新婚ウブコントシリーズ(5) 「紹介できないワケ」<後編>

久々の新婚シリーズ。ずぅ〜〜〜っと前に書いたものです。最後です。
翔太の会社のパーティーに出席した爽子でしたが・・・。
このお話は「紹介できないワケ」 前編 中編 の続きです。
それではどうぞ↓














一方その時爽子は―――

翔太くんの奥さんとして頑張らないと!と心に決め、拳を握りしめていた。そんな爽子に

後ろから声が掛った。


「こんばんわ!」

「あ・・・こんばんわ!」


爽子が振り向くと、そこには落ち着いた感じの中年の夫婦が立っていた。


「こちらの社員関係の方?それとも外部客の方?」

「あ・・・社員のつ・・・つつつ妻です/////」

「うふふ・・・新婚さんなのね!」


あれ?何で分かるんだろ・・・・。


「私達は、ここの取引先の会社の者なんだけど、この人がねあなたと喋りたいって

 言うからね」


と隣の旦那さんを前に出した。その男はオシャレなスーツを着こなして、中年の色気

を醸し出していた。


「えっ?」

「いや・・・遠くから見ていて、この会場の中でも光ってたから」

「えっ?光ってる?」


あわわわ〜服がやっぱり派手だったかな!!


「彼、きれいな人には目がないのよ〜よければちょっと喋ってあげて」


と女の人は旦那さんを残し、去って行った。あれっ?行っちゃうの?

それに、私がきれい?


「あ、あの・・・」

「僕たちは結婚してもう10年になるからさ、すっかり落ち着いちゃってね。

 それにお互い自由恋愛をモットーとしてるからさ」


自由恋愛?なんだろ?


「そ、そんな!すごくお似合いですね」


私達も10年ぐらいたったら、こんな落ち着いた夫婦になれるんだろうか・・・。

無理そう。だっていつまでたっても翔太くんといるとドキドキしていてそう。

私が好きすぎて・・・・。


「何か料理取ってくるね。飲み物はワインでいい?」

「あっは、はい」


あんまりアルコールは得意じゃないけど、こんな場だもん。ちょっとは合わせないとね。

翔太くんの奥さんなんだし!


爽子は話を合わせながら、苦手なワインをちびちび飲んだ。アルコールと共に固かった

表情が少しずつほぐれていく。そんな爽子に男はニヤッ。


アレ?何だか酔ってきたのかな?ちょっとくらくらする。


「きれいな手だね!この指輪がちょっと邪魔かな?」

「は、はぁ・・・」


ち・・近い!でも合わせなきゃ・・・翔太くんの関連会社の人だし!


爽子は必死で我慢していた。男の距離が近づくに連れて、爽子の顔が引きつってくる。


「あれ?もう酔っちゃった?」


そして、男は爽子の耳元に口を持っていくとそっと囁いた。


「ひゃっ」

「ねぇ・・・ちょっと抜け出さない?」

「えっ?」

「こんなに若くてきれいんだから、旦那だけに縛られることないんだよ」


えっなに、なに?


爽子は石のように固まっていた。その隙にも男は爽子の手を掴んで行こうとすると、

後ろから爽子のもう一つの手をぐいっと後ろに引っ張られる。


「ーすみません!俺の奥さんに触らないでもらえますか!吉村さん!」


私を後ろに隠して翔太くんは言った。


「あっお前、あの有名な営業部の風早?」

「・・・・・・」

「ふぅーん、風早の奥さんか?」

「いいじゃん?新婚さんとは言え、そろそろ他に目移りとかする時期じゃねの?

 奥さんも嫌そうじゃなかったしね」


と言って男の人は私にウィンクした。


爽子は状況が掴めず茫然と固まっていた。そんな爽子の腰を支え、


「俺、吉村さんと違いますから!失礼します」


翔太は一礼すると爽子を引っ張って、会場を出て行った。



****************


「はぁはぁ・・・・・・っ」


思いっきり走ったので更に頭がくらくらしたのか私は思わず倒れそうになった。


「爽子!」


とっさに翔太くんは私を抱きとめてくれる。


「大丈夫?お酒飲んだろ?」


そう言って、側のベンチに優しく体を支えながら座らせてくれた。


「う、うん・・・ごめんなさい!!翔太くん。失敗してしまいました!」

「えっ?」

「翔太くんの会社に関係した人なのに、上手くお付き合いできなくて・・・

 呆れたよね?翔太くん・・・。」


思わず涙があふれる。


「やっぱり・・・それで頑張ってたんだ?爽子」

「う、うん」

「そんなこと頑張らないでよ・・・!」
「えっ・・・・」

「俺が今まで、どうして爽子を同僚に会わせなかったって?・・・それは

 こんなことが簡単に想像できたからだよ。」


翔太は熱い目で爽子を見つめて言った。


「ごめん・・・やっぱり我慢できなかった」


そう言って、顔を手で覆った翔太は再び爽子をじっと見つめた後、顔を赤らめた。


「あいつさ・・・取引先の人でたらしで有名だからさ・・・・」


翔太は悔しそうに唇を噛んで言った。


「あいつに触られたところ、今消毒するからね!」

「えっ?」


そう言うと、翔太くんはすくっと立ち上がって、私の手や腕や首にキスを

落としていく。そして、涙をぺロっなめられてた爽子は・・・?


「し、翔太くん!!////」


恥ずかしそうに周りを見た。


「だって、すぐ消毒しないと耐えられないよ。俺」


上目づかいの翔太くん・・・うわっまたドキドキが止まんない。


「だからずっと嫌だったんだよ。爽子は分かってないんだ。爽子は自分で思うより

 ずっと、魅力的なんだから。俺がどんなにヤキモキしてるかなんて・・・」


少し拗ねたような、熱い眼差しで見つめる翔太くんに心臓の音はどんどん加速していく。


「わ・・・私もずっとだよ。翔太くんが魅力的すぎて、いつも、不安だよ。それに

 いつも・・・一人占めしたくなるの」


そんな私は欲張りだと、いつも反省してるのに。どんどん増していく私の

翔太くんを好きな気持ち。


「んじゃ・・・同じとは言わないけど、今はこれで我慢しとく」


そう言うと、翔太くんは私の唇にそっと唇を合わせた。そして・・・


「帰ったらお互い・・・”ひとりじめ”だよ」

「////////」


と耳元でコソッと言ってくれた。

まだまだ翔太くんの奥さんにふさわしくない私だけど、毎日幸せです。



************


<後日談>


「かわいかったでしょ〜爽!」

「やっぱお前らかよ・・・・」

「一人占めしようって魂胆はバレバレなんだよ」

「これからも、もっとかわいくしてやるぅ〜〜〜覚悟しときな。風早」

「なっ〜〜〜〜〜〜////」



そう言って、今まで一人占めしていた風早はちづとあやねから様々な制裁を加えられる

ことになったのでした。




<END>








あとがき↓

いかがでしたでしょうか?相変わらず風早ヤキモキ系大好きな管理人でした。
さて、次は連載に戻ります。しかし・・・よく考えたら人の作品を2次とは
言え、勝手に妄想して変だし、失礼ですよね。でも2次を知って、こんなに
楽しむことができたのですから、作者様、また2次サイトを考えた人に感謝
ですね。これからも妄想続きます〜〜〜♪皆さまも暑い夏、体調壊すことな
く元気にお過ごしください。

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