「I love you smile」9

主人公健人目線から。後半は風早目線で、二人の絡みです。
こちらは I love you smile         の続きです。
それでは以下からどうぞ↓

























「おっ健人!!今までどうしてたんだよ!」

「ってマスター。なんでそんなに待たれてんの?俺」


貞子ちゃんに会ってから2週間の月日が過ぎた。俺はいまだ、複雑な思いを抱えていた。
マスターに会ったら、面倒クサイに決まってるのにやっぱり来てしまった。




「いや〜なんか気になってさ・・・・」



「あっ!!!もしかして!」

 
そこにびっくりして健人を指している沙紀がいた。


「ん? 沙紀ちゃんじゃん!さだ・・・爽子ちゃんの友達だったんだって?」

「健人くんなの?爽子の写真の相手?今、ピンっときた!」

「へっ?」



どうもあの時の写真が盗撮されていたらしい。それが風早のところに渡ったって?

まさかなことって世の中あるもんだな。



「へ―――っすっげ〜!」

「なに?その他人事のような発言!それでかなりややこしくなったみたいだよ!あの二人。
ほんとなの?あの写真?」


「えっなになに?健人なんかしたの?爽ちゃんに」

「いや〜したっつーたらしたし、しなかったっつーたらしなかったというか・・・」

「・・・・・」


ああ・・・マスターの鋭い視線を感じる。


「まぁ〜もう大丈夫みたいだけどね。あの二人」

「ふぅ〜ん」


そんなで壊れるような二人じゃねーよな。まっ風早には大きなパンチになっただろうけどな。


「あ〜〜!久々に女の子たちと遊ぶかね!」


そう言って、俺は身体全体で伸びをした。


「えっ?遊んでなかったの?健人くんっていつも遊んでるイメージある。」

「ハハッひどいな。俺だって、一人になりたい時だってあんの!」

「・・・・・・」


何か、今から考えると、このカウンターの中に貞子ちゃんがいたなんで夢だったように感じる。
そう、あれは夢だったんだ。



「それじゃお疲れ〜!」「お疲れ様でした!」


ガランッ


「何?マスター 何か話あるの?視線が痛いんだけど?」



マスターは俺に帰るなという合図を送っていた。沙紀ちゃんが帰った後、店には俺と、マスターの二人になった。
マスターは氷をカランッとグラスに入れ、自分酒も用意し出した。



「健人!お前、このままでいいのか?」

「へっ?」

「爽ちゃんのこと」

「・・・・。またその話?いいのかって何?「誤魔化すなよ!」」



マスターの声が重なる。静かなのに凄みのある声。

俺から目を離さない。それは本当に俺のこと考えてくれている瞳。



「ふっ・・・・マスターにはかなわないな」



飲んでいたマティーニに、俺の表情が映し出される。

そうか・・・・こんなにつらそうな顔してたんだ。



「ちゃんと、想いを伝えろよ。それじゃなきゃ、お前、前には進めないよ」

「・・・・・・・」

「ちゃんと、告白して、その恋に終止符をつけな」



高校の時、これが本当に恋なのか分からなかった。気付いた時には彼女は風早のものだったし。
それが、こんな形で再会するなんて・・・。



「だてにお前を長いこと見てないよ。」



そう言って、マスターはウィスキーを一口含んだ。


君は気づいてないけど、俺はあの時、君を抱きしめたんだ。抱きしめた時、あの熱い想いを思い出した。
やっぱり君しか無理なんだ。胸の中が熱くなる想い・・・。

でもなけなしの俺の理性が引き戻した。



”「ごめ〜ん!つまづいちゃった!こんなとこ見られたら風早に殺される!」”



「マスター恋ってつらいんだね。今まで気付かなかったよ。」

「それだけ本気の恋したってことさ。そんな恋に出合えて幸せじゃん?
例え、一方通行でもね。」


「ふっ・・・・そうかもな」


「人生これからさ。お互い、いい恋しようぜ!」

「・・・ん」


カンッ



そう言って、俺たちはグラスを合わせて乾杯した。

俺は残っていた、マティーニを一気に飲み干した。


さんきゅ・・・マスター


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



「−よぉ」

「三浦?・・・・」



バイト先を出たところに意外な男が柱にもたれかかっていた。



「久しぶり!卒業以来だな」

「・・・・・」

「そんな顔すんなよ〜」


俺は自然に眉根が寄っていたらしい。


「まっそうだよな。あんな写真見られたらさ」

「どうしてここが分かったんだよ。もしかして爽子?」

「違うよ。貞子ちゃんにはあれ以来会ってないから安心しなよ」

「でも・・・3日間通ってたんだろ?」

「うん。夢みたいだったな〜貞子ちゃんのあんな姿見られるなんてさ」

「えっ??あんな姿?なに?」

「あれっ?ばれたんじゃなかったの?」

「えっ?なんだよ!!」


「ふぅ〜ん、それじゃさ・・・。とにかく!今日は話があって来たんだ。場所変えていい?」



珍しくコイツが真面目に言ったのでちょっと驚いた。高校ん時となんか違う。

高校時代、軽いノリで爽子に絡む三浦にイライラしながらも、実は羨ましい時があった。
俺はいつも爽子の前でいっぱいいっぱいだったから。

それに三浦といる爽子は楽しそうで・・・・。まぁ嫉妬なんだけど!



「いきつけのバーなんだけど、今から行かない?」

「・・・・分かった。」


三浦が誘うということは高校時代もなかったから、重要な話があるのだと分かった。
そして、それが爽子に関することだということも。



俺は三浦の後をついて行った。













あとがき↓
後、1,2回で終わりです。やっと自分に正直になりそうな健人。このお話で決着
させてあげたかった健人の思いが書けそうです。このお話の続きを楽しみにして下
さっている人がいればすごく嬉しいです。それではよければ続きを見に来て下さい。

「I love you smile」 10