「I love you smile」5

自分の気持ちになかなか向き合えない健人は複雑な思いを
抱えながら爽子を送ります。やっと後半に風早も出てきます。

こちらは I love you smile     の続きです。
それでは以下からどうぞ↓





















今夜も約束通り、彼女を送る。最後の夜―


「貞子ちゃん。お疲れ様。3日間よく頑張ったね」

「あ、ありがとう。それに今日も送ってくれてありがとう。寒いのに・・」



そう言って、ふわっと笑う彼女。

思わず抱きしめたくなる。でも・・・この子は

俺のじゃない。どうして?何もしてないのに

あきらめないといけないのか?



(やばっ俺酔ってるな・・・。)



こんなこと考えるなんて。



「すっかり、自然に笑えるようになったね」

「えっ!本当に?し、師匠のおかげです!」

「あはは〜まだ師匠って呼んでくれるんだ?」




残念ながら俺のおかげなんかじゃない。

そうだったら、どんなにいいか・・・。

俺は女の子の幸せを願うのが趣味だ。それは高校の時からずっと

変わってない。でも俺自身の幸せはどうなる・・・?



「三浦くん・・・どうしたの?」

「・・・・。風早にやっと会えるね」

「う、うん!」

「嬉しい?」

「えっ//////う、うん。」



そう言って、真っ赤になる彼女。やっぱ面白くねー。



「・・・・・。」



黙り込んだ俺を心配したのか、



「なんか、大丈夫? 酔っちゃった?」



そう言って、彼女が俺の顔を覗きこんだとき、魔がさした―


「!」




気がついたら、彼女は俺の腕の中にいた。


そう、彼女を抱きしめていたんだ。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆




(おかしかった!爽子がなんかおかしかったっ!)


風早はこの間の電話が気になってしようがなかった。



「俺、気にしすぎ?」



あれから3日たったというのに、電話ができないでいた。

自宅に帰ってきただろうか。



「風早!早く3番につきだし出して!何ぼーっとしてんの!」




俺は店長に言われて、ハッと現実に戻る。そっか、バイト先の居酒屋だった。



「は、はい。すみません!」



ガラッ――



「−らっしゃい!」

「風早〜!来てやったよ!」

「おう。」



大学のゼミの奴らだった。男女5、6人がずらずらと中に入ってくる。

その中の一人の女の子がじっとこちらを見ているのにその時は気付かなかった。

居酒屋は更に賑やかになり、ワイワイと騒がしかった。

ゼミの話、就活の話、恋愛の話・・・・。今時の大学生の話が飛び交っていた。

俺は働きながら時々、こいつらの相手をして・・・。それでも頭から離れないのは

爽子のこと。気にすることないって分かってるのに。


付き合って、4年が過ぎた。

正直で真っ直ぐで汚れの知らない爽子。いつも俺を真っ直ぐに見ていてくれる。

それなのにどうして俺はいつも不安になる?

理由は重々分かっていた。それは・・・・俺が爽子を・・・・



「好きすぎる〜〜」



へっ!



「だって、サイコーじゃん!ここのおでん」



あ・・・おでんの話? 俺の心の中を見透かされたかと思った。

思わず、手でパタパタと顔をあおぐ



「んじゃ、そろそろ終電なくなるわ。またな〜風早」「おう〜また大学で」

「ばいばい〜」ぞろぞろと皆帰って行った。



しかし、そこにはまだ一人女の子残っていた。



「あれ?斎藤?帰えんないの?」


斎藤はゼミ仲間だけど、あんまり喋ったことはなかった。


「風早くん・・・ずっと迷ってたんだけど」

「?」

「さち〜帰るよ〜!」

「これ!」

「えっ?」


斎藤は一枚の封筒を俺に渡して走って出て行った。



何だろう?   



「―!」   俺は封筒の中身を見て、愕然とした。














あとがき↓
ちょっとここから暗くなります。長くは続かないけど。早くウブコント
書きたい〜〜!いつも見に来てくださる方、有難うございます。
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