「Once in a blue moon」(2)
※ こちらは「Half moon」という話のオリキャラ(蓮)が中心となった話です。が、蓮が
主人公というわけではないです。この話自体を楽しめなかった方は面白くないです。
※ 爽風が出ますが、中心というわけではありません。また他にもオリキャラが出ます。
未来を妄想したパラレルになります。妄想として受け止められない方はゴーバックで!!
★「Half moon」は 目次 から。こちらは「Once in a blue moon」 1 の続きです。
☆風早一家が仙台にやってきて、仙台の仲間との再会を喜んだ。そして花火に向かう
途中、蓮の発言に一同は驚き・・・??
・‥…━━━☆ Once in a blue moon 2 ‥…━━━☆
「「「 え〜〜〜〜〜〜〜〜っ!! 」」」
「え・・・?何?」
し〜〜〜んとした後、悲鳴のような一同の声に蓮が驚いたように目を見開いた。
蓮の転勤をこの時初めて聞いた仲間たちは驚きを隠せない。
「うっそ??マジで?蓮?」
「・・・まじ」
太陽が泣きそうな顔ですがるように言った。
「なんで?転勤願いとか出したの?」
「出してないけど」
「じゃ、なんで??突然??」
「来月って・・・もう2週間もないじゃん」
沙穂も昌も真剣な表情で身を乗り出して次々に蓮を質問攻めにする。呆気にとられて
いる蓮を見ていた風早が、助け船を出すように口を挟んだ。
「本社引き抜きだよ。蓮の腕はすごいからさ」
「違うって・・・たまたま俺のポジションが本社で欲しかっただけ」
「あっそうか・・・風早は同じ会社だからさすがに知ってるよな」
「うん。急遽決まったんだよな?」
「・・・・ああ」
蓮は一級建築士の試験も合格し、ますます仕事に脂が乗っていることは誰もが知って
いた。しかし突然のことに仲間たちは驚きの方が大きく、すぐには受け入れられなかった。
そして皆の後ろで光平が浮かない顔をしている。
「光平。言いたいことあったら言いなよ」
昌がぽんっと光平の肩を叩く。光平は昌をちらっと見ると少し躊躇したように言った。
「なんで・・・・そんな大事なこと今日まで黙っとくんだよ。急遽って言ってもさ・・・」
「・・・・わりぃ。俺もさすがに戸惑ってた」
「え・・・?蓮が?」
光平は、蓮らしくない言葉に驚いたように聞き返した。
「・・・っておかしい?」
「いや、蓮でも戸惑うんだと思って」
「俺だって人間だっつーの」
「・・・・・・」
それは本当だった。辞令はいきなりきた。正直蓮自身も突然の辞令に戸惑っていた。
風早がいる北海道とは言っても、何せ7年間も移動がなかったのだ。
蓮の意外な一面を見て、バツが悪そうにしている光平を昌がからかうように言う。
「蓮ファン多いからね。泣くのは女だけじゃないって??ね、光平」
「ーっさい///」
「はは・・・そんなに人気あったら芸能人にでもなるわ」
わはは〜〜〜〜
やっと和やかなムードが戻ってきた。風早と爽子はほっとしたように微笑み合った。
実際蓮に憧れる女子社員は少なくなかった。それも会社だけではない。昌は先日の光景
を思い出すように視線を上にして言った。
「そー言えばさ・・私見ちゃったんだよねぇ〜〜先日」
「何を?」
昌の言葉に皆、興味津々で身体を前に乗り出した。
* * *
昌は仕事帰りにあるファーストフードで蓮を見掛けた。声を掛けようとガラス張りの店に
入ろうとした時、蓮が店員と外に出てきた。思わず隠れる。
(なぜに隠れる・・・!?)
昌は無意識でその姿を追った。すると二人は店の裏のところまで歩いて行った。
「す・・・好きです。ずっと好きで・・・・っ」
その女の子は大学生ぐらいで若くてすごくかわいい子だった。男なら誰でもOKしそうな
連れて歩いて自慢できそうな子。しかし蓮は表情も変えずに答えた。
「俺、あんたのこと知らないから」
「え・・・・?店にいつも来てくれるのに・・・?」
「悪い。店員の顔まで見てない」
「じゃ・・・これから知って下さい!!」
「・・・ごめんな。興味ない」
女の子は俯いたまま泣いているようだった。
(!!・・・・やばいこっち来るっ)
昌は慌てて、隠れて二人が通り過ぎるまで陰で息を潜めていた。
* * *
「・・・というわけなの。女の子と二人店から出てくるのを見ちゃった〜〜〜」
(さすがに告白シーンを見たとは言えない・・・・)
昌は探るようにちらっと蓮を見て言った。
「ああ・・・あれね」
「蓮のこと好きなんでしょ?あの子。知り合い?」
「全然」
「告白されたの?」
「別にいーじゃん」
(あ・・・・切られた)
相変わらずの蓮を昌はせつない目で見つめると、後ろをとぼとぼと歩き出した。
「・・・・蓮に幸せになって欲しーよな」
「・・光平」
横にやってきて自分の心に寄り添ってくれる光平に昌は嬉しそうにコクンッと頷いた。
蓮は仲間たちの後ろ姿を遠い目をして見ていた。
祭りで誰もが嬉しそうにはしゃいでいる。友人たちは幸せそうに笑い合う。蓮は自分
だけがこの空間の中、異色のような気がしていた。混ざり合うことのない濃い色のよ
うに、どんどんとかけ離れていく。
幸せという淡い色から・・・・。
「Once in a blue moon」 3 へつづく
あとがき↓
カルピン先生が載ってるチャリティ本、もうすぐ届くようです。うれしい〜〜〜〜!!また
軽く感想など書きますね。「君に届け」の龍目線なんですよね??どんなだろ〜〜〜!?
古い妄想などにも拍手を下さった皆さまありがとうございます。読んでもらって嬉しいです。