「OVER the TEARS」(9)

暴走した風早に戸惑う爽子は!最初は爽子目線からどうぞ!
これは OVER the TEARS          の続きです。
それでは以下からどうぞ♪























爽子side


久しぶりに風早くんにご飯を食べてもらえる!嬉しいな。

私は、一週間前から何のメニューにしようかと色々考えていた。

でも、それ以上にあのことを聞こうと、頭の中が一杯だった。


「ど、どうぞ」

「うわ〜きれいだね。風早くんのお部屋」


久しぶりの風早くんのお家。



「そっか、久しぶりだね。ウチ来るの」

「うん、お互い忙しかったもんね。一日ゆっくり会えるの久しぶりだね」

「うん。俺も嬉しい」


そう言って、優しく微笑んでくれる風早くん。ドキンっと胸が跳ねる。


そして、私の頭の中を占めていた、あのことを聞いてみる。


それから――――


「ん・・・か、風早くん!!」


あ、あれ?いったい何が起こったの??何か、首に柔らかい

感覚が・・・・。身体がカ―――ッと熱くなったのが分かった。


なんかいつもと違う風早くん。胸の動悸が激しくなる。


「えっ!!えっ」


私の服が脱がされていく。抵抗しようとしても風早くんの力は

とっても強く、びくともしなかった。

そのまま、私はベットに抱っこして連れて行かれ・・・

真剣で熱いまなざしは私の目を捉えて離さない。


「俺・・・爽子が欲しい。ずっとそう思っていた。」

「・・・!」


どうしよう・・・!どうしよう・・・!ドキドキが止まらない。

「欲しい」ってそういうこと? 自分の胸の鼓動だけが激しく耳に響いた。

熱い身体と不思議な感覚、未知なる恐怖感に包まれて、気を失いそうだった。


(怖い・・・・!!)


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


風早side


爽子の気持ちを考える余裕はなくって、

俺は抑えきれない自分に精一杯だった。ずっとこうなりたかった。


「好きだ。爽子」


爽子の口に触れるだけのキスから、段々と深いキスを繰り返す。

彼女の息ができないぐらい必死で口の中に入っていく。


「ん・・・かっ・・・!」


そして、手は彼女の下着に手をかける。初めて触れる場所。


「あっ・・・!」


彼女が声を上げる。その声に眩暈がしそうなほど

くらくらになった、そして、彼女の膨らみにそっと触れたその時、


「!」


やっと俺は現実に意識が戻った。


「・・・・っく」



彼女の身体はガチガチに震えていた。そして、大粒の涙が次から

次に彼女の大きな瞳から流れ出ていた。


「・・・・ごめん!俺・・・」


暴走してしまった。いつかこんな日が来るんじゃないかって

思ってた。でも止められない自分がいて。


「俺・・・いつも爽子とこうなりたかった。爽子に会うたびに

 触れたかった。気持ちにブレーキかけるのに必死だったんだ。」

「爽子といればいるほど、もっと近づきたくなって・・・。」



そう、我慢できなかった。それが正直な気持ちだ。



爽子は泣きながら何も言わずに服をささっと直して、身なりを

整えて―


「ご、ごめんなさい!!」


そう言って、俺の部屋を出て行ってしまった。


「さわっ―!」


バタンッ


俺は一人取り残された部屋で髪をくしゃくしゃとして柱に寄りかかった。

どんっ



「・・・やっちゃった。」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「泣いてたら分かんないでしょ?」



私はその後、あやねちゃんの家に直行していた。あやねちゃんは

私を優しく抱いてくれた。


あやねちゃんは私が落ち着くまで側に居てくれて、温かいレモネードを

入れてくれた。



「落ち着いた?」


「うん・・・。」


「風早に襲われた?」


「えっ!!!」


ぱくぱくぱく〜〜〜〜!


「ふふっ図星。あーでも襲われたとは言わないよ。カップルなんだからね」


「うん・・・。風早くんは何も悪くないの」


コクンと温かいレモネードが喉を通ると段々落ち着いてくる。


「そっか〜それで逃げて来ちゃったの?アハハ〜!」

「・・・・・。」

「ごめん、ごめん。風早撃沈って感じだろうね。今頃」


「うん・・・風早くんを傷つけちゃった。」


好きなのに・・・好きでたまらないのに・・・・。


「爽子はさぁ〜風早とそうなりたいとは思わないの?」

「えっ////うっ・・・・。分からない。正直、分からないの。でも風早くんを

 大好きな気持ちは大きくなるばかりで。側にいるだけで幸せで・・・。」


一緒にいるとどんどん欲張りになって、ドキドキが止まらなくて・・・・。



「男と女ってやっぱそれだけじゃだめなんだよ。そろそろ爽子も

 卒業しなきゃね。そこから」

「・・・・・。」


「爽子自身がどうにかするしかないんだよ」


そう言って、あやねちゃんは優しく微笑んだ。



いつかもそう言われたね。あやねちゃんに・・・・。






何だろう?この気持ち。風早くんが風早くんじゃないみたいで

怖かったけど、身体がカッと熱くなって、私も私じゃないみたい

だった。こんな感覚初めて・・・。


「ちゃんと、謝らなきゃ・・・」



帰り道、私は涙が止まらなかった。











あとがき↓

初体験って絶対怖いって思うんです。女の人は特に。そんなに簡単に
乗り越えられるものじゃないなって。そんな気持ちで書きました。
ここからどんどん物語が暗い方向に。なんか長くなりそうな予感。
まっ気長に適当に読んでください。(笑)
OVER the TEARS  10