「Half moon」(22)

社会人の二人の物語。オリキャラ祭り。オリキャラ紹介⇒(1)をご覧ください。
風早に彼女がいることが分かった沙穂はあれから・・・?
こちらはHalf moon         10 11 12 13 14 15 16 17  18  19 20 21 の続きです。
それではどうぞ↓















「お〜〜〜風早!こっち、こっち」

「おっ!」


爽子と離れてから一週間の月日が経っていた。風早も色々な想いを抱えながら

いつもの日常生活に戻っている。あの頃がすでに夢のように思えてくる。

風早の部屋にはすっかり爽子の香りは消え失せてしまった。


この日はあの仲間達と偶然会ってから初めての飲み会だった。いつも通り遅れて

来た風早を居酒屋の奥で、太陽が手招きした。そこには蓮と太陽と昌がいた。



「遅くなって悪いな」

「「お疲れ〜〜!」」


風早は蓮の隣にどかっと座り、ビールを注文した。風早の飲み物が揃ったところで


「「かんぱ〜〜〜〜い!」」


いつものように太陽はジュースを片手に、他の者はアルコールを手に週末の疲れを

癒した。当然、先週末会ったばかりの彼女の話しになる。


「彼女帰って寂しんじゃないの?」


太陽がからかうように聞くと、風早は照れたようにその話を交わして仕事の話しなど

を切りだした。そのようなやり取りを繰り返した後、風早は周りをきょろきょろっと

見回す。


「あれ?最近、秋山さん来ないね?仕事忙しいの?」


昌に振られて、思わず視線を逸らす。


「ん〜〜〜まぁ、そんなとこかな」

「へぇ〜〜大変だね。病院だっけ?」


このままどうしたもんか・・・。昌はため息をついた。沙穂は思ったより本気になって

いたらしい。電話にも出てくれない。彼女に会った今、沙穂を応援することも出来ない。

太陽も沙穂の異変に気付き、電話を入れていた。


**********


Pulululu〜〜♪


「はい?太陽?」

「沙穂?・・・元気?」

「あ〜ごめんね。最近忙しくて顔出せなくって・・・」

「・・・・」

「でもさ、仕事ばかりしてたら身体に悪いよ。あのさ・・・・映画の券もらった

 んだけど・・・・一緒に行かない?いやっもし暇が出来たらなんだけどさ・・・」

「・・・ありがと。暇が出来たら連絡する」

「うん・・・」


ピッ


太陽は携帯を見つめて小さくため息をついた。


一方沙穂は、あれから何も手に付かない日々を送っていた。太陽の電話を切った後、

どかっとベッドに寝そべり、天井を見つめた。

運命の出会いは運命ではなかった。諦めないといけないんだろうか・・・・。

空港で会うなんて思ってなかった。それもあんな顔の風早に会うなんて。

初めて見た顔ばかりだった。彼女の前で笑う風早は本当に嬉しそうだった。

悔しいほど、彼女のこと好きだと実感させられた。

彼女より先に会ってたらあんな風になれたのかな・・・。そんなことを繰り返し

考える毎日。そして、最後にはいつも諦められない自分がいる。


沙穂はいきなり起き上がって、携帯を取り番号をプッシュした。


ピッピッピッ


「昌?」

『沙穂?あんた、元気なの??』

「うん。あのさ・・・・ごめんね。なかなか電話できなくて・・」

『いや・・・元気ならいいんだけどさ』

「・・・・・」


しばらくの沈黙の後、沙穂が言った。


「私・・・・諦めないといけないかな?」

『!』


昌は沙穂が言わんとすることが分かった。自分に同意して欲しいのだ。

風早を彼女から奪うことを・・・・。

正直、風早やまして彼女との付き合いは短い。応援するならもちろん沙穂

の方だ。でも無条件で沙穂を応援できるわけでもない。自分の倫理観に

反している。


『う・・・ん、そんなに本気なの?』

「うん。もう止められないし、まだ何もしてないから消化できてない」


そりゃそうだ。と昌は思った。蓮を好きになったのは中学1年の時だった。

気持ちをちゃんと伝えて、振られるとすっきりしたのを覚えている。今も

伝えて良かったと思ってる。幼い恋だったけど。でも・・・その後好きに

なった光平には何も伝えられていない。気持ちは膨れ上がっても、沙穂み

たいに、止められない感情ではない。


(ただ、慣れっこになっただけか・・・・)


昌はふと自分自身に笑ってしまう。 どうして人って誰かを好きになるんだろう。

そして、どうしてこう想いは交差していくのだろう・・・・。


『そうだね・・・・。沙穂は始まったばかりだもんね。実際二人がどんな深さ

 で付き合ってるか分からないしね。』

「応援、してくれるの?」

『ううん、沙穂に加勢することはできないけど、見守るよ』

「昌・・・・」

『好きな気持ちってさ・・・・無くそうと思って無くせるものじゃないしね』

「うん・・・。そうなんだ。昌は分かってくれると思ってた」

『・・・・・。』


昌は久々に沙穂の声を聞いて安心した。ここまで沙穂が相手に執着するの姿を見るのは

初めてだ。確かに今までも好きな相手ができるとその人中心になるタイプではあったが、

今回は違う・・・・。昌は何となく感じる不安を拭いきれなかった。








あとがき↓

ああ・・・爽×風が一緒にいないとつまんない。けど、ストーリー上仕方ない。オリキャラ
ばかりですみません。しばらく爽ちゃんは北海道です(悲)二人の切ない想いだけ感じて
もらえたらと思います。つまんないですが、また続きを見に来てもらたら嬉しいです。


bluemoon様 「紹介できないワケ」に拍手コメントありがとうございます。自分も書いて
いて楽しいですが、こんな風にコメントを頂くと見ている方も楽しんで頂けているのだと
実感します。また色々書こう〜なんて思います。ありがとうございました。

Half moon 23