「Half moon」(9)
社会人の二人の物語。オリキャラ祭り。オリキャラ紹介⇒(1)をご覧ください。
仕事帰りに飛行機に乗り込み、仙台に向かった爽子。やっと二人は再会します。
こちらは「Half moon」1 2 3 4 5 6 7 8 の続きです。
それではどうぞ↓
仙台、風早氏宅――
「やべっ落ち着かね〜〜〜〜っ!!」
風早はさっきからじっとしていられず部屋の中をうろうろしている。
今日は仕事を早く終わらせて帰ってきた。掃除した部屋を見直し、
必死で胸の高鳴りを落ち着かす。
今夜、爽子がここに泊まる。
ドクンッ
(うわ〜っまたすごい動悸が!)
北海道にいた時も爽子が自分の一人暮らしのアパートに泊まることは
なかった。爽子父が許すわけはなかったのだ。なので、正直、身体を
重ねたのも数回しかなかった。
風早は思わず、自分のベッドを見た。
「//////////」
考えただけで、頭から湯気が出るのが分かった。
一緒に朝を迎えられるなんて・・・・夢みたいだ。
その時、風早の携帯が鳴った。
ピッ
「蓮?」
「おー翔太、会社で会った時言い忘れてたんだけどさ、週末あいつらと
飲まない?前に言ってたもう一人のダチが北海道から帰って来るんだ」
風早は蓮の仲間と定期的に飲んでいて、すっかり仲間達に溶け込んでいた。
「あ〜あの蓮の幼馴染とかいう?へぇ〜〜〜そうなんだ!」
しばらくの沈黙の後、風早ははっきりと言った。
「ごめん・・・今週末、俺の彼女も北海道からやって来るんだ」
「え??そうなの?良かったじゃん!」
蓮の素直な言葉に風早は温かい気持ちになった。
「そりゃ〜邪魔できないわ。また今度な!」
「おっ!皆によろしく言っといて!」
「りょーかい」
ピッ
風早はこの時はまだ、光平が爽子と同じ会社だということを知らなかった。
そして、爽子に深く関わっていくことになるとは・・・・・。
**************
風早はそわそわしながら、到着ロビーで爽子が出てくるのを待った。
こんな気持ち・・・遠恋はつらいけど、離れていなかったら味わえないだろう。
「あ・・・・」
「あ・・・・」
その時、長い髪がゲートから見えた。二人は同時に声を上げた。
そして、風早は顔を真っ赤にした。
(やべ〜〜〜まるで初めてのデートみたい////)
そして、自動ドアを通って必死で早足でやって来る彼女に駆け寄る。
「爽子!!」
「風早くん!」
沢山の荷物を持っている爽子を荷物ごと抱きしめる。ぎゅっ。バタッボトンッ
「あ・・・・・」
「あっ大変!!〜〜〜」
下に落ちた荷物を必死に拾う爽子を見て、暴走した自分に気付いた。
「ご、ごめん!!いきなり」
「う、ううん/////」
しゃがんでいる爽子に視線を移すと、耳元まで真っ赤になっている。
久々にそんな爽子の姿を見て、風早はまた顔を赤らめた。
「あっ、手伝う」
そう言って、拾った荷物を全部くいっと彼女から取りあげた。
「あ・・・重いので」
「これは、男の仕事!」
風早はにっと笑い、沢山の荷物を軽々と持ち上げた。
「あ・・・ありがとう/////」
3ヶ月ぶりの彼女はやはりかわいくて・・・ちょっと大人っぽくなった?
あ・・・手を繋ぎたいけど、荷物が沢山で手が塞がっている。う〜〜〜〜っ
すると、横を歩いていた彼女が真っ赤になって立ち止った。
「荷物・・・・私も持たせてください。」
「だから、いいって。」
いつまでたっても自分で何でもしようとする彼女にちょっと怒った口調で
言った。すると・・・・
「違うの・・・・あの・・・・手・・・」
「え?」
更に真っ赤になった彼女はそれ以上言えずにもじもじして立ち止っている。
ん?・・て?
「ううん・・・何でもないの」
「え??」
涙目になって、歩き出した彼女を引きとめる。
「ダメ!!ちゃんとこっち向いて」
爽子の肩に手をかけ、こちらを向かせた。
「俺が・・・・どんなにこの日を待ってたか知ってた?」
「・・・・・・」
「それも、ほんの一時で終わってしまうのに・・・・。嫌なんだ。ちょっと
した誤解でも」
すると爽子はもう一度真っ赤になって、ぎゅっと目を瞑って言った。
「ご・・・ごめんなさい!!下心ばかりの私で〜〜〜!!」
「え??」
大きな瞳からは次から次に大粒の涙が流れた。そして、俺が一番弱いとされる
上目づかいで聞いてくる。
「き、嫌いにならないでね?」
「嫌いになんてなるわけないだろ〜〜〜!」
その言葉を聞いて、やっと決心したようで、恥ずかしそうに俺に爆弾投下してきた。
「あの・・・・荷物を持つので・・・・手を繋いでください!」
「〜〜〜〜〜〜////////」
思わずすっ転びそうになった風早は人込みにいるということを忘れて、爽子を思い
きり抱きしめた。
「もう・・・なんでさ・・・そんなかわいいんだよっ。ちょっとそれ罪だよ」
「え??つ、罪??」
そう言って、またあわわわと青くなっている。ずっと高校から変わらない彼女。
世の中の汚い物を跳ねのける純粋さと強さはいつも俺を感動させる。そして、
そんな君に少しでも届きたい・・・っていつも思わさせてくれる。
「そんなの・・・俺も繋ぎたいに決まってるじゃん!」
彼女が柔らかに笑う。君の笑顔が好きだ。君の笑顔はいつも心からの笑顔。
そんな彼女を笑顔にさせた自分自身に嬉しくなる。そして、やっぱり一人占めした
くなるんだ。
そっと手を伸ばすと柔らかくて細い彼女の手が重なる。”幸せ”ってこいういう
ことなんだと実感する。
二人は微笑み合い、手を繋いで風早のアパートに向かった。
あとがき↓
ラブイチャの始まり〜〜♪まだまだ続きます。こういうのを書いている時が一番、
楽しいですね〜。よければ二人の甘甘ムードにじっくりお付き合いください!