「Half moon」(13)

社会人の二人の物語。オリキャラ祭り。オリキャラ紹介⇒(1)をご覧ください。
爽子目線の愛の語りです。
こちらはHalf moon         10 11 12 の続きです。
それではどうぞ↓
















風早くんの温もりを感じて眠った夜。幸せだった。幸せすぎて夢みたい。

本当にそう思ったの。目の前に彼がいて、肌が触れ合う温かさ。

彼は何回も私の耳元で囁いてくれた。


”愛してる”


彼の熱い瞳を見つめると、身体がかっと熱くなっていくのが分かった。

そして、壊れ物を扱うように優しく抱いてくれた。

最初は恥ずかしくて、風早くんの顔がちゃんと見れなかった。

でもその度に、耳のそばでそっと囁かれる。


『だめ、こっち向いて。爽子の感じてる顔・・・見せて』


一気に顔が熱くなったのが分かった。彼は俯くことを許してくれない。

目線を逸らす度に、彼の大きな手が私の顔を包み込む。

そして、優しい口づけが私の顔、身体のあちこちに落とされる。


彼の大きな胸に包まれ、段々と力が抜けていくのが分かった。幸せ・・・・。

涙が溢れて止まらなかった。幸せ過ぎて、やっぱり夢なんじゃないかって。


『夢見たい・・・』


何回もそう言う私に彼は少しほっぺを膨らませて言った。


『夢じゃないよ。もう、夢は見すぎるほど見たんだから・・・』


そして、大好きな笑顔。出会った頃からあなたの笑顔にどれだけ救われたか

分からない。でも以前よりぐっと大人っぽくなった表情で笑う彼に胸の鼓動が

高鳴る。男の人だって思う。風早くんだけど風早くんじゃないみたいで、私の

心臓は爆発しそう。それなのに、ずっとこうしていたいと思うの。

もう、昔のように疑ったりしない。真っ直ぐ自分を大好きだと言ってくれる

彼に大切に愛されていること。

嬉しくて、彼の胸にそっと顔をうずめる。すると、優しく髪をなでてくれる。



『他の男に触られたりしてないかな・・・・』


そう言って、またぎゅっと私を抱きしめる。


『このままずっと離したくないな・・・・。』


懇願するように呟く彼がたまらなく愛しくなり、私もぎゅっと抱きしめ返した。


『私も・・・離れたくない』


私がそう言うと、彼の熱い瞳が私の瞳とぶつかった。うわっ溶けそうになる。

すると彼の唇がそっと私のと重なる。最初は優しく、段々深く・・・。


『・・・んっ』


何だろう・・・この感覚。身体中がしびれるみたいに熱くなる。こんなの初めて。

全て、彼の中に溶けていきそう・・・。

私も、彼を一人占めしたくなるの。彼に触れるのは自分だけであって欲しいって。


そのまま幸せの中、私は眠りについた。


”愛してる”


彼の声が木霊する中で・・・・。


ピチピチピチッ


なんか、明るくなったなぁ〜〜〜。

うふふ。温かい・・・。なんて気持ちがいいんだろう。

私は何だかお母さんのお腹の中でゆらゆらと揺れている赤ちゃんのよう。

大切に何かに包まれている。気持ちがいい・・・・。


あれ?その何かが離れていく。だめ〜〜っ離れてないで。

ずっと私から離れないで。ずっと私を包んでいて・・・。


目が覚めた時には、風早くんは隣にいなかった。ぼーっとした目で彼を探す。

そして、私の目が風早くんの背中を捉えた。


「風早く・・・ん?」


思わず、風早くんの服をぎゅっと掴む。

夢か現実か分からない中を彷徨いながら、それでも彼を欲している自分がいる。

ずっと側にいて欲しくて。


「もう、止まんねーから」


彼は照れながら熱い瞳で私を見た。


そして、また私は大きな胸に包み込まれる。夢から覚めてもまだ夢のような

時間が続いていく。


好き・・・大好きなの。

言葉に出来ないほど”愛してる”









あとがき↓

テーマ「夢」でした(笑)ちょっと大人っぽくなった爽子ちゃんを書いてみ
ました。さて、ここから話が進んでいくのですが、ちょっと「Half moon」は
一休み。まだまだ続きますからね〜〜〜。多分(先、考えてないけど)
明日できそうなら何か短編UPします。それではまた遊びに来て下さい〜♪

Half moon 14