「Half moon」(16)

社会人の二人の物語。オリキャラ祭り。オリキャラ紹介⇒(1)をご覧ください。
店から出た4人は光平の家に向かって歩き出した。4人の帰り道です。
こちらはHalf moon         10 11 12 13 14 15 の続きです。
それではどうぞ↓















「まさか風早と店で鉢合わせするとは思わなかったなぁ〜!なっ」


風早達と別れた帰り道、4人は光平の家で飲み直すことになった。

先頭を歩いていた太陽が後ろを振り向いて言った。


「そうだね〜〜!でも、風早の彼女に会えて良かったね。それも光平の同期

 なんてほんとびっくりだよ〜〜〜!」


昌は太陽と笑いながら話していた。そして、ん?とふと立ち止まった。やっぱり

なんか雰囲気がおかしい。もしかして!と昌はぽんっと手を叩いた。


「もしかして・・・光平、彼女苦手なの?」

「「へ?」」


昌の突拍子もない発言に蓮と光平は一緒に声を上げた。


「だってさ〜あんまり喋らなかったし、なんか雰囲気悪かったっつーか・・・」

「なるほど〜〜〜〜そっか〜〜!そういや暗かったな。光平」


太陽も納得したように頷いた。光平は昌の発言に呆気に取られたが、段々、笑いが

込み上げてきた。


「わははは〜〜〜〜っ」

「ちょっ〜〜〜なによぉ〜〜〜!」


そんな光平を見て、蓮は少し口角を上げた。


「いやっ〜〜〜昌は変わらないと思ってさ」

「そんなっ・・・ことないんだから////」


昌は少し頬を染めて、ぷいっと横を向いた。光平は腹を抱えて笑った後、ふっと現実

に戻ったように月を見上げて言った。


「そんなじゃ、ないよ。ただ、世の中は狭いもんだなってさ・・・」

「そうだな」


蓮も同じように空を仰いだ。


「蓮は知ってたの?風早に彼女がいること」

「・・・知ってたよ」

「そっか・・・。そ〜だよね。風早と蓮ってなんか昔からの親友みたいだもんね。あっ

 もちろん光平には負けるけどさ!!」


昌はしまった!と言う風に光平を見て言った。


「あははっ!いや、そんなもう子供じゃないし。ほんといい奴だしな。風早って」


皆が言ってた通りさ・・・と光平は寂しそうな表情で笑った。そんな光平を蓮は

何も言わずに横目で見ていた。


「風早の彼女さ、あんまり喋らなかったからどんな子か分からなかったけど、

 きれいな子だったね。古風だしさ、女の子って感じした。何よりさ・・・

 風早がちょっと違ったよね」

「そうだよな〜〜〜風早ってやっぱ彼女を大事にするタイプなんだな」

「いい男のポイントだね!」


太陽と昌は前で笑いながら話していた。後ろで蓮が光平に話しかけた。


「家、行って大丈夫か?」

「え?なんで」

「・・・疲れてたら明日でもい〜し」

「・・・・・・」


光平はぷっと笑った。そんな光平を見て、なんだ〜?と蓮は不思議そうな顔をしている。


「いや・・・相変わらず気が回るなと思って」

「なんで?別に気ぃ使ってないけど?」


蓮はよく人を見ている。だから怖いって思うこともある。全部見透かされているんじゃ

ないかって。そして、いつも自分達より精神的に一歩前を歩いているような気がした。

同い年なのに、いつもどこかで頼っていた。蓮は誰にも頼っていない。以前は、こう

やって仲間で会うこともしないような人間だった。


「・・・いつからだったかな」

「え?」


光平は前を見ながら思い出すように話し始めた。


「蓮がこうやってこの仲間と定期的に会うようになったの・・・」


蓮はしばらく光平を見た後、また前を見て、いつからだったかな〜とはぐらかすように

言った。光平は分かっていた。蓮は「あの人」に会ってから変わったんだ。もっと閉鎖的

な人間だった。もちろん幼馴染の自分には蓮があったかい人間だと分かっていた。でも

周りには理解されなかった。若ければ若いほど、少しの発言や言動で判断されてしまう。


「蓮は、ただ単に不器用だったんだよな・・・」

「まっ、今も変わんね〜けどな」


そう言って、ははっと蓮は静かに笑った。「あの人」に会って変わった蓮。

恋愛って人を変えるんだ。自分はそこまで人を好きになったことはない。その時、ふっと

消し去ろうとしていた記憶が脳裏に蘇った。


「― 光平、お前も変わってないな。」

「え?」

「何でも仕舞いこむとこさ」


そう言って、蓮は光平より先に歩いている太陽の足をかっくんとした。


「れ、蓮かぁ〜〜〜〜びっくりするだろ〜〜〜!!」

「太陽さ〜びびってんの。今怖い話してたから!ははっ」


わはははっ〜〜〜〜〜!!


光平は、懐かしい風景に目を細めた。そして、ぼそっと呟いた。


「やっぱ蓮、変わったかもな・・・」


明るくなった。そんな蓮を見て、光平は嬉しそうに微笑んだ。あれから、1年が経った。

未だに誰も何も聞けない。聞いたところでどうすることもできないのが分かってるから。

だから蓮がちゃんと前を向いているのか、それともまだ無理をしているのか・・・?

幼馴染の自分さえ分からない。ただ、元気な蓮に会えた。それだけで光平は嬉しかった。


「ところで、沙穂どうしたんだろうな?」


太陽がそう言うと、昌はびくっとした表情をして、取り繕うように言った。


「あっ!そういえば用事があったのに光平が来るから無理してきたみたい

 だったからねぇ〜」

「そっか〜〜〜明日会えるといいけどな。光平、明日夜帰るの?」

「午前様にならないようにしたいしな、夕方かな」

「あっと言う間だなぁ〜〜〜」


寂しそうに言う太陽を見て、昌は光平に聞いた。


「でも、また帰って来るんでしょ?」

「ちょこちょこな〜」

「私達もさ、夏、北海道に遊びに行っていい?」

「もちろん!案内してやるよ」


やった〜〜〜と昌と太陽は万歳して喜んでいた。光平はそんな二人の光景を

懐かしそうに見て、また夜空の月を仰いだ。







あとがき↓

光平は自分を出さない人なんです。優しい性格なんで、人のモノを奪うとかあり得ない
んですね。それによって人を傷つけることが嫌なんで、ある意味、偽善者的な設定です。
爽子に彼氏がいたことにショックを受けているのに、それを表面的には出さない。
今まではそれで大丈夫だったのですが、今回の恋は・・・・??さて次はまたまた
二人のラブイチャです♪♪よければ続きを見に来て下さい。

Half moon 17