「Half moon」(34)

社会人の二人の物語。オリキャラ祭り。オリキャラ紹介⇒(1)をご覧ください。
それぞれが想いを抱えながらの七夕祭り。7人は沢山の人の中、街を歩いていたが・・・?
こちらはHalf moon         10 11 12 13 14 15 16 17  18  19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29  30 31  32 33 の続きです。
それではどうぞ↓
















七夕祭り真っ盛りの2日目、7人は街をそぞろ歩きしていた。しかし、どこもかしこも

ものすごい人だかりで、自由に歩けないでいた。とりあえず、何かを食べようというこ

とになり、店に向かっていたのだが、店までのある一角、ものすごい群衆が道を阻んで

いた。どうもそこは有名なシンガーが来ていて、一目見ようという人で溢れかえっていた

のだ。しかし、そこを通らなければ店には行けない。


「うわっここ通れるかな!?」

「がんばろう!」

「きつっー!」

「げーっ浴衣なのに!!」

「うわぁ〜〜〜押される!!」


思いっきり人に押されながら、7人は前へ進もうとしていた。


「爽子、大丈夫?手を離さないで」

「うん!!」


ものすごい人を前にぎゅっと強く爽子の手を握った風早だが、その時強い力が後ろから

押し寄せてきて、爽子と風早の間に人が入ってきた。同時に二人の手はふいに離れてしまった。


「うわっ爽子!」

「きゃっ風早くん!!」


そして、もみくちゃにされ、姿も見えなくなった。それは一瞬の出来事だった。


(え・・・風早くんもみんなもいない。)


一瞬の間に離れてしまった爽子は、まだ近くに近くにいるはずと必死にもがいて、風早を探した。

しかし、誰もいない。段々不安になってきたが、とにかくここを出るしかないと前に進んだ。


「いたっ」


今にもけが人が出そうな様子に、街の警備が沢山やってきていた。

その時、髪を引っ張られ、揉みくちゃにされている爽子の手がぐいっと引っ張られた。


「!」

「俺がいるから」


その人物は光平だった。


「た・・・田口くん!」

「俺が守るから」


そう言って、光平は爽子を守るように、ぎゅっと抱き寄せた。光平はずっと爽子を見ていた。

風早から離れた時、必死で爽子を追った。絶対に見逃さないように。前に行きたくでも行けない

状況の中、華奢な身体で必死で耐えている爽子しか目に入らなかった。


「ずっと・・・探してた」


光平は柔らかい爽子の身体を感じながら、誰にも触れさせないように大きな身体で包み込んだ。


「風早くんは・・・・??」

「・・・・・」


光平は無言で、抱きしめた。絶対離しはしない。やっと捕まえたのだから。

ずっとこうして触れたかったんだ。彼女の甘い香り、柔らかい感覚に光平は眩暈がしそうなほど

酔いしれた。まるで時間が止まったかのように。



一方、風早は必死で人込みを掻き分け、前に進んでいた。どんなことがあってもあの手を離した

くなかった。この群衆の中で苦しんでいるであろう爽子を思って、自分の行動を悔やんだ。

まだまだ人だかりは続く。風早が一心不乱に探していたその時だった!


「あっ爽っ・・・・!」


風早の目が爽子の長い黒髪を捉えた。

そして、風早は止まった。まるで時が止まったかのように。

人込みに押されながらも風早は何の痛みも感じなかった。


ただ、目の前の光景を瞬き一つせず、茫然と眺めていた。










あとがき↓

この回はちょっと短かったですね。まぁ、これでちょっとお休みしようかと。
光平の想いが分かって、風早が〜〜〜〜んっと言う感じで。なぜか最初から
人ごみの中で爽子を抱きしめる光平の妄想が広がってしまい、これは入れたい
なと思いました。それではまだまだ続きますのでよろしければ楽しみにして
頂けると嬉しいです。それでは他の話も進めなければ!また遊びに来て下さい。

Half moon 35