「Half moon」(21)

社会人の二人の物語。オリキャラ祭り。オリキャラ紹介⇒(1)をご覧ください。
昌の回。昌の心情暴露です。爽風出てきません。
こちらはHalf moon         10 11 12 13 14 15 16 17  18  19 20 の続きです。
それではどうぞ↓
















「ありがとな、昌」

「どーいたしまして!」


蓮はある日、会社の同僚からファッション関係の店を紹介して欲しいと言われ、

昌に相談していたのだ。それで何かとお世話になり昼をご馳走することになった。


「蓮はなんだかんだ言って人の世話焼くんだもんね」

「そんなことないよ」

「そんなことある!中学の時だってさ、光平が熱で長く休んだ時、さりげなくノート、ポストに

入れてあったって聞いたよ」

「たまたまだよ」


相変わらずの蓮の性格に昌は笑みがこぼれた。


「あのさ・・・・蓮。この間の光平・・・何か変じゃなかった?」

「この間?」


蓮は定食のとんかつを大口で食べながら聞いていた。


「風早と爽子ちゃんと会った時・・・・ちょっと後から思ったんだけど」

「そう?別に何も感じなかったけど」


そしてパクパクと食べている。そんな蓮を見て昌は身体を震わせている。


「?」


無口になった昌に気付き、蓮は目線を上にあげた。すると顔を真っ赤にして怒っている

昌の顔があった。


「蓮!あんたねぇ!私の気持ち、知ってんでしょ!昔から。人一倍敏感なくせして!」


はぁはぁはぁっ――!


呼吸が荒くなった昌を冷静に見ている蓮は一つため息をついた。


「まぁまぁ、落ち着けよ。昌お前、俺を買いかぶりすぎだよ。」

「そんなことないよ。いつも蓮は私達の先まで考えて何かしてる。いつもそうだった!

 だから、美穂さんのことも・・・・あっ」


そこまで言って、昌は口を自分の手で塞いで、恐る恐る蓮を見た。


蓮は何もなかったように食事の続きをしていた。俯いていて表情は見えない。

昌はほっとしたように、会話を続けた。


「ごめん・・・・感情に走ってしまうとこは私の悪いとこだって分かってる。」


昌は俯いて、懺悔するように言った。


「・・・そこがうらやましかったりするけどね」


そんな昌をからかうように笑う蓮。なんだかんだ言って、場の空気を読める男だ。


いつも蓮は私達仲間の一歩前を歩いているような気がした。それは私達がしていない

人生経験をしているからなのか、生まれ持ったものなのか・・・・。ぶっきらぼうだけど、

本当は優しい。口で切るようなことを言っても絶対人を切ることはない。

だけど、蓮自身は誰が救ってくれるのだろう・・・。

昌は目の前の蓮を見ながらそんなことを思っていた。


「それじゃね。ご馳走様」


昼食が終わって、二人はそれぞれ職場の方向に向かって歩き出した。別れ道になり、

昌が手を振ると、蓮は昌を見て少し表情を緩めて言った。


「昌のその一途なとこ・・・。いいとこだよ。きっと光平も分かってる。」


それだけ言うと、背中を向けてさっさと去って行った。


(もう・・・・いい男なんだから)


昌は口元を緩めて、「さてがんばるぞ〜〜〜〜っ!!」とガッツポーズをして

明るい顔で歩き出した。


**************


中学の時だった。


”がたんっ


『!!』


蓮に振られて教室で泣いていた所に、光平が忘れ物を取りに入ってきた。

昌は瞬間で涙を見られないように、あさっての方向を向いた。

なまじ、光平は仲がいいだけに気まずさは百倍だった。


”うわぁ〜〜〜〜最悪!!”


何も言えず、教室はし〜んとしていた。1秒がこんなに長く感じられたことはない。


鼻水が止まらず思わずぐすっと鼻をすする。


”やばっ泣いてるのばれたかな・・・・でも今喋ったらばれる”


光平は何も言わずに、教室を出て行った。光平がいなくなったのを確認して、

思いっきり大きなため息を一つついた。


『はぁ〜〜〜〜〜〜〜っ!』


そして横の机にそっと視線を移すと、大きなタオルが一枚置かれていた。


『なによぉ・・・いくらなんでもこんなに泣かないわよ・・・っうっ』


うわぁ〜〜〜〜んっ”


今から考えたらあれからだったのかもしれない・・・。


”「マジ、男がほっておかないよ」”


光平はいつもそう言ってくれる。でも・・・。


「・・・・そんな言うなら、光平がほっておくなよ・・バカ」


蓮も光平もいい男になった。光平に相手が出来るたびに仲間であることがつらかった。

友達じゃなくて、私は恋人になりたいんだよ。そして、今は北海道に行ってしまった。

いつまで私はこの想いを秘めてないといけないんだろう・・・。








あとがき↓

段々と主要人物の恋愛模様が明らかになっていきます。そしてごちゃごちゃしていくん
ですね。さて、光平は自分の想いを止められるのか!?乞うご期待!なんて誰も期待し
てないってね。それではまだまだ続きます〜〜〜♪遊びに来て下さい。

Half moon 22