「I love you smile」9
主人公健人目線から。後半は風早目線で、二人の絡みです。
こちらは I love you smile 1 2 3 4 5 6 7 8 の続きです。
それでは以下からどうぞ↓
「おっ健人!!今までどうしてたんだよ!」
「ってマスター。なんでそんなに待たれてんの?俺」
貞子ちゃんに会ってから2週間の月日が過ぎた。俺はいまだ、複雑な思いを抱えていた。
マスターに会ったら、面倒クサイに決まってるのにやっぱり来てしまった。
「いや〜なんか気になってさ・・・・」
「あっ!!!もしかして!」
そこにびっくりして健人を指している沙紀がいた。
「ん? 沙紀ちゃんじゃん!さだ・・・爽子ちゃんの友達だったんだって?」
「健人くんなの?爽子の写真の相手?今、ピンっときた!」
「へっ?」
どうもあの時の写真が盗撮されていたらしい。それが風早のところに渡ったって?
まさかなことって世の中あるもんだな。
「へ―――っすっげ〜!」
「なに?その他人事のような発言!それでかなりややこしくなったみたいだよ!あの二人。
ほんとなの?あの写真?」
「えっなになに?健人なんかしたの?爽ちゃんに」
「いや〜したっつーたらしたし、しなかったっつーたらしなかったというか・・・」
「・・・・・」
ああ・・・マスターの鋭い視線を感じる。
「まぁ〜もう大丈夫みたいだけどね。あの二人」
「ふぅ〜ん」
そんなで壊れるような二人じゃねーよな。まっ風早には大きなパンチになっただろうけどな。
「あ〜〜!久々に女の子たちと遊ぶかね!」
そう言って、俺は身体全体で伸びをした。
「えっ?遊んでなかったの?健人くんっていつも遊んでるイメージある。」
「ハハッひどいな。俺だって、一人になりたい時だってあんの!」
「・・・・・・」
何か、今から考えると、このカウンターの中に貞子ちゃんがいたなんで夢だったように感じる。
そう、あれは夢だったんだ。
「それじゃお疲れ〜!」「お疲れ様でした!」
ガランッ
「何?マスター 何か話あるの?視線が痛いんだけど?」
マスターは俺に帰るなという合図を送っていた。沙紀ちゃんが帰った後、店には俺と、マスターの二人になった。
マスターは氷をカランッとグラスに入れ、自分酒も用意し出した。
「健人!お前、このままでいいのか?」
「へっ?」
「爽ちゃんのこと」
「・・・・。またその話?いいのかって何?「誤魔化すなよ!」」
マスターの声が重なる。静かなのに凄みのある声。
俺から目を離さない。それは本当に俺のこと考えてくれている瞳。
「ふっ・・・・マスターにはかなわないな」
飲んでいたマティーニに、俺の表情が映し出される。
そうか・・・・こんなにつらそうな顔してたんだ。
「ちゃんと、想いを伝えろよ。それじゃなきゃ、お前、前には進めないよ」
「・・・・・・・」
「ちゃんと、告白して、その恋に終止符をつけな」
高校の時、これが本当に恋なのか分からなかった。気付いた時には彼女は風早のものだったし。
それが、こんな形で再会するなんて・・・。
「だてにお前を長いこと見てないよ。」
そう言って、マスターはウィスキーを一口含んだ。
君は気づいてないけど、俺はあの時、君を抱きしめたんだ。抱きしめた時、あの熱い想いを思い出した。
やっぱり君しか無理なんだ。胸の中が熱くなる想い・・・。
でもなけなしの俺の理性が引き戻した。
”「ごめ〜ん!つまづいちゃった!こんなとこ見られたら風早に殺される!」”
「マスター恋ってつらいんだね。今まで気付かなかったよ。」
「それだけ本気の恋したってことさ。そんな恋に出合えて幸せじゃん?
例え、一方通行でもね。」
「ふっ・・・・そうかもな」
「人生これからさ。お互い、いい恋しようぜ!」
「・・・ん」
カンッ
そう言って、俺たちはグラスを合わせて乾杯した。
俺は残っていた、マティーニを一気に飲み干した。
さんきゅ・・・マスター
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「−よぉ」
「三浦?・・・・」
バイト先を出たところに意外な男が柱にもたれかかっていた。
「久しぶり!卒業以来だな」
「・・・・・」
「そんな顔すんなよ〜」
俺は自然に眉根が寄っていたらしい。
「まっそうだよな。あんな写真見られたらさ」
「どうしてここが分かったんだよ。もしかして爽子?」
「違うよ。貞子ちゃんにはあれ以来会ってないから安心しなよ」
「でも・・・3日間通ってたんだろ?」
「うん。夢みたいだったな〜貞子ちゃんのあんな姿見られるなんてさ」
「えっ??あんな姿?なに?」
「あれっ?ばれたんじゃなかったの?」
「えっ?なんだよ!!」
「ふぅ〜ん、それじゃさ・・・。とにかく!今日は話があって来たんだ。場所変えていい?」
珍しくコイツが真面目に言ったのでちょっと驚いた。高校ん時となんか違う。
高校時代、軽いノリで爽子に絡む三浦にイライラしながらも、実は羨ましい時があった。
俺はいつも爽子の前でいっぱいいっぱいだったから。
それに三浦といる爽子は楽しそうで・・・・。まぁ嫉妬なんだけど!
「いきつけのバーなんだけど、今から行かない?」
「・・・・分かった。」
三浦が誘うということは高校時代もなかったから、重要な話があるのだと分かった。
そして、それが爽子に関することだということも。
俺は三浦の後をついて行った。
あとがき↓
後、1,2回で終わりです。やっと自分に正直になりそうな健人。このお話で決着
させてあげたかった健人の思いが書けそうです。このお話の続きを楽しみにして下
さっている人がいればすごく嬉しいです。それではよければ続きを見に来て下さい。
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