・。



言わないで 言わないよ

せつないだけ 何もかも

違う時 違う場所で 初めて逢えたふたりなら

同じ季節同じ想いを歩けたはずさ


今なら引き返せる 誰も傷つかないで

夜空にかくす涙が流れ星になる



見つめ合って、どのぐらの時間がたったのだろう。

言葉にしなくても瞳は知っている。ただ、見つめ合う。

そして、彼女の大きな瞳から一滴の涙がこぼれた。

風早はぎゅっと拳を握りしめた。




「・・・・ハルのとこ、戻ろう」




幸せを 祈り合う

友達だよ これからも

いつの日か良かったと 思える時がきっと来る

こんなに今は苦しいけれど サヨナラしよう


言わないで 言わないよ

せつないだけ 何もかも

違う時 違う場所で 初めて逢えたふたりなら

同じ季節同じ想いを歩けたはずさ


秘密の夏を 瞳は知ってる


叶わぬ恋を 瞳は知ってる



「・・・うん」



風早がくるっと背中を向けて歩き出したのを見て、爽子が立ちあがった。二人の影が

ゆっくり、ゆっくりと動き出した。そして最後までその距離は縮まることはなかった。


”いつの日か良かったと 思える時がきっと来る”


風早はぎゅっと胸を押さえて、すっかり日が落ちた夜空の星を見上げた。



”サヨナラ”



心の中でつらい夏に終止符を打った。









あとがき↓

この詩通りの展開にしてみました。でもその後の話は私の妄想。まだ続きます。アンディ

と結ちゃんも入れてみました♪詩の先の展開とかお話の先の展開とか、考えるのすごく

楽しいですよね。それではいつも私のつたない妄想にお付き合いありがとうございます!!

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