「ある夏の日の・・・」
短編です。同じ場面ですが、少し違う風早という2パターンの話。
二人は高校生、電車通学、片想いという設定である一場面の話です。風早目線です。
別パターンは明日、爽子目線のちょいと違う風早で!
はいっすみません。いきなり、脱線〜〜〜〜!苦情来そう!一本筋にできないんですぅ(汗)
もちろん、気に入らない方、スル―してくださいませっ!!
それでは以下からどうぞ↓
夏の日差しに照らされて、若い男女は開放的になっていく。北幌高校も夏服になり
お互い意識しているのが分かる。
「俺、夏好きだなぁ〜〜〜っ!!」
ジョーは周りをきょろきょろさせながら言う。
「だって、女の子の肌の露出が・・・ムフフ」
ジョーを呆れ気味に見ていた風早だが、遠くを歩いている女子達に気付き、頬を
赤くした。そこには爽子とあやねとちづの姿があった。
「おっ矢野だぁ!!色っぽいよなぁ〜〜〜っ」
「ジョー!!ストップ。もう行くぞ!」
風早は目をハートにしているジョーを引っ張って次の移動教室へ向かった。
正直、風早と言っても年頃の男だ。ジョーに同じくそういうところに目がいって
しまうのは仕方ない事。頭の中の爽子の姿を必死でかき消した。
**********
「うわっ〜〜〜〜〜!!」
この日、委員会で帰りが遅くなった風早は、突然の雨に降られて慌てて駅に向かった。
電車通学の風早は1時間かけて学校に通っていた。
「マジかよっ〜〜〜雨降るなんて聞いてなかった」
雨はバケツをひっくる返したような雨で、少し当たるだけでもびしょ濡れになった。
やっと駅に付いた時には、服も頭もびしょびしょになっていた。
(うわ・・・・・マジびしょ濡れ・・・)
風早はタオルでとりあえず体を拭いていると、人込みの中で佇んでいる女の子を見つけ、
心臓がドクンッとなった。長い黒髪にきれいに制服を着ている女の子。
「く・・・ろぬま?」
風早は足早に爽子の元へ駆け寄った。
「黒沼!!」
「か・・・っ風早くん!」
爽子は風早の姿を捉えると、驚いたように目を見開いた。
「黒沼も雨に降られたんだ?」
「う、うん。風早くんも・・・」
「もう、びっしょびしょ!!」
あはは〜〜〜〜っ
(あ・・・・・っ!!)
風早は目の前の爽子の姿を見て、真っ赤になって目を逸らした。
(や・・やばい!透けてるし・・・・)
ということは他の奴も見るということ。風早は焦って、自分のタオルを爽子にかけた。
「だ、大丈夫だよっ!風早くん拭いて」
「だ・・・だめ、いいから。これ掛けといて」
それからも爽子は遠慮したけど、風早は絶対譲らなかった。
「じゃ・・・お言葉に甘えて・・・ありがとう」
(いや・・・こっちこそありがとうだし////)
そして、そのまま電車に乗り込む二人。いつもはここまで混まないのだが、雨の影響で電車が
遅れていて、二人は満員電車に乗らなければならなかった。
帰る方向が一緒の二人はこうして時々、登下校が一緒になることがあった。
電車は左右に揺れ、まるで押しくらまんじゅうのように人の支えで立っている状態だった。
車内はクーラーがかかっているが、人の多さに空気がじめっとしていて暑い。
「うわっ!!黒沼大丈夫?」
風早は爽子の手を引っ張って、自分の方に寄せた。付き合っていない二人が密着することなど
まずないこと。でも満員電車ではそうも言ってられない。
電車の揺れと共に人の密着度も上がる。風早は他の男に触らせるものかと必死で爽子を角へ
持って行った。背の高い風早は手を扉に付き、その中に爽子を収めることができた。
(ほっ・・・・なんとか・・・・!)
風早は、ほっとしたのも束の間、目の前の状況にあ然・・・となり、ぼーっ!と顔に火がつ
いたように真っ赤になった。
(あ・・・///////)
雨に濡れた制服のブラウスからはっきりと分かる下着。爽子の薄ピンクのブラジャーが透け
ている。そして、満員電車の中で風早と向き合っている爽子の頬は紅潮していて、恥ずかし
そうに俯いていた。
(や・・・やばい!これはやばい!//////)
風早は必死で目線を逸らし、平常心を保とうとしていたその時、電車が大きく揺れた。
「うわっ――!!」
さすがに皆声を上げた。風早はその揺れと共に、爽子の身体にさらに密着していた。
「―ご、ごめっ!!/////」
「う、ううんっ/////」
風早と爽子は完全に抱き合っている形になった。もう、どうにもこうにも身動きが取れない。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
がたんっごとんっ
雨に降られて、最悪な一日になるはずだった。それが・・・なぜか最高の一日になるから
人生って分からない。
(・・・・なんてっ細いんだろっ・・・・)
風早は初めて触れる爽子の柔らかい肌に眩暈が起こりそうだった。初めての感覚に
下心がさらに膨らんでいく。しかし、長い間抱きしめていると、不思議なほど優しい気
持ちになり、下心よりも愛しさが胸いっぱいに広がっていることに気付いた。
ぎゅっ
この瞬間が永遠に続けばいいのに・・・・。風早はそっと目を瞑って願った。
いつも恋焦がれる女の子。学校で彼女の姿を見つけるだけで幸せな気分になり、時にせつ
なくなる。今、自分の腕の中にいる彼女は想像以上に柔らかくて、細くて、自分とは全然違う。
力を入れると壊してしまいそうだ。小さい頃からずっと母親に言われていた言葉を思い出した。
”男の子は女の子を守らないといけないのよ。女の子は砂糖菓子みたいに壊れやすいから”
ほんとだ・・・・。
キキッ―――!
次の駅に止まり、彼女の横に割り込んで来ようとした男をきっと睨む。
この子は大切な大切な女の子なんだ。だから、俺が守りたいんだ。ずっと・・・・。
この想い、いつか君に届いて欲しい。
風早の想いが届くまでもう少し。そんな夏のある日の出来事。
<END>
あとがき↓
やっぱ、いろいろ書きたくなるんです。同じの書いてたら。すんません。それに、
ただ単に満員電車を書きたかっただけなんて(汗)はい、電車乗っていて、妄想
膨らんでしまいました。←単純なんです。ドアに手を付いて、その中に彼女がいる
ってなんかカッコイイ構図だなって思ったんですが、書くとやっぱり風早くんが純
情くんに。ちょっとイメージが違ったので、明日、別パターン書かせてください!
もうちょっと男らしく書きたい・・・。書けないけど。それではまた明日!