「瞳は知っている」4 

※ 前書きから読んでください。こちら⇒前書き
※ 風早×爽子カップルではありません。オリキャラ登場します。


このお話は 「瞳は知っている」   の続きです。
あらすじ*ある休日、草野球チームでコーチをしていた風早は?
それでは以下からどうぞ↓










「瞳は知っている」 episode 4







カキ〜〜〜〜〜ンっ


「レフト〜〜っ!」


翔太が打った打球が晴天の中、宙を舞う。レフトの少年が必死に白球を追った。


「あっ・・・・!」


グローブに収めようとした時、つまずいて少年は真っ黒になってしまった。かなり痛そう

な顔面をさっと拭って、帽子を取ってお辞儀する。


「すみません!!もう一球お願いします!」

「よしっいくぞ!!」


カキ〜〜〜ンッ


爽子は、いつもと違うところに買い物に出かけていた時、たまたま通ったグランドの風景に

釘づけになってしまった。運動が苦手な爽子は活き活きと野球をする少年達が輝いて見える。


「すごいな・・・・かっこいい」


思わず口から零れる。憧れるように見ていた爽子は、バッターボックスに視線を注ぐと、

びっくりしたように目を見開いた。


「え・・・・!」


そこには少年に負けないぐらい活き活きとした風早の姿があった。


「か・・・風早くん?」


爽子は思わずガシッと金網を握った。

それからは夢中で風早の姿を見ていた。汗がきらきらと輝き、全てが眩しかった。


どきん、どきん


爽子の心臓の音は次第に早くなっていった。



「しょーた」

「ん?何、龍」


一緒に少年野球のコーチをしている幼馴染の龍がボールを磨きながら風早に声を掛けた。


「あれ、しょーたのファンか何か?」

「え?」


龍の指さす先を見て、風早は大きく体制を崩した。


「大丈夫か?しょーた」

「!!」


そして、目を手でごしごし擦って、もう一度その方向を見た。


「え・・・何で?」


そこには黒い長い髪が風に揺れてこちらを見ている黒沼爽子がいた。

目が合ったと気付いた彼女が、ぺこっと頭を下げた。思わず、俺も頭を下げる。


「しょーた、顔真っ赤」

「え!?//////」


龍はそう言うとにやっと笑って、少年達の方に行った。

風早は少年達に分からないように、そっと抜け出して彼女の方へ向かった。


「く、黒沼??どうしたの」

「あ・・・ごめんなさい。通りかかっただけで・・・・」


風早はこの偶然に自分の目を疑った。たまたま通りかかったいつもと違う道で

自分と出会った。彼女がフリーだったら、これを運命だと断言してしまいたい。

でも、できないんだ・・・・。


「ははっハル驚くんじゃない?」

「うん・・・・あのっ」

「ん?」

「め、迷惑じゃなかったら、また見に来ていいかな?」

「え・・・・・」


俺が驚いた表情をしたので、彼女は手をぶんぶんと振り、迷惑だよねっ!!と

謝ってきたので、俺は即座に言った。


「来て。また見に来て」

「うん・・・・」


彼女は嬉しそうに微笑んだ。もう何回目だろう。笑顔の彼女を見るのは。ハルが

言ってた。仲良くならないと彼女の笑顔はあんまり見られないって。だとすると

心を許してもらってると思っていいのか。もう何度となく見ている。

彼女のきれいな笑顔。

その度に胸の奥がきゅんとなるのをいつも隠すように胸を押さえる。いつの間にか

それが癖になっていた。その時もきゅっと胸をグーで押さえた。


違う時、違う場所で出会えた二人であったなら、同じ想いで歩けたのだろうか・・・。



* * * * *


それからも彼女はよく見に来るようになった。ハルがこのことを知っているのか

知らないのか分からない。本当にただの偶然だったのだから。最初は・・・。

でも、心のどこかで秘密にしておきたい自分がいる。


「うわっ〜〜〜いいの?」

「やったぁ〜〜〜うまそう!」


ある日曜日、彼女が子どもたちに手作りお菓子の差し入れをしてくれた。


「コーチの彼女、めちゃ料理上手!」

「か、彼女!!/////ち、違うから」

「え〜〜〜〜〜〜違うンすか?」

「彼女ちゃんと相手いるから」

「な〜〜〜んだっ」


子どもたちに言われ、二人は茹でタコのように真っ赤になっていることに気付いた。

風早はちらっと爽子を見て言った。上手く目線を合わせられない。


「ご、ごめんな。アイツら・・・」

「い、いえ、何かさしでがましいことを・・・!!」

「なんで?すごくうまいし、嬉しかった!ありがとう」


風早がお日様のように笑うと、爽子も嬉しそうに笑った。

龍はそんな二人の様子を、ぱくぱくと爽子の差し入れを食べながら横目で見ていた。




「じゃ〜さようなら〜〜」

「おうっ気をつけて帰れよ〜〜〜」


子どもたちが帰って、荷物など片付けた後、龍と風早は帰り道を歩き出した。


「彼女・・・・彼氏いるんだ?」

「あ・・・ああ黒沼?・・・うん。何で?」

「いや。よく来るなと思って」

「そーいえばそうだね。なんかバイト忙しいって言ってたな〜ハル。あっハルって彼氏ね」

「ふぅ〜ん」


龍はそれ以上聞かなかったが、昔からの付き合いなので言いたいことが分かった。


「・・・大丈夫だよ。あの二人は。絆が深いから」

「・・・・。そっか」


夏の夕暮れ、茜色の空の下二つの影が長く伸びていた。








あとがき↓

男同士の友情話好きです・・・。多分これからも男友達多いっす。(なにせワンパターンなんで)

しかし・・・どうしてこんなに爽×風に萌えるのか。純情話なら沢山あるのに。はまったと言えば

それまでなのですが、なぜこんなにハマったんだろう・・・。(二次するほど)二人のカップリング

に萌えるんですよね。もう二人を見るだけで目がハートになるから不思議。発売日にドキドキです。

それではまた遊びに来て下さい〜〜〜♪

 「瞳は知っている」  UPしました