「I love you smile」4

今回も風早がいないバーの場面です。最初は爽子目線で、後半健人目線で。
ちょっと短いです。健人の心情中心です。
こちらはI love you smile     の続きです。
それでは以下からどうぞ↓























やっと、バイト3日目にして、沙紀ちゃんが回復の兆し。

なんとか来週頭には復帰できそうだ。バーもお休みだしよかった。


「風早くん・・・早く会いたいなぁ」


でも・・・・楽しかったな。いろいろな人がいるんだなって。

やっぱり人と居られるって嬉しい。師匠にも会えて嬉しかったな。


私は不思議な3日間を思い巡らせて、最後のバイトに向かった。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「爽ちゃん。本当にこの3日間ありがとうね。沙紀も復帰できそうだね」

「イエ・・・本当にお役に立てませんで。情けないです。でも楽しかった」

「ほんと?嬉しいな。爽ちゃんならVery welcom なんだけどな。これからも」


私は、店の掃除をしながら最後のバイトに名残惜しさを感じていた。



(じぃ〜〜〜〜ん。マスター優しいな。)



私は、雑巾を握りしめて感動していた。助けてもらってばっかりで、マスターに迷惑かけたのに。



「彼氏と今度は飲みにおいでよ」



(あっそうだった!)



「あのっ・・・・実は内緒で働いていまして」


おろおろおろっ



「うん、そうだろうね。分かるよ」

「えっ?」

「いやー彼氏ならこんなかわいい子ほおっておけないよな」

「えっかわいい??と、と〜〜〜んでもありません!!」


私はさらにおろおろしてぶんぶん頭を振って否定した。




「でた!爽ちゃんの全身否定!アハハハ〜」

「あ、ありえないので!!」

「そんなことないでしょ。だから健人も来るんじゃないの」

「えっ?」

「そう言えば・・・健人・・・」



ガランッ




「噂をすればだ。−らっしゃい。今日は一番乗りだね」

「何が?」

「こ、こんばんわ!三浦くん。今日も来てくれてありがとう。」


嬉しそうに微笑む貞子ちゃん。ちょっとは待っていてくれたの?

思わず、俺の胸がドキンと跳ねた。



「どもっ貞子ちゃん。何の話?」


 
違和感を感じる気持ちを隠しながら、俺はいつもの席に座る。



「いや〜彼氏ならこんなかわいい子ほっておけないって話をしてたんだけど、彼女に思いっきり否定されちゃってさ」


「マスターもしかして、貞子ちゃんくどいてんの?」

「えっ?・・・・・いや〜そんなことないけど」

「えっ?何?その間!」

「あっ爽ちゃん、お客さん」
「あ、はい!」ばたばたっ

「かわいいよね。」

「え〜〜やめてよ。マジで。あの子の彼氏マジギレすると思うよ。修羅場 修羅場」


「うそうそ。今時見ない子だったからな〜。そんなに彼氏に愛されてんだ?」

「マジでベタボレだと思うよ。高校ん時からアイツ変わってない気がする。」

「ちょっと見てみたいな。爽ちゃんを一人占めする奴」

「・・・・・。」


「健人?」


「うん・・・お似合いだよ」

「大丈夫?健人」

「えっ?」

「明らかに今までの健人と違うよ。長い付き合いなんだから分からないはずないでしょ」


マスターは鋭い。俺の内面に食い込んでくれて、有難いんだか何なんだか。

マスターといると俺らしくなくなるから嫌なんだ・・・。



「健人は覚えてないかもしれないけど、すげー酔った時に漏らした話、もしかして爽ちゃんじゃないの?」

「えっ?それ何?」

「本気で好きになった子、一人だけいるって」

「そんなこと言ったっけ?全く覚えてね〜。しかもどの恋も本気だって!」


思わず、いつも通り茶化した。そう・・・。



「まっゆっくりしってって。健人、いつものでいいだろ?」

「ん、よろしく!」

 

そう言って、マスターは鋭い目を俺から逸らし、他の客のところへ行った。



人のモノを取るほど情熱的じゃないし、女の子の幸せを願うことが趣味の俺にとって、

そんなこと想定外のことだ。

だけど、なんだろう・・・。この3日間の高揚した気持ちと悲哀な感じ。

MIXした気持ちが俺の胸の中で複雑化していく。

俺は茫然と、最後のメイド姿の貞子ちゃんを見つめていた。









あとがき↓
健人暴走までいかなかったです。次回にちょっとあるかな。風早目線もというリクエストを頂いたのですが、次回最後ぐらいから風早目線に話が移ります。この3日間の間の風早はただ悶々してたぐらいで・・・。
それではよければまた見に来てください。

「I love you smile」